ころでしたが、その後の円了はクラスの首席になるなど優秀な成績をとり続けていました。そして、明治一四年には東京大学文学部哲学科に入学しました。当時の東京大学は西洋の学問を積極的に移入したところでした。そのため、円了も予備門や文学部で、哲学を中心に幅広く西洋の学問を学びました。円了がこの大学で何を学んだのか、どういう勉強をしたのか、それについては大学時代のノートが現在も残っています。また、文学部三年生のときに『稿録』というノートを二冊分とじたものもあります。この『稿録』は円了が自分で洋書を読んで、重要なところを書き写したノートです。このノートを、ドイツ人の井上円了研究者のライナ・シュルツァ氏が分析しました。その結果、円了が取り上げたのは、専門の哲学が多いのは当然ですが、その他に、生物学・人間学(進化論)、地理学、物理学、辞典・百科事典、化学、歴史、文学と、幅広い分野に及んでいます。当時の哲学の分野では、純正哲学(哲学論)、論理学、 二 妖怪と心理学の関係を知る 7
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