東洋大学史ブックレット6
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て新しくなること)は、一半はすでになって、もう一半はいまだになっていない。有形上、ります。これと同時に、同志を誘って、大学内に不思議研究会を開設いたしました。円了がこのような妖怪の研究に取り組み始めたことは、一般にも知られていました。西洋史学を専門にしていた箕み作元八は、明治一八年の「奇怪不思議の研究」という論文で、イギリスの心理研究会(サイキカルソサエティ)の不思議研究を紹介し、日本での同研究の必要性を述べたあとで、「わが大学の井上円了氏が奇怪研究を企てていることを聞きましたが、未だに公言せられたことがなければ、いかなる成績を得られたか、分かりません」と書いています。この論文からも、円了が明治一七年夏から、奇怪不思議の研究をしていたことがわかります。では、なぜ円了が奇怪不思議の研究を志したのでしょうか。当時の円了は日本の国家・社会の現状をつぎのように見ていたからです。「わが国の明治の維新(物事が改まっつくりげんぱち 二 妖怪と心理学の関係を知る  9

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