文学部の外国語教育「フランス語」
フランス語とフランス文化
美しい都パリや絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿、文学、美術、映画、美食とワイン、ファッション、サッカー
― おしゃれで奥が深いフランス文化に触れる第一歩としてフランス語を学んでみませんか?
パリへの旅行を楽しむ、ファッション用語や料理用語を理解する、『星の王子様』を自分なりに訳してみる、美しい響きの詩やシャンソンを覚えて口ずさむ、ルーヴル美術館のホームページを閲覧する、映画のせりふを楽しむ、あるいはルソーやデカルトの哲学書を原語で読む
― 言葉を学ぶことで、フランス文化のさまざまな風貌が見えてくるはずです。あるいは、マリー・アントワネットを処刑したフランス革命の意義は何か、印象派の画家の好んだ風景とはどのようなものか、フランスの出生率はなぜ高いかなどといった問題意識を持って見ると、フランスのまた別の面が見えてきます。言葉の勉強は異文化体験の最前線です。単語や文の構造は英語に似ていますから、1年頑張ればかなりの力がつきます。本当の意味でおしゃれで豊かな異文化体験の扉を自分自身の手で開けてみませんか?
フランス語学習の流れ
文学部では1年から4 年までを通してフランス語を学ぶことができます。実際の授業の流れは以下のようになっています。なお参考までに、目標として、実用フランス語検定のレベルが上げてあります。検定受験は義務ではありませんが、自分の実力を知るよいチャンスです。合格すれば大きな自信にもつながります。興味のある人はぜひ教員に尋ねてください。
1年次:フランス語の基礎を学ぶ
(目標:実用フランス語検定4級程度の力をつける)
1 年生は覚えることが多く、なかなかたいへんです。しかしながら、1 年頑張れば、易しい読物を辞書を引きながら読んだり、フランスに旅行したときに初歩的な会話ができるぐらいの力はつきます。
◎フランス語 ⅠA(初級文法)
初級文法の概要を学び、辞書を引きながら平易な読み物が読める程度の読解力をつけることを目的とした科目で、初級の文法事項を一年でほぼ完了することをめざします。はじめて学ぶことばの文法事項を覚えるのはたいへんですが、これがすべてのフランス語力の基礎になります。覚えることを楽しむようになってほしいものです。
◎フランス語 ⅠB(実践力養成1)
日常レベルのフランス語の習得にふさわしい平易な読物や会話教材などを通じて、フランス語の実践力を養います。実用フランス語検定4級程度のレベルを目標として、たんに読むばかりでなく、発音、聞き取り、会話、語彙を総合的に養います。また、授業では、時間の許すかぎりにおいて現代のフランス事情やフランス文化を紹介します。
2 年次:読解力、実践力を高める
(目標:実用フランス語検定3級程度の力をつける)
1 年生では文法事項の習得で精一杯のはずですが、この段階にくると、すこし余裕をもって勉強できるようになります。一人でも多くの学生に勉強を続けてもらいたいと思います。
◎フランス語 ⅡA(文法・講読)
1 年次に学習した文法の知識を確認しながら、易しい小説、フランス文化に関するテクストを読みながら読解力をつけていきます。また、フランス文学・文化のおもしろさに触れてもらいたいと思います。
◎フランス語 ⅡB(実践力養成2)
1 年生で学んだ発音や文法を適宜復習しながら実践的なフランス語能力の基礎をさらに固めていきます。教材は、コミュニケーション能力に重きを置いたテクスト(映画のシナリオ、会話文など)、作文、あるいは実用フランス語検定を念頭においたものを予定しています。また、授業を通じてフランスの文化についての紹介もできるだけしていきたいと思います。
3・4年次:語学力に磨きをかける
(目標:まずフランス語検定3級に合格。准2級、2級に挑戦。留学や大学院入学などにふさわしい語学力を身につける)
◎フランス語 ⅢA(読解力に磨きをかける)
主要な構文や文法事項をあらためて確認しながら、小説やフランス文化・社会について書かれたテクストを読み、フランス語の読解力を養います。とくに大学院受験を考えている人はぜひ受講してください。
◎フランス語 ⅢB(実用フランス語への扉)
フランス文化・社会の現状を伝える教材を材料としながら、実践的なフランス語力にさらにみがきをかけていきます。また必要に応じて、実用フランス語検定(前期はとくに3級、後期は2級)の練習および問題解説なども取り入れようと思います。
*ⅢA、ⅢB は、基本的にはフランス語Ⅱ を履修した学生を対象としますが、たとえば、1年生でフランス語を勉強したが2年生では選択しなかった、選択必修としては英語とドイツ語を学び、フランス語はⅠAだけを自主的に履修したなどといった学生でも、意欲があれば履修できますし、そのようなケースでじっさいに履修し、3年生、4年生で大変力をつけた学生も少なくありません。
いずれの授業でも、時間があるかぎり、フランス文化やフランスの日常生活の様子などを紹介したいと思っています。授業の合間に教員からフランスでの体験談を聞くのも楽しいものです。
せっかくはじめた語学を忘れるのはたいへんもったいないことです。ぜひとも2年、3年と学習を続け、フランス語のほんとうの楽しみを味わってください!
