について語り、葬儀・法事という仏事が行われるところです。円了が生きた時代は、「後生」といって、死後の世界が真剣に願われ、お化けや幽霊などを含む俗信や習俗が話題になりやすい環境でした。さらに、円了のうまれた場所は、現在の新潟県長岡市ですが、旧国名を越後といい、そこは雪国で、『北越奇談』『北越雪譜』などで知られる奇事・怪異・怪談が多い地方でした。円了は明治時代になって新しい教育を受ける一方で、「私は、幼いころから妖怪の話を聞くことを好んでいました」と書いているように、妖怪談を聞くことを楽しみにしていた少年でした。このような円了は、青少年のころに、幽霊に関する「恐怖体験」を持っていました。その第一の体験についてはつぎのように語っています。井上円了の妖怪学 2
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