東洋大学史ブックレット7
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いとしています。また教会での結婚式などを提案しています。さらに図書館を設けて、新聞や雑誌、書籍をおいて教化を行うのもよいとしています。組織は本部を中央において統括するのではなく、各自が自主的に活動し、『修身教会雑誌』を出して相互の連絡をとるのみとするとしています。円了は一人一会主義で、組織の力によりかかるのではなく、それぞれが自らの責任で行動することを大切にしましたので、中央集権型の組織を構想することはありませんでした。修身教会の精神ですが、円了は大事なのは、よく身を修め、家をととのえ、社会・国家を富強に導くことで、倹約・勉強・忍耐・誠実・信義・博愛・自由などの徳目がみなこのなかにはいると説明しています。円了は、「官々となる金石の声よりも、民々と呼ぶ蝉そこひしき」などと、たわむれに書をかいたほどで、官権を頼みにはしない人でした。民を大事にする民本主義的精神の持ち主でした。したがって教育勅語の精神といっても、上から押しつけられる硬直した教義のような理解はしていなかっ 四 講演旅行の規則と修身教会・国民道徳普及会 21

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