東洋大学史ブックレット6
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として所蔵されています)。このような文献考証から、円了は「わが国の妖怪は多く中国より入ってきました。真に日本固有と称するものは大変少ないのです。私が想定するところによると、わが国に今日に伝わる妖怪の種類中、七分は中国伝来、二分はインド伝来、一分は日本固有のものと考えられます。」と述べています。さて、円了はこれらの膨大な資料をどのように整理し、講義録として記述したのでしょうか。当時の作成過程を物語る文章はほとんどありません。筆記者の一人である田中治六氏(哲学館の卒業生)は『妖怪学講義』の「第五そして、その実際をつぎのように記しています。先生は学者として構想統合の才に富んでいたことはきわだって目につく特色でした。先生の記憶力も強大にして(なんらかの秘術を用いられたのでしょうか)、われわれのもっ心理学部門」を担当しました。井上円了の妖怪学     28

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