なりを示して著名です。円了が講演でどんな話をしたのかは、直接の記録ではないのですが、講話集や談話のような漫録などが多く残っていますので、おそらくそうした話をしたのだと考えられます。円了は、習慣の大切さを説いたなかで、自分は講演は五〇分と決めて行っているので、時計を見なくても時間がわかるといっています。また講演中は、水や湯は飲まないように習慣づけているので、とくに飲みたくなるようなことはないとも説明しています。ここから円了の講演は一回、五〇分だったことがわかります。マイクもなく、聴衆の座席も楽なものはなかった当時の環境では、ちょうど手頃な時間だったのでしょう。円了が亡くなった後に、記念集が創られましたが、このなかに講演旅行の様子を示す思い出話が残っていますので紹介しましょう。丁度暑い真夏八月頃、井上先生は学校夏中休暇を利用して地方巡回講演に出て 五 旅行道具と旅の様子 29
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