フランス語学習のための参考図書
◎辞書
以下のものから自分の能力・必要に応じて選ぶとよい。
〇初学者用はじめてフランス語を学ぶ人に。大学1~3年程度
・『Le Dico 現代フランス語辞典』(白水社)
・『ジュネス仏和辞典』(大修館書店)
・『プログレッシブ仏和辞典』(小学館)
・『プチ・ロワイヤル仏和辞典』(旺文社)
・『クラウン仏和辞典』(三省堂)
・『白水社ラルース仏和辞典』(白水社)
〇中級用上記の辞書より高価だが、情報量は飛躍的に増える。本気で勉強する気持ちのある学生は、むしろはじめからこの辞書を購入するとよい。
・『ロワイヤル仏和辞典』(旺文社)
・『新スタンダード仏和辞典』(大修館書店)
・『小学館ロベール仏和大辞典』(小学館)
・『仏和大辞典』(白水社)
*電子辞書は、一冊の中にさまざまな情報が盛り込まれ、きわめて便利である。一方、ひとつの単語のもつたくさんの情報を一度に見るという点では使いにくい点もある。強制ではないが、書籍のかたちになっている辞書を使いこなすことも覚えるとよい。
〇仏仏辞典 学習が進むと、「フランス語で考える」という発想が必要になってくる。フランス的な言語感覚を身につけるためには、単語の意味も、仏仏辞典で引いて確認したい。
・『ラルースやさしい仏仏辞典niveau 1 』実用フランス語検定2級程度の語彙をカバー。読んでいるとフランス語的な発想がわかる。
・『ラルースやさしい仏仏辞典niveau 2 』実用フランス語検定準1級程度の語彙。
・Le Petit Robert, Robert フランスでも語義に触れる際に依拠されることの多い辞書。フランス語やフランス文化をある程度専門的に勉強する場合には、基本の学習資料となる。
・Jean Dubois, Dictionnaire du français contemporain, Larousse 現代フランス語で用いられる語彙をコンパクトにまとめた辞書。
〇和仏辞典 仏作文用にあると便利。
・『プチ・ロワイヤル和仏辞典』(旺文社)
・『コンコルド和仏辞典』(白水社)
・『コンサイス和仏辞典』(三省堂)
◎語学参考書
〇参考書
・数藤ゆきえ・洒井由紀代『新モン・フランセ』駿河台出版社
ごく初級の文法のまとめプラス練習問題検定4級程度に役立つ
・野村二郎『フランス文法入門ハンドブック』第三書房
文法事項を一項目見開き2ページでわかりやすく解説。適切な例文を含む。文法のまとめに役立つ。
・杉山理恵子『中級をめざす人のフランス語文法』、NHK出版 初級を終えて、フランス語の知識をさらに深めようとする人に最適の書。文法、構文、表現、語彙など多岐にわたって多くの情報が盛り込まれている。
・新倉俊一著『フランス語ハンドブック』白水社
一冊で、文法・解釈・文の構造などを総合的に解説。中級から上級。大学院受験などにも役立つ。
・目黒士門『現代フランス広文典』白水社
あらゆる文法事項をまとめた文法参考書。事典としても使用できる。
・朝倉季雄『新フランス文法事典』(白水社)
膨大な資料から例を引き、フランス文法のあらゆる側面を網羅的に記述した文法辞書。文法の難題に直面したときに頼りになる事典。
・白水社『コレクションフランス語』シリーズ
フランス語の総合的参考書。用途に応じて選ぶとよい。
