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竹中平蔵氏・福川伸次理事長 特別対談
グローバル・イノベーションをリードする人材の育成が重要な課題に

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竹中平蔵氏・福川伸次理事長 特別対談

グローバル・イノベーションをリードする人材の育成が重要な課題に

グローバル化が急速に進展する現代社会。大学にはその変化に対応できる人材の育成が求められている。東洋大学では、2014年度に文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」に採択されるとともに、2017年度に※国際学部グローバル・イノベーション学科(仮称)の新設を構想するなど、ダイナミックな改革が進行している。グローバル時代に大学はどのような役割を果たすべきなのか、元経済財政政策担当大臣の竹中平蔵氏と、学校法人東洋大学の福川伸次理事長が語り合った。
(司会進行/松原聡 東洋大学副学長・経済学部教授)

竹中平蔵氏

元経済財政政策担当大臣
竹中 平蔵氏

たけなか・へいぞう 2001年経済財政政策担当大臣。2002年金融担当大臣・経済財政政策担当大臣。 2004年経済財政政策・郵政民営化担当大臣。2005 年からは総務大臣・郵政民営化担当大臣を歴任。現在は慶應義塾大学総合政策学部教授や国家戦略特別 区域諮問会議のメンバーとして多方面に活躍。

福川理事長

学校法人東洋大学 理事長
福川 伸次

ふくかわ・しんじ 1955年通商産業省入省。通商 産業事務次官を経て、1990年6月神戸製鋼所代表取締役副社長。1994年6月同副会長、同年11月電通総研代表取締役社長兼研究所長。2003年3月に学校法人東洋大学理事となり、2012年12月学校法人東洋大学理事長に就任。


グローバルアジェンダ解決の意志と能力を持つ人材を


─グローバル化に伴って、どのような変化が起こっているのでしょうか。

竹中 2012年に英『エコノミスト』誌が、2050年の世界を予測した「メガチェンジ2050」を公表しました。その中で私が印象的だったのが「21世紀は、シュンペーター(不断のイノベーションが経済を変動させるという理論を構築した経済学者)が唱えたイノベーション競争の時代に入る」「グローバリゼーションはどんな逆風があっても進行し、英語は国際語の王座として君臨し続ける」という2つの指摘です。残念ながら、イノベーションと英語が得意でない日本人が多いので、高める努力が求められます。
福川 私もイノベーションが21世紀の最大のキーワードになると考えています。既存のエネルギー技術には限界がありますし、情報技術も新しい展開が不可欠です。技術面のイノベーションも重要ですが、それだけではありません。社会システムでもイノベーションが大切になります。なぜなら、資源、食糧、マーケットのいずれも海外に依存している日本は、グローバリズムの進展なくしては生きていけません。締結に向け交渉の続くTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をはじめとするFTA(自由貿易協定)は、貿易の自由化や経済のオープン化を実現するでしょう。
また、それぞれのFTAの中身を見ると、規制の仕組み、国営企業の扱いなど、かなり違いがあります。TPPが成立した後も、仕組みを進化させるなど、絶えずアップデートを迫られることになるでしょう。

─グローバル社会の中で、日本がいかに存在感を示せるのかも重要なテーマです。

対談の様子1

竹中 世界からリスペクトされる存在でなければならないでしょうね。そのためには、個の力が重要になると私は考えています。いま世界には、地球環境問題をはじめとして、エピデミック(疫病感染)、テロリズム、貧困、ギリシャの金融危機など、グローバルアジェンダと呼ばれる、世界的規模で解決を要する課題が山積しています。政府や国際機関、企業などだけで解決するのは難しく、個人もさまざまな形で参加して、マルチステークホルダーで対応しなければならないのです。グローバルアジェンダを解決しようとする意志と能力を備え、課題解決の場に積極的に参加する意欲を持った人材を育成することが、大学に課された使命だと考えています。
福川 人口減少期を迎えた日本は、もはやGDPではアメリカや中国に及ばないでしょう。では、どのような形で存在感を示すのか。私は「経済の質の高さ」と「人間が尊重される社会」が日本の道標だと考えています。日本には伝統的に「相互の信頼関係がある」「自己努力を怠らない」「ものづくりに長けている」「環境を大切にする」など、世界に誇れる価値があります。問題はその強みを発信するコミュニケーション能力や、ロジカルシンキング(論理的思考力)が不足していることです。「沈黙は金」「目は口ほどにものをいい」といった諺があるように、声高に発言しないことを美徳としている傾向があります。グローバル化が進み、価値観が多様化していく中で、それでは通用しません。ロジカルに考えて、きちんと説明・説得できる能力を鍛えることは、大学教育の大きなテーマでもあります。

