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学際・融合科学研究科 先輩からのメッセージ(東 利晃さん)

研究領域を超えた自由な研究環境が、無限大の可能性と国際舞台で活躍するチケットを与えてくれました。

Q.現在は、どのような研究をしているのですか?

「カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube;CNT)」と「DNA」です。
CNTとは、炭素でできているチューブ状のナノマテリアルで、ナノテクノロジーの世界ではよく知られている素材です。鉄よりも強くて電気を良く通す、さまざまな可能性に満ちた素晴らしい素材なんです。DNAは遺伝情報を運ぶ核酸として、バイオサイエンスの世界のみならず、一般にも有名ですよね。
実はこの2つのテーマは、これまで別々の領域で研究されていたものなので、僕のように並行して研究している人は、世界的に見てもまずいないのではないかと思います。もちろん、国内でバイオとナノが同時に研究できる大学院はここだけです。

Q.まさに「学際・融合科学」ならではのスタイルですが、2つの分野を同時に研究することのメリットは?

新しい発見の可能性が、飛躍的に高まるということでしょうね。
僕たちの研究グループは、このCNTに特定のアミノ酸がくっつくことをすでに発見しています。これは世界で初めての発見だったんですよ。さらに僕は、その相互作用を評価して成果も出しています。バイオとナノの融合は、世界でも最先端の研究方法ですから、こういった「世界初」の事例はこれからも間違いなく生まれてくると思います。
今、本学では学問領域そのものの壁が低くなってきています。当研究科の学生自身が、複数領域にまたがった研究ができることももちろんですが、生命科学研究科など、他研究科と共同研究することもしょっちゅうですし、博士前期課程で籍を置いていた工学研究科でも、専攻の違う学生同士が共同作業をする風景はごく当たり前のものでした。フィールドの違う人たちがそれぞれの得意分野を持ち寄って、議論しながら研究を進めていく過程は本当に刺激的で、視野がどんどん広がるのがわかります。知識が足りない部分はすぐに補い合えるので、行き詰まって時間を無駄にすることもない。これだけのメリットを実際に享受していると、学問分野や研究領域にとらわれ続けるのはもったいないことだなと強く思いますね。

Q.工学研究科からこの研究科に移籍された理由は?

僕が大学院に進む時に、この研究科がまだ開設されていなかったからです(2007年度より開設)。僕は大学も東洋で、学部時代は理工学部で電気電子情報工学を学んでいましたが、実は4年生の時から今につながる研究には着手していたんです。電気と聞くと物理的なイメージが強いかもしれませんが、電子は人間の体の中でも動き回っていますし、先にお話ししたCNTのように、電子工学に不可欠なナノマテリアルもたくさん存在しています。電子とバイオ・ナノは、案外つながりが深い領域なんですよ。
この研究科に入学してからも、学部時代、博士前期課程時代の経験は大いに役立っています。CNTがDNAにくっつくことで起こる相互作用を、電子工学的な評価方法を使って評価してみよう、なんてアイディアも出てきますし、逆に電子工学の主力素子であるトランジスタ(コンピュータの集積回路などに使用される「スイッチの集合体」のようなもの)をDNAなどのバイオナノマテリアルで作れないかなと思い立ったり。そして、そのたびに思うんです。研究領域の垣根を越えることは、こんなに自由で可能性に満ちていることなんだって。

Q.その可能性は世界にも開かれているようですね

はい。この学科はもともと世界の研究シーンを見据えて開設された側面が強くて、国際学会や国際シンボジウム、セミナーなど、国際舞台で活躍するチャンスがたくさん用意されています。僕自身、国内で開催されたインターナショナルなシンポジウムを始め、すでにイギリス、シンガポールで開催された国際学会で発表する機会をいただきました。英語は得意ではないのですが、自分の研究分野のことになるとなんとか話せてしまうのは不思議ですね(笑)。
また、国際学会に足を運ぶと、この研究科がどれほど世界の注目を集めているのかが良くわかります。客員研究員を含め、先生方が世界的な著名人ばかりということもあると思いますし、「あ、東洋の人?知ってる知ってる、すごい実験装置があるんだって?」なんて話しかけてもらえるので(笑)、本学で学んでいるということが、貴重な交流のチャンスをより増やしているように感じます。

Q.では、今後の夢や目標は?

バイオサイエンスやナノテクノロジーは、歴史自体がまだ10年程度と非常に新しい学問ですから、今行っている研究は、社会的な評価をすぐにはいただけないかもしれません。けれど、新しい学問だからこそ、そのベースを自分たちが創っているという誇りや自負もあるんです。本学にいる世界的に有名な先生方も、僕ら学生も、恐らくその思いは同じです。プレッシャーも感じていますが、10年先、20年先の未来を見据えて研究を続けていきたいと思っています。今はまだ漠然としていますが、いずれ、バイオとナノを融合させた成果をエレクトロニクスの世界にフィードバックしていきたいですね。10億分の1ミリという小さな小さな世界の研究ですが、無限大の可能性は確かに目の前に存在しているんです。

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