東洋大学史ブックレット6
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ればかりではありませんでした。円了は全国を一周して、日本の社会の実情を肌で感じたのです。そして、この旅で、各地の妖怪について聞き取り調査を行い、大きな収穫をあげることができたのです。その後、円了は一気に「妖怪学」をまとめます。すでに述べましたように、哲学館では創立当初から妖怪に関する講義が行われていました。創立から三年目には「科外きました。そして、明治二六年度(第七学年)の「哲学館報告」の広告に、「本学年度、本館講義録は正科および妖怪学の二種類を発行する」とあり、そのとおりに、『妖怪学講義』は刊行されています。実際の講義も、円了が行いました。これが「妖怪学」の誕生でした。その後、哲学館の授業としての「妖怪学」は明治二七年度以後、通信教育の講義録の形でのみ存在するようになりました。のちに、円了の代表作の一つとなる『妖怪学講義』は明治二六年一一月から『哲学三級合併」で「妖怪学」という名称の講義がで 五 哲学館の危機と妖怪研究    25

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