─確かに、グローバル化が進行しても、対立は生じますから、意思決定の際には、調整力、交渉力など、コミュニケーション能力が問われます。

竹中 グローバル化とは多様性を許容するところから始まります。日本では、俳句や短歌に代表されるように、長々と説明するのではなく、短い言葉で美しく表現することを尊ぶ文化があります。その文化自体は大切にしつつも、それでは他国の人々には通用しないという多様性を、意識的に受け入れることが大切です。

日常的な異文化交流が 新しい価値を生み出す


─近年、経済が伸びている国は人口も増加しています。人口減少期に入った日本が活力を維持するために必要なことは何でしょうか。

対談の様子2

竹中 1990年代ごろまで、開発経済論の分野では、人口はアセット(資産)か、ライアビリティ(負担)かという大論争がありました。そんな中で、2001年のゴールドマン・サックスの投資家向けレポートに登場した言葉が「BRICs」で、人口の多い4カ国が新興経済大国に選ばれています。グローバリゼーションによって資本や経営ノウハウは海外から流入するので、人口が多く労働力さえ確保できれば経済は発展すると予測したわけです。当時は半信半疑でしたが、インドや中国の成功を見れば、この予測が正しかったことが分かります。ゴールドマン・サックスは2005年に、次の経済成長が期待できる「ネクスト11」も公表していますが、大半が人口の多い国です。
 その一方で、1人当たりGDPが高いのはルクセンブルク、ノルウェー、スイスなど、人口の少ない国です。これらの国に共通するのは、参入障壁の低いオープンな制度になっていることです。日本も1人当たりGDPの向上を目指すべきだと思いますが、一部の既得権益を守るための規制が厳然と存在しています。経済的にきわめて非効率な状況が温存されているわけで、強い意志を持って国内改革を進めることが重要です。
福川 私がいま改めて注目しているのが、1985年のレーガン政権下でまとめられた、米国の競争力を復興させるための提言書「ヤングレポート」です。その中に、外国の若者を集め、優秀な場合は居住権を与えるという提言があります。それを受けて、アメリカの大学で学位を取得する学生の半数がアメリカ人ではない時代がありました。人口減少期の日本でも、同様に世界の知を集結させる方策が有効だと思います。

─2017年度に開設を構想している※国際学部グローバル・イノベーション学科(仮称)でも、100名の定員のうち30名は外国人留学生を受け入れる予定です。

集合写真

福川 東洋大学は2014年度、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」に採択されていますから、既存学部でも外国人留学生を積極的に受け入れていきます。3Mの元CEO・デジモニ氏がかつて「同じ文化の人が集まっても、新しい文化は創造できない」と語っていますが、私も同感です。キャンパスに日常的な異文化交流が生まれる中で、新しい価値の創造、すなわちイノベーションが起こると考えています。
竹中 大賛成です。イノベーションの本来の意味は「新結合」です。多様な価値観の新たな結びつきが、イノベーションにつながることを期待しています。

※2015年8月現在、設置構想中。学部学科名称は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。

司会進行

松原聡教授

東洋大学 副学長
経済学部教授
松原 聡

まつばらさとる 1954年、東京生まれ。筑波大学大学院修了。経済政策,とりわけ民営化,規制緩和を専門にしながら,マスコミなどで積極的に発言。 郵政改革(小泉内閣・郵政懇談会委員、通信放送改革(竹中大臣・通信放送懇談会座長)などで政府委員を務めてきた。1996年より東洋大学教授。 2015年4月、東洋大学副学長に就任。

 

2017年4月 開設予定
国際学部 グローバル・イノベーション学科(仮称)

※2015年8月現在、設置構想中。学部学科名称は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。


世界の舞台で先端的な役割を担う、グローバルリーダーを育成する


東洋大学は2014年9月、文部科学省が日本の高等教育の国際競争力の向上を目的に、国際化を進める大学に重点支援を行う「スーパーグローバル大学創成支援タイプB(グローバル化牽引型)」に採択されました。世界を舞台に活躍し、新たな価値を創造するグローバルリーダーの育成をさらに加速させるため、2017年に『国際学部グローバル・イノベーション学科(仮称)』の新設を構想しています。
グローバル化の急速な進展により、現代社会のさまざまなシステムは行き詰まりを見せています。いま求められるのは、グローバルな視点に立ち、新しい時代に合ったシステムや価値を創造できる人財です。こうした社会の要請に応え、世界の舞台で先端的な役割を担うグローバルリーダーを育成する「国際学部グローバル・イノベーション学科(仮称)」の設置を構想しています。


<グローバル・イノベーション学科(仮称)の特色>


■すべての授業を英語で行い、日本人学生には海外への長期留学(1年間)を義務化。

■クォーター制(4学期制)を導入し留学生の受け入れを推進。
 入学定員の30%をアジアを中心とした留学生に。

■企業や社会における価値創造を促す「イノベーション能力」を修得。
 世界をフィールドにして活動できる人財を育成。

■起業家育成プログラムを通し、実践的な起業活動を行う人財を育成。