井上円了の哲学は、学術的にはともかくとして、また本人の意図も括弧に括っ 円了はこのように「自分のものの見方・考え方」を求めることを哲学と言った。そて、一般人の理解として見れば、妖怪学という一言に尽きるのではないだろうか。明治期にはさまざまな妖怪が存在すると信じられてきたが、井上円了はそれを科学的に解明しようとした。「科学的に」ということは、妖怪などは迷信にすぎないとして紋切り型でそれを切り捨てるのではなく、筋道を立ててその存在に、あるいはその存在を信じる自分の心に、分析を加え、その由来を明らかにすることを意味する。つまり、妖怪の存在を信じ恐れている人たちが、あくまでも自分自身で納得して、自分の力でそれにメスを入れることができるようにすることが、妖怪学の目標である。れは円了の教育理念でもあったから、妖怪の存在に「自分の力でそれにメスをいれる」ようにしたのである。 八 円了の哲学と妖怪学45
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