1. トップページ
  2. Research//研究
  3. 研究所・センター
  4. 東洋学研究所
  5. 共同研究 「日本文化の背景となる仏教文化の研究」
MENU CLOSE

共同研究 「日本文化の背景となる仏教文化の研究」

  • English
  • 日本語

共同研究の概要

東洋大学東洋学研究所

井上円了記念研究助成・大型研究特別支援助成による研究

「日本文化の背景となる仏教文化の研究」

研究計画 平成29年度~平成30年度(2年間)

 

◆研究の背景

日本文化は天照大神の存在に『金光明経』の影響が指摘されているように、記紀の内容への仏教の影響が指摘されるなど、古くから仏教を受け入れるかたちで培われてきた。上代から現代に至るまでの文学作品、能についても、仏教の影響は計り知れない。しかしながら、その仏教哲学の内実、精神性に踏み込もうとするとき、非常に困難な道を歩まなければならず、文学に表れた日本仏教文化の影響をみるとき、文学研究者と仏教研究者との共同作業が必要になる。また、深く仏教の内実に踏み込んだ研究成果をあげた場合、それを広く一般に伝えていく場合にも困難が生じる。仏教の研究においては非常に高度な研究がなされているが、門外漢にとっては近寄りがたいものとなっている。その一方で広く一般に仏教学の成果が浸透しているとは言い難い。

そこで、もう一つの課題として、広く一般に研究成果が理解されるためにどのように研究内容を伝えていくか、という教育のあり方を検討課題とする。研究成果を伝えるための、土台となる基礎的な理解力の涵養、研究成果を伝えるための導入方法、そして、研究成果における問題の所在の把握と、研究成果内容の把握に至るまでの行程が検討される。同時に、国際的な見地から日本の仏教文化がどのように把握されているかを見ることによって、日本仏教文化に対する多面的な考察が可能になる。

以上の課題に対し、東洋大学東洋学研究所は研究の課題について取り組むに足る仏教、日本文学、哲学研究者を擁し、それに応えるだけの実績を積んでいる。教育の課題については、各研究者の成果を広く一般に伝えるよう尽力している。国際的な日本仏教文化の理解の把握については、研究所プロジェクト「仏教思想に見る日本・中国・韓国の共通性と差異」(平成25~27年度)において東洋大学の支援を得て、中国・韓国の研究所と共同で研究活動やシンポジウムを開催し、成果として『東アジア仏教学術論集』を発刊している。以上の点から、本研究に着手するに至った。

 

◆目的

本研究は、日本仏教文化の特質について、諸外国の仏教との差異を踏まえ日本仏教の特色を明らかにし、芸能や文学作品にみられる日本的な心性、日本の哲学の独自性について、その背景となる仏教文化の影響を、文学、哲学、仏教研究者とのコラボレーションによって探求する。また、海外における日本仏教文化の評価を、海外への仏教の布教活動の研究、国際シンポジウムでの海外研究者の見解により考察する。以上の成果を、講座の開催を通じて、研究成果が広く一般に受容される教育のあり方を検討する。

 

◆代表者・分担者(平成29年度)

研究代表者

谷地快一 文学部・教授、東洋学研究所・所長

研究分担者(9名)

伊吹 敦 文学部・教授、東洋学研究所・研究員

渡辺 章悟 文学部・教授、東洋学研究所・研究員

山口しのぶ 文学部・教授、東洋学研究所・研究員

菊地章太 ライフデザイン学部・教授、東洋学研究所・研究員

水谷香奈 文学部・助教、東洋学研究所・研究員

高橋典史 社会学部・准教授、東洋学研究所・研究員

大鹿勝之 東洋学研究所・客員研究員

佐藤厚 専修大学・特任教授、東洋学研究所・客員研究員

Koppula Victor Babu コプラ・ヴィクター・バブー インド・アーンドラ大学客員教員、東洋学研究所・客員研究員

 

また、研究体制として、本研究は以下の3 つのユニットによって構成される。

第1ユニット:日本における仏教文化の特質を、諸外国における仏教文化との共通性と差異を浮き彫りにしつつ、探求する。

<担当者>(ユニットは平成29年度の担当者を示す)、(括弧内は役割分担を示す。以下同じ)伊吹敦研究員(日本において禅が果たした役割)、渡辺章悟研究員(大乗仏教と日本仏教)、水谷香奈研究員(浄土思想と日本仏教)

