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井上円了没後100周年を迎えて

 2019年は、東洋大学創立者・井上円了の没後100周年にあたります。このサイトでは、これを記念して、本学創立期のあゆみと井上円了が果たした役割の大きさを振り返ります。

 近代日本の黎明期に、「知と行動の巨人」と呼ぶべき人物がいました。その名を井上円了といいます。彼の事績をたどり、その学問的業績等を探索してみると、知れば知るほど実に偉大な存在であることがひしひしと迫ってくる思いに駆られます。

 井上円了は、1858年、新潟県長岡地方の一寺院に生まれました。長じて東京大学文学部哲学科に学び、学生時代から先輩らを統合して哲学会を組織し、日本の哲学研究の先鞭をつけたのです。若くして私立哲学館を興し、広く民衆を対象とした教育活動を始めました。哲学館はやがて明治37年、哲学館大学(後に東洋大学)へと発展するも、円了は明治39年に同大学を退き、その後は全国を講演してまわって、社会教育活動に一身を捧げました。大正8年、大連で講演中に倒れ、この世を去りました。享年、62歳の生涯でした。

 円了は少年時代から深くものごとを考えることしばしばであったようです。東京大学で西洋哲学を学んで、そこに自己の人生を託すに足る思想を見出すとともに、その観点から仏教を顧みて、そこにはつとに同等の真理が語られていたことを発見します。ただし円了の学問は、それだけに閉じられたものではありません。人文系のあらゆる学問分野で先駆的な業績を上げ、さらにはこの世のありとあらゆる不思議現象の解明にも挑戦して、「妖怪学」を確立しました。それは、当時の民衆の間にはびこっていた迷信を退治して、先進的な近代国家への道を開こうとするものでありました。

 このように井上円了は、広範な分野で偉大な業績、足跡を残した方でした。この一年、本学では記念シンポジウムや講演会等を開催しますので、多くの皆様方にご来学いただき、円了の軌跡と真価とを知っていただく機会となれば幸いです。