この分類を簡単に説明しておきましょう。「偽ぎ怪かい」とは、人の意志、工夫によって構造、作為する妖怪で、これに個人的と社会的の二種類があります。「誤ご怪か」とは、偶然に起った出来事が、誤って妖怪と認められたものです。これに外界と内界の二種類があり、客観的妖怪と主観的妖怪といいます。この偽怪と誤怪は「虚き怪か」であり、真の妖怪とはいえないものです。人の虚構と誤謬から生まれたものなのです。この「虚怪」に対するものが「実じ怪か」です。その第一は「仮か怪かい」です。「仮怪」は人為にあらず、偶然にあらず、自然に起れるものであり、これに物の上に現象するものと、心の上に現象するものの区別があります。そのため、一つを「物怪」つまり物理的妖怪とし、他方を「心怪」つまり「心理的妖怪」としています。さらに「実怪」には「仮怪」の他に「真し怪か」があります。「真怪」とは、真正の妖怪で、いわゆる絶対無限の体を名付けていうものです。「実怪」の中で、「仮怪」はこれを講究してその原理に達すれば、普通一般の規則といん いつょい い 六 『妖怪学講義』の定義37
元のページ ../index.html#41