第2ユニット:(ユニットは平成29年度の担当者を示す)、日本の芸能・日本文学にみられる日本の心性について、日本仏教文化の影響を考察し、また、中国思想と仏教との関係を考察する。井上円了、西田幾多郎など、西洋思想に対峙しながら哲学を形成していった哲学者たちにみられる仏教的背景を研究する。

<担当者>谷地快一研究所長(俳諧を中心とした日本文学と仏教)、菊地章太研究員(中国思想と日本仏教)、大鹿勝之客員研究員(日本における昭和初期以後の哲学と仏教)

第3ユニット:(ユニットは平成29年度の担当者を示す)、ハワイへの布教活動や朝鮮への日本仏教の影響、鈴木大拙の海外への禅仏教の紹介など、日本仏教の海外への影響について考察する。インドや日本など、世界各国における仏教教育について研究する。

<担当者>高橋典史 研究員(日本仏教の海外布教)、佐藤 厚 客員研究員(近代東アジアにおける日本仏教)、コプラ・ヴィクター・バブー客員研究員(仏教教育の比較研究)

 

以上の3つのユニットに接続領域を設け、それぞれのユニット間の関係と総合について検討がなされる。3つのユニットの接続領域においては、研究成果を踏まえた講座のプログラムを検討する。研究代表者の谷地快一は、各ユニットの研究者との討議の上、統括し、研究の運営に当たる。

 

◆今年度の活動

本年度の各研究者の研究課題を以下に示す。

谷地研究所長

和歌連歌俳諧における釈教の世界を中心にした、仏教的思考の影響の追跡

伊吹研究員

中国の禅思想が日本に及ぼした影響の検討

渡辺研究員

日本仏教における経巻信仰と放生会の実際についての考察

菊地研究員

瀬戸内海沿岸地域での現地調査による、中国道教の海域神信仰と日本仏教との融合の過程の研究

水谷研究員

『法華玄賛』に関する研究の一環としての、基が主張した五姓各別説や理行二仏性説の考察

大鹿客員研究員

紀平正美(1874-1949)の『行の哲学』の研究、入定や補陀落渡海についての、行為を通じての存在把握および利他行の観点からの考察

高橋研究員

近代における日本仏教の海外布教についての、ハワイを中心とした資料調査

佐藤客員研究員

『三国仏教略史』が近代東アジア仏教に与えた影響についての調査研究

本研究の研究発表としては、研究分担者のコプラ・ヴィクター・バブー客員研究員が10月5日より10月15日まで来日し、10月7日の研究発表会において、インドの村落における宗教の伝統について研究発表を行った。10月9日の公開講義ではインド社会への仏教の影響と仏教への回心について講義を行い、10月12日の公開講義では、仏教の立場からインドの社会運動に多大な影響を及ぼし、インド社会の差別是正に貢献したB. R. アンベードカル(1891-1956) について講義を行った。この12日の講義では仏教関係新聞社の取材を受けるなど、本研究で次年度に行う予定の講座についての検討材料となった。

また、本研究の一環として、公開講演会、シンポジウムが開催される。12月16日には、フレデリック・ジラール氏(フランス国立極東学院名誉教授、本研究所客員研究員)による講演がなされ、平成30年1月20日には韓国の研究者を招き、日本文化の背景にある朝鮮半島の仏教思想をテーマとして、義相、元暁の二人の新羅の僧侶を取り上げ、伝記、思想内容、研究状況についてのシンポジウムを開催する予定である。

 

◆次年度の計画

昨年度の研究成果を踏まえたうえで、引き続き各ユニットの研究者が資料研究・実地調査を行う。その成果を研究発表会で発表すると同時に、各ユニット内、各ユニット間での討議を行う。

平成30年度は、研究成果の発表を踏まえた公開講座を開催する。講座は数回の連続講座と単発講座の2種類の講座を開催する。各講座で参会者・受講者にアンケートを取り、理解度を把握するとともに、講座の展開のあり方、仏教教育のあり方を検討する。講座の準備は研究支援者が指揮を執って進めていく。

また、本研究の促進と見解の交流のため、伊吹敦研究員の研究分担に関連して、7月21、22日に道元研究に関する国際シンポジウムを開催する。アメリカ、韓国の研究者をシンポジストに招き、日本仏教に対する多様な見解を受け入れ、今までに抱くことのなかった問題点を見いだしていく。そのほか、学外の研究者を講演者に招いて公開の講演会を開催する。

研究成果の総合的な発表としてシンポジウムを開催し、学外研究者との議論のもと、各ユニットの研究報告を行う。そして研究成果を冊子体の刊行物にまとめ、刊行するほか、ホームページに掲載する。