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センター長挨拶

 本年(令和2年)度より高等教育推進センター長を拝命しました。まずは本センターが取り組む事業を以下に列記してみます。

(1)教育内容及び方法改善のための調査、研究及び支援
(2)FD及びSD研究会、研修会、講演会等の企画、実施及び支援
(3)国内外の高等教育の動向に係る調査、研究及び情報提供
(4)新たな教育形態及び教育プログラム等の研究、開発
(5)各学部、研究科での教育活動の改善、改革の情報交換、調整及び支援
(6)その他高等教育推進センターの目的達成に必要な事項

 項目に分けてあると別々のことがらのように思えますが、内容をよく見てみれば、以下のように要約できそうです。

 教育機関としての大学の役目を果たすため、教員と職員がともに工夫をこらし、本学の教育をよりよいものとする努力が求められる。そのため学内外の情報を広く収集し、情報交換と議論の場を提供し、本学の教育の質を高めながら、教育成果を研究のレベルにおいて学内外に発信する。各学部、研究科との連携等、大学内の組織力を高めることで本学の教育の拡充を図る。

 そのためのPDCAサイクルの確立も求められます。計画し(Plan)、実行し(Do)、評価し(Check)、改善せよ(Act)ということです。思いついて、始めてはみたものの、すっぽかし(Cancel)て、投げ出し(Abandon)たりしてはいけない。

 「不易流行」という言葉があります。18世紀の俳諧書『去来抄』には、次のような芭蕉の言葉として伝えられています。

 

   不易を知らざれば基立ちがたく、流行を弁(わきま)へざれば風新たならず。

 

 不易(フエキ)とは「易(かわら)ず」と読んで、世の中が変化し時代が移っても変わらないもののこと。流行とは変化する世に新たに広まってゆくものです。芭蕉は不易も流行もふたつながら大切で、うまくバランスをとってはじめて(よい句ができる)と言っているようです。

 大学教育における不易とは何か。押さえ損ねたら「基(モト)」が立たないものとは何か。あるいは本学の建学の精神とは何であったか。教室や研究室、事務室、会議室で日々の業務に追われる私たちは、ともすれば不易に立ち戻ることをつい忘れてしまうかも知れません。近年しばしば耳にする「能動的な学修」は、学ぶという行いにおいては千古不易のこと。教育の初志を、大学コミュニティの皆さんに時々思い出していただくのも私の役目でしょう。

 そして流行をしっかり視野におさめること。FDやSD、あるいはPDCAサイクルといった、英語なのか日本由来なのか素性のよく分からない言葉も、かみ砕いて中身を考え、実行に移し、検証し、評価する(Assess)。新たな風を呼びこむ流行を不易に根づかせるために、私も微力を尽くしてゆきたいと思います。

 

2020年4月
東洋大学 高等教育推進センター長
副学長 文学部教授
村田 奈々子