哲学館:帝国大学でしか哲学を学べない現状、哲学館の役割とは?

寺の一室を借りての出発

1887年9月16日、午後一時から本郷区龍岡町(現在の文京区湯島)の麟祥寺において。哲学館の仮開館式が挙行されました。この日、哲学館が誕生したことになります。仮開館式と呼んだのは、まだ独立した校舎を持たず、寺の一室を借りての出発だったからです。

今日でも歌人として知られている佐佐木信綱は、井上円了の『哲学一夕話』などを読んで哲学に興味をかきたてられた青年で、この式典に第一期生として出席しました。彼は、「開校当日、麟祥院へ行ってみると、本堂にだいぶたくさんの人がおりました自分の第一印象としては、自分と同じく哲学を知ろうとあこがれている人がこのように多いのだろうかと、驚くとともに喜びました」と、その時の感想を語っています。

円了が教育機会を開放したかった、その対象者

この式典で、井上円了は哲学館の目的を述べ、教育の対象者をつぎの三点にまとめています。

  1. 第一 晩学にして速成を求める者
  2. 第二 貧困にして大学に入ることが不可能な者
  3. 第三 原書に通ぜずして洋語を理解できない者

これらの人々に教育の機会を開放し、帝国大学でしか哲学を学べないという現状を改める、これがまず哲学館の役割であると述べました。