たのです。通俗的なものですが、近代社会に必要な自己規律を人びとが内心の道徳として高めるようになることが、円了の希望するところだったと理解できるでしょう。独立自活の精神がまさにこれに当たります。大正元年になって、修身教会は国民道徳普及会に組織変更となりました。ここでは会員も支部も設けなくなりましたので、円了の個人事務所といったものに変わりました。そこで講演の演題についてリストが示されているので、紹介しておきましょう。甲類…… 国民道徳大綱、教育勅語大意、戊申詔書大意、忠孝為本説、国体精華の説明、公益世務の解釈、義勇奉公談、世界人文の大勢、国運発展の道、戦捷の結果と戦後の経営、勤倹治産論、自彊不息説、実業新興策、公徳育成法、社会教育一斑、家庭教育談、精神収用法、風俗矯正法、青年の心得、婦人の心得乙類…… 教育と宗教との関係、倫理と宗教との異同、哲学と宗教との別、知識と信 井上円了の全国巡講22
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