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哲学教育の推進

本校の哲学教育とは

本校の哲学教育は、哲学の知識や既成の道徳を教師が一方的に注入するのではなく、与えられたテーマについて生徒が自ら考え、論じ合うことで、世間の常識や自己の価値観を問い直し、常によりよく生きることを求めて自問自答する力、「哲学的に考える力」を養うことを目的としています。

 

哲学教育の考え方

 

目次

  1. 哲学教育の目的
  2. 学祖井上円了と建学の理念
  3. 現代社会と哲学
  4. 本校の哲学教育

哲学教育の取り組み(全体図)   ※詳細は各項目をクリックしてください

哲学教育目次画像

1.哲学教育の目的

哲学の語源は、ギリシャ語で「知を愛する」ことであるとされています。これは特定の「知識の集積」を指す言葉ではなく、あらゆる物事について前提から問い直し、真理を探究することを意味します。したがって哲学教育とは、既成の哲学・思想についての知識を増やすことではなく、何事に対しても「なぜそのように言えるのか」「その根拠は何か」「それ以外の考え方はありえないのか」と常に問い続ける姿勢を育むことであると私たちは考えます。
一般に「自分の頭で考えて行動する」ことが大切であるとは言われるものの、私たちは誰もが少なからず素朴な直感と経験にもとづいて物事を判断しています。私たちは誰しも生まれ育った環境や時代の影響を受け、偏った思い込みの世界に囚われてしまいがちです。そのような狭く暗い独断という洞窟から外に一歩踏み出すために、先哲の英知と他者との対話によって、自己の人生観や価値観を陶冶する力を育むことが、京北の哲学教育の目的です。

2.学祖井上円了の想い

学祖井上円了先生によって哲学館(現・東洋大学)や京北尋常中学校が創設された明治時代は、封建体制の価値観を一新する新しい社会の建設期であり、帝国大学以外にも多くの私学校が創設されました。しかし、そうした学校の多くは法律や経済、農業、商業、工業といった実学を教授する専門学校であり、哲学を教育の中心に据えた学校は哲学館と京北中学校だけでした。近代へと大きく変貌する社会の中で、次代を担う若者たちへの教育に力を注いだ井上円了先生は、哲学と教育に対する自身の考えを次のように述べています。

「哲学は万物の原理を探り、その原則を定める学問で、いわば理学から工芸にいたるすべての学問世界の中央政府にして、万学を統括する学問である」

「哲学は諸学の基礎となるものであるから、社会に出て一つのことを達成しようとする人は、哲学諸科を心得ているべきである」

「国を維持するは、決して二三英雄の力にあらず、実に一国を組織する教育あり、知識あり、品行ある人民の力によらざるべからず。これらの人民は一国の良心ともいうべき人々なり」

(引用はすべて『井上円了の教育理念』(東洋大学)より)

このように井上円了先生は、哲学を「思想練磨の術」として、また普通教育として万人に必要なものであると考え、専門家の養成ではなく、広く社会一般の人々に対する教育活動を展開しました。明治という時代の開化期にあって、社会の変化に即応する実用の学問ではなく、敢えて哲学という物事の本質・根源を探求する学問を、広く一般に普及しようとしたのです。

3.現代社会と哲学

現代の日本社会もまた、長く続いた戦後の政治・経済構造の転換が迫られ、旧来の価値観の問い直しが求められる時代であると言われます。変化のスピードがはやく、進むべき方向性が定まらない現代社会で、巷に流布する言説や多数派の意見を鵜呑みにしていては、本質を見失い、社会の風潮に漂流することになりかねません。世間の常識に埋没し、主体性を喪失した人間に、次代を切り開いていく力が宿ることはないでしょう。したがって、21世紀を生きる生徒達は、他者から指針が与えられるのを待つのではなく、不確実な未来に向けて自らの生き方を模索し、勇気を持って一歩踏み出す力を身につけなければなりません。そのための資質を養うことこそ、哲学教育の目的であると私たちは考えます。

4.東洋大学京北中学・高等学校の哲学教育

東洋大学京北中学・高等学校は建学の原点に立ち戻り、知性を鍛え成熟した若者を育むべく、思想練磨の術たる哲学を教育の柱と定めました。本校の哲学教育は、哲学の知識や既成の道徳を教師が一方的に注入するのではなく、与えられたテーマについて