(1)入門 (2)初級 (3)文法 (4)話す (5)読む (6)聞く (7)書く (8)語彙
・大賀正喜『現代仏作文のテクニック』大修館書店
仏作文の勘所を実践的に学べる。
・石井洋二郎『メディアのフランス語入門』白水社
時事フランス語の語彙、テーマなどをつかむのによい。
〇問題集
・西村牧夫『解説が詳しいフランス文法問題集』白水社
初級を終え、中級に進もうという人のための文法問題集。参考書として用いてもよい。
・フランス語教育振興協会『仏検公式ガイドブック』
実用フランス語検定準備のための参考書。それぞれの級について、概要、実際に出題された問題と解説、受験準備のコツなどが紹介されている。
・実用フランス語検定『傾向と対策』エディション・フランセーズ
級ごとに、予想問題、必要な文法事項、語彙などが盛り込まれている。
・新倉俊一『問題本位フランス文法』白水社
中・上級大学受験などに役立つ文法問題。
〇単語集
・久松健一『仏検3・4級必須単語集』白水社
3・4級受験のために必要な約1400語を収録。
・モーリス・ジャケ、久松健一『仏検準1・2級必須単語集』白水社
2級・準1級受験のために必要な単語約2000語を精選して収録。
・久松健一・佐藤公彦『データ本位 でる順仏検単語集 5級~2級レベル』駿河台出版社
・朝倉季雄『新版 朝倉フランス基本単語集』白水社
文学的なテクストを読んだり大学院を受験したりする場合にひととおり覚えると読書が楽になる。2400語程度。
・村松定史『デイリー日仏英・仏日英辞典』三省堂
日本語見出し約13000が中心。「この日本語をフランス語で言うと」に答えてくれる。旅行用、あるいは単語帳として使用してもよい。
・佐藤房吉『フランス基本熟語集』白水社
もっとも基本的な熟語約800を収録。
・朝比奈美知子『フランス留学で役に立つ単語と表現』三修社
日常生活から諸手続きまで、留学する場合によく使われる単語を集めて解説したもの。
〇フランスについて知るための参考書
・朝比奈美知子・横山安由美編著『フランス文化55のキーワード』ミネルヴァ書房
文学・思想から美術、おしゃれまでフランス文化の多様な面を55のキーワードで紹介。興味深いエピソードを満載し、図版も豊富。楽しく深いフランス文化学入門書。
・渡辺一夫・鈴木力衛『増補フランス文学案内』岩波文庫
フランス文学史の伝統的名著。軽便で格調も高い。
・安藤元雄・入沢康夫・渋沢孝輔編『フランス名詩選』岩波文庫
フランス詩の名作が対訳で原文とともに味わえる。
・横山安由美・朝比奈美知子『はじめて学ぶフランス文学史』ミネルヴァ書房
文学史的に重要な作品を時代思潮にむすびつけて解説。原文と訳を掲載。「はじめて」という題名ではあるが、大学院の受験にも使用可能。
・『事典現代のフランス』大修館書店
地理・歴史や政治からモードなどに至るフランスの様々な面を、かなり詳細なデータとともにくわしく解説。読む事典としておもしろい。
・田村毅・塩川徹也・西本晃二・鈴木雅生編『フランス文化事典』丸善出版
フランス文化のさまざまな項目を中項目で解説する事典。
・鈴木雅生・福島勲・田村毅編『フランス文化読本 フランスを知るための16の窓』丸善出版
16のモニュメントからフランスの文化、歴史などを説明。
・白水社の月刊誌『ふらんす』
フランスの文化や社会に関するさまざまな情報を紹介。気軽にフランスに親しむことができる。