東洋大学史ブックレット6
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同一の道理に基づくものと言うことができます。今日の人知では妖怪とみられるものも、将来の人知によってその理の解明が期待されるものです。これに対して「真怪」は「いかに人知が進歩するとも到底知ることができないものにして、これ超理的妖怪なり。」といい、不可知的不可思議なものです。世界には無限絶対の世界と、有限相対の世界、さらに人間世界があります。この人間世界はさきの両界の間にまたがり、よく二界と通じています。これを三大世界といいます。この三大世界に相応して妖怪にも三種類があります。つまり、真怪はいわゆる絶対世界の妖怪で、仮怪はいわゆる相対世界の妖怪です。偽怪は人間世界の妖怪であり、誤怪は偽怪と仮怪の上に偶然に生じたものであるがために、これに対すべき世界はありません。このように、円了は妖怪学の結論として、妖怪の種類を分類し、その定義を行っているのです。  井上円了の妖怪学38

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