不思議研究から妖怪不思議研究へ器械上の文明はすでに進みましたが、無形上、精神上の文明は一歩も進んでいません。」このような国家・社会の問題として、円了は奇怪不思議、つまり妖怪の研究が必要と考えていました。円了は具体的に日本人と妖怪との関係をつぎのようにとらえていました。 三現今のところ、各地の人民は、その一〇内の八、九が妖怪を妄信して、正しい道理を知りません。結局、野蛮の民であることを免れない状況にあります。この原因の一つは教育が足りないことで、もう一つは専門に妖怪を研究する人がいな井上円了の妖怪学10
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