東洋大学史ブックレット6
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妖怪説明)」(明治二一年)でした。この講義で円了は、「妖怪不思議」という言葉を使って、つぎのように定義しています。妖怪とはなんでしょう。私がいうところの妖怪は、事実現象が奇であり、かつ  異にして、普通の道理で説明できないものを言います。つまり、万物万象の通則では解説できない、いわゆる理法の外に属するものを言います。言葉を換えてこれを言えば、普通の道理や思想をもって思義了知(考えはかって、さとり知ること)ができないものを言うのです。そのことから、あるいはこれを不思議とも言います。私もまたこの二つを合わせて妖怪不思議とも言います。しかしながら、こまかくその名称を論じれば、私が用いるところの妖怪の名は、通俗に言われるところの名称よりもやや広い意義を持ち、私が用いるところの不思議の名称は、字義の上に含むところよりやや狭き意義を持っていると理解してください。この文章では「妖怪」と「不思議」とを区別し、それを総合するときは「妖怪不思井上円了の妖怪学20

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