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卒業制作・研究の紹介

平成28年度 学科長賞 優秀作品・論文

空間デザインコース

馬場 亮太 制作:門前百景
檜渡 紗希 研究:女性の視点から考える重要文化的景観選定後の集落の可能性
- 愛媛県西予市明浜町狩浜地区を事例として -

生活環境デザインコース

小林 優里 制作:MUSEUM NANA
- 親子の美術鑑賞行動調査に基づく美術館の提案 -
笠松 浩行 制作:組立式仮設おむつ替え台の制作

プロダクトデザインコース

近藤 明里 制作:TRICURURI
- ストレスフリーな商業用傘立て -
齊藤 由紗 制作:Moist Frame
- 自然の力で加湿する自然気化式の加湿器 -

これらの作品・論文をご覧になりたい方はこちら![PDFファイル/2.5MB]
※2016年度卒業制作選集(アートディレクション:金坂義之,作品撮影:田中慶)より抜粋

また、オープンキャンパスでは、過去の卒業制作選集もご覧いただけます。

一年を数分に。数分を一生に。 —卒業研究/制作発表会を通じて—

(書き手:実習指導助手 吉田尚平)

毎年1月下旬にかけて人間環境デザイン学科の卒業研究/卒業制作の発表会が行われます。卒業研究/卒業制作とは、学業の集大成として四年次に取り組む論文/制作活動のことです。

本学科には3つのコース「空間デザイン」「生活環境デザイン」「プロダクトデザイン」が設置されていて、(詳しくは当学科のホームページをご覧ください)そのいずれもが、卒業研究か卒業制作(以下、卒論/卒制と通称で書きます)のどちらかを経なければ、学位を修得することができません。

 
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このように言ってしまうと卒論/卒制は「やらなければならない」ことのように聞こえますが、実際には「好きなことを追求できる」とても充実した時間なのです。

卒論/卒制の最も特徴的なところは、それまでに行われるデザインの演習とは違い、一切与えられたもの(課題や条件)が無いということです。 

・何をテーマに研究するのか?
・何を制作するのか?
・誰のために?
・研究の手法は?
・解決策は?
・制作方法や材料は?
・どういうスケジュールで?

etc…

挙げ始めればキリがありませんが、このように、すべてがゼロからはじまり、考え、決断し、進めていかなければなりません。このことは高校生のみなさんが想像しているより、はるかにムズカシイ(あるいは、みなさんにとってはカンタンなことかもしれません)ことなのです。(もちろん、教員からアドバイスはもらえますし、それまでの演習によって卒論/制作に立ち向かう力は養われるので安心してください)

 
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しかし、考えてみれば、「課題」が与えられるのは、学生の間だけで、社会に出れば課題は与えられません。むしろ、与えられたことを解決する力は「前提」として求められます。社会で顕在化している問題は、すでに誰かが取り組み、解決しようとしているからです。他でもないこの「私(あなた)」が生きていくことの意味は、「私(あなた)」にしかできないことに取り組んでいくことではないでしょうか。

ですから、これから私たちに求められる力は、社会の中で息を潜めて隠れている、まだ誰にも見えていない問題を自ら見つけ出し、解決することです。当然、問題がまだ見えていないわけですから、そこには正解もありません。自らが「問い」を立て、「回答」しなくてはならないのです。その意味で、卒論/卒制は、社会において自立して生きていくための演習だと言えるでしょう。

さて、そのようにして「問い」を立て、「回答」するためには、1年(卒論/卒制は早ければ4年次の春からスタート)という時間は短いように思えます。学生にとっては経験のない長い時間ですが、実際には、とても短い時間です。

その過程には、多くの障害(完成間近でパソコンのデータが消える、制作物に飲み物をこぼされる、隣の人がもう完成間近で焦りはじめる、自分が気づいた問題はすでに誰かが解決していた、ヒアリング調査が終わっていない、バイトする時間がない、彼女にふられてやる気が出ない、などなど)があり、締め切りが近づくにつれ制作工房(学生が使えるとても素敵な作業場所があるのです!写真をご覧ください)には焦りや高揚感など様々な気持ちが入り乱れ、ワイワイガヤガヤとお祭りにも似た空気が漂いはじめます。

 
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そうして多くの障害を乗り越えながら締め切りを迎え、論文や制作物というカタチになった学生の「問い」は、きわめて個人的な考え方から社会に対する申し立てまで、バリエーションに富み、「回答」としてのデザインも様々で、他には無い唯一無二の論文/制作物になります。

彼/彼女らが長い時間をかけ、強い思いを持って望んだ発表会は、当然、それまで経験してきたプレゼンテーションの場とは全く違い、ヒリヒリするほどの緊張感が会場を包みます。

プレゼンテーションの時間はたったの数分間!

およそ一年をかけて取り組んだ内容を数分間にまとめなくてはならないのです。

きちんと練習を積んできた学生や、緊張のあまり口がまわらなかったり、早口になったりする学生、時間が足りずにまとめが弱くなってしまった学生、しっかりと質疑に応える学生、などなど…

 
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そして、その結果は、プレゼンテーションと質疑応答の数分のみで教員から判断、評価され、自分の努力とは無関係に客観化されます。(厳しい言い方ですが、もちろん努力がプレゼンテーションの結果につながります)学生たちはこの結果をもって、自分が取り組んできた時間を振り返り、卒論/卒制の意味、そして自分自身を再認識することになります。それは、立てた「問い」の複雑さや深さかもしれませんし、失敗したところ/成功したところを通じて感じた自らの短所や長所かもしれません。このことは卒論/卒制に対して真摯に向き合った彼/彼女らにしかわからないことなのです。

このようにして取り組んだ時間や「問い」と「回答」、そして自己認識は、たった数分のプレゼンテーションを経て、自分の中に一生残りつづけます。(本学科で卒制に取り組んだ私は今でも思うところがあります)卒論/卒制は、現実的な有用性や即効性はなくとも、これから彼/彼女らが社会で生きていくための出発をする契機となって、時に別の問いと結びつきながら、自らの意識に根を張って、大きな糧となるのです。

こうして今年もまた多くの素晴らしい研究と作品が生み出されました。みなさんも人間環境デザイン学科で卒業研究/制作に取り組み、一生ものの体験をしてみませんか?

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