教員紹介(市田 せつ子)

市田 せつ子(Setsuko Ichida)

教授(国際観光学科)

【略歴(プロフィール)】
-Brief Summary of Career(Profile)-

東京大学大学院人文科学研究科でドイツ文学を専攻して博士課程まで進みましたが、
方向を転じ、留学生の日本語教育の助手として同大工学部に就職しました。
これ以降、日本語教育・ドイツ語とドイツ文学の2つのトラックを行きつ戻りつ
他大学そして今日の東洋大学にお世話になってきました。
 

【研究分野(専門領域)】
-Research Field-

19世紀末の詩人リルケが修士論文のテーマでした。その後は、当時の芸術至上主義的、かつ帝国主義の華やかな時代を離れ、18世紀の啓蒙主義・古典主義に触れ、とりわけクライストに何度か取り組みました。
18世紀はフランス革命、アメリカ独立などにより今日の民主主義を根幹とする政治思想と世界地図の骨格ができた時代です。それが可能になった理由の一つは道路の改善・測量学の進歩などにより、人の行き来が大幅に増え、地方から中央に、また海をまたがっても一気に人が集まれたことでした。騒擾のかたわらでは、この時代、旅の楽しさも喧伝されました。私が国際観光学科に入って出会えたテーマが旅の楽しさです。

 

【最近の主な研究テーマと活動内容】

-The Latest Research Theme and Activities-

18世紀の作家クライストが軍人貴族の出身で、戦争というテーマが彼の人生と作品を覆っていたこと、またドイツと日本の関係では、1914年の第1次世界大戦勃発と共に、日本とドイツが中国の青島で戦い、負けたドイツ軍の捕虜が来日して約4年半日本で拘留され過ごす中、バウムクーヘン、ソーセージなどの食品やサッカーなどを通じてその土地ごとの文化交流があったことも背景にはやはり戦争があるため、戦争のテーマから離れられません。ただ戦闘行為に関心があるのではなく、戦時を背景として現われる人々の風俗・振る舞いから観光への渇望など、その時なりの平時を明らかにしたいと思います。

 

【主な担当科目】
-Main Subjects-

ドイツ語Ⅰ、ドイツ語Ⅱ:
ドイツ語はゲルマン系の言語として英語と根っこを同じくしていますが、語順や、語の作り方などむしろ日本語と共通部分がたくさんあります。それに着目して、言語とは何か、という大きな考えに触れてほしいですし、各言語のつくりの不思議さを楽しんでほしいです。同時にネット時代の様々な生の情報に触れ、ドイツ語ですぐにわかることもたくさんあることを知って、日々の役に立ててほしいです。

ヨーロッパの歴史と言語:
このような大きなテーマですので、どうしても時系列としてヨーロッパの始まり、古代ギリシア・ローマから論じていましたが、今年度は戦争をテーマに話題を分類して、現在の問題に至るまでを取り上げ、受講者に論じてもらいました。

 

【受験生・在学生へのメッセージ】
-Message for Students-

今年「ヨーロッパの歴史と言語」で受講生から発表されたV.フランクルの『夜と霧』は是非読んでほしいです。ナチスにより管理されたアウシュビッツ強制収容所から生還したウィーンの精神医学者が戦後すぐに公表した手記で、どんな状況でもひまわりのように向日性を持つことが可能であると教えられます。多くの人が無関心になり心を失う中で、誰かが自分を待っているという愛を感じることが自分を支えたと書かれています。