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文学研究科 先輩からのメッセージ(小林 賢さん)

教育学専攻 博士後期課程2年 小林 賢さん
慶應義塾大学病院 リハビリテーション科勤務

(掲載されている内容は2011年7月現在のものです。)

写真:小林賢さん

医療専門職の教育法を確立し、
次世代の高度な育成に役立てていきたい。

Q. 社会人入学ということですが、大学院で学ぼうと思ったきっかけは?

病院では理学療法士として勤務しており、主な業務はリハビリテーションの対象である高齢者・障害者の方々が社会復帰するための日常生活動作に関するトレーニングを担当しています。
また、院内では若手職員の人材育成にあたることもあり、毎年多くの学生が当院に臨床実習で訪れることもあります。そんななかで必然的に"教える"ということを意識するようになったのですが、教えるといっても自らの経験に基づいたものになってしまい、それで本当に人が育つのだろうかと疑問を感じるようになりました。そこで、「教育」ということをあらためて学び追究してみようと思い、卒業大学である本学の教育学専攻を受講することに決めました。

Q. 大学院で学ばれて、仕事現場でも変化がありましたか?

はい、実習生への指導内容も大幅に変わりました。教育学を学ぶことで、経験的な指導のみならず教育学的な視点を持ちながら実践することができるようになったと思います。
例えば、一般的に教育というと指導者と研修生または学生という二者関係で成り立っていますが、病院の専門職の育成の場合、二者に加えて患者さんという存在も大きいわけです。そこで、患者さんが専門職になにを求めているかなども学んでもらうように強く意識して教えるようになりました。現在取り組んでいる研究も、まさに「理学療法士に求められる専門職性の検証?臨床実習における「患者-学生-指導者」関係の視点から?」というテーマで行っています。

Q. 医療関係者で教育学を学んでいる人材は少ないと聞きましたが?

そうですね、医療専門職で教育学を追究している人は確かに少ないと思います。おかげで私の存在が注目され、数年前より講演依頼が来るようになりました。いまでは全国各地で講演活動を行わせていただいています。講演テーマとしては、医療の中の専門職教育をベースに、「臨床実習の課題と対応」や「学生の主体性を引き出すアプローチ」などについて話させていただいています。
また、昨年は専門職教育の書籍を3冊出版させていただきました。本年度も1冊出版する予定です。

Q. 仕事との両立はうまくいっていますか?

現在は週に1~2日程度、夜間に通っています。仕事の時間を調整することもありますが、修士課程から通学しているためほとんど支障なく両立できています。職場の方たちも医療とは異なる教育学という領域であるため非常に関心を持っているようで、私のことを理解してくれています。
それに先生方が授業時間やその他の日程調整など、仕事と両立しやすい環境を提供してくださいますので、とても感謝しています。

Q. 小林さんの今後についてお聞かせください

将来は、第一に我が国における理学療法士教育の充実を考えています。単なる専門家による経験の伝達にならないように、教育学の視点を持った専門職の育成が重要だと考えています。これは結果的にはリハビリテーションの充実につながり、社会貢献できるのではないかとも思います。
そして第二に、諸外国における理学療法士教育に貢献できたらいいですね。特にアジア地区では理学療法士教育が遅れているため、諸外国での学校設置事業や現地での教育を考えています。

Q. 同じように働きながら大学院で学ぼうと考えている人へのアドバイスを

働きながら感じている素朴な疑問を大学院で研究してみてはいかがでしょうか?
社会人の経験が長くなると、いつのまにか自らの経験で解決してしまいます。しかし、学問を通して考えてみると視野が広がるものです。社会人にしかできない研究は数多く存在し、むしろ実践的な内容が多いと思います。