ておくことにしましょう。円了は、国内の講演旅行で各地を見聞し、宗教がふるわないために徳義が衰えていると指摘します。これを挽回するために各地に修身教会を設立して、生涯教育としてこれに取り組みたいとしています。円了は欧米の視察の経験から、両者の貧富の差は国民の道義徳行の差によっていると感じていました。それなのに国民一般の修身教育はせいぜい小学校までで社会教育の部分がなく、文明国としては嘆かわしいと述べています。そこで欧米の日曜教会にならって、寺院教会を設けて、教育界と宗教界が協力してその運営にあたる修身教会を設立したいというのでした。教会組織の考え方は、国民に道徳を知らしめることを目的とし、各町村の協議により自治的に設立運営されるものと提案しています。また日曜隔週程度で集会を持ち、僧侶・教員が出席して講話をし、会長は町村長ないし名望家をあてるとしています。さらに会は、音楽を唱和し、教育勅語を奉読、僧侶・教員の講話などの順で行うとよ井上円了の全国巡講 20
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