法学部ゼミ紹介(根岸ゼミ)

民法の観点から社会問題を考察する

コース10 教員:根岸 謙

ゼミの内容

本ゼミでは、各自が国内外の社会問題を研究テーマとして設定し、これを人類が多年にわたって築き上げてきた民法(学)という分析ツールにより、一つひとつ丁寧に検討し、悩み、そして他の
ゼミ生とともに考え抜くということを通し、論理的思考力や文章表現力、コミュニケーション能力、責任感、チャレンジ精神を養うことを目的としています。

2022年度春学期は、報告のお作法を学ぶべく、「比較法的観点からみた不法行為法の素描を目指して」という共通のテーマのもと、個別にテーマ設定をして1人ずつ担当を割り当てて報告してい
ます。また、秋学期は、各自の進路や興味のある事柄との関係で、民法に関する範囲で自由にテーマを決めて報告していただく予定です。

【春学期】比較不法行為法(2022年度のみ)

契約法に次いで不法行為法のグローバル化(世界標準化)が目指されている中で、日本・イギリス・ドイツ・フランス・ソフトローの不法行為規範群中に共通して存在する11種類の 「法的素粒子」(例えば、過失責任、損害概念、責任能力、使用者責任、動物占有者責任など)を抽出し、これを各国で比較することで、その「法的素粒子」の位相を明らかにしていくという比較法的分析手法を用いた調査・研究を行なっています。ゼミ生は誰も不法行為法を学習した経験がありませんが、報告のために協力しあって調査やレジュメ作成を頑張っています。

・比較不法行為法における動物管理者責任の位相(2022年報告時3年生)
・比較不法行為法における消滅時効の起算点(同3年生)
・比較不法行為法における過失責任の構造―特に不法行為法体系における諸責任との関係性を中心に(同3年生)
・比較不法行為法における責任能力―責任能力概念による保護の絶対化と過失評価による保護の相対化との相克(同3年生)
など

【秋学期】自由課題(予定)
・株式譲渡と表明保証(2021年報告時4年生)

・定期傭船契約における契約構造と課題―平成30年商法改正を参考として(同3年生)
・日本とイギリスにおける任意後見の比較検討(同3年生)
・英文契約書における特徴的な英語表現についての考察(同3年生)
・シンジケートローンにおけるアレンジャーの責任―最高裁判所平成24年11月27日判決を中心にー(同3年生)
・スマートコントラクトによる新しい賃貸借契約観の到来と展開(同4年生)
・所有権留保との架橋的観点からのファイナンス・リースの法的構成論の検討―スウェーデンにおける回復権留保の議論を参考に―(同4年生)

など

 

特徴・雰囲気・特別活動等

本ゼミでは、まずどのようなテーマについて研究・調査をするか、という研究課題の設定から始まります。基本的には、「このテーマを報告したい」というゼミ生の希望を尊重していますが、自身でテーマを決めることができない方には、将来の進路や興味・関心等を教員が聞き取り、その方にあったテーマを複数提示して、その中から選んでもらっています(2022年度春学期は「比較不法行為法」という共通のテーマを設定しましたが、次年度はゼミ生と相談し、これ以外のテーマを設定してみたいと考えています)。

報告では、フロアのゼミ生や教員から質問や意見が出て、そこで議論が生まれて、いつも良い意味で脱線しています(外国の条文の翻訳文を読んで分からないときは、毎回、ホワイトボードにその原文(英語やドイツ語)を書き出して、文構造を把握して意味を理解しています)。ですので、報告時間が90分では収まらないことが多いです。

また、報告の他にも本ゼミでは、懇親会やゼミ合宿(予定)、海外の大学との合同ゼミ(2021年度ZOOMで開催)、プレゼント交換会、模擬裁判など、様々なイベントを行っています。

 

ゼミの学生に対して望むこと

上手く言い表すことができませんが、現ゼミ生の全員に「失敗してもいいから、やれることはすべてやり尽くして報告にのぞむ」という姿勢が見受けられます。報告時の報告者の目つきは教員も萎縮するほど鋭く、フロアのゼミ生もその真剣さを感じ取り、ただならぬ空気感が形成されています。ゼミ終了後にヒーローインタビューのように報告者に対して「お疲れ様でした」と声をかけると、一様に「先生、本当に疲れましたよ」と、若干涙目の満面の笑み(?)で答えてくれますが、そのワンシーンが全てを物語っているように感じられます。 同調圧力という「空気」に対しては、時に「水を差す」ことも大切ですが、ゼミでのこの空気感に対しては水を差さぬよう私も頑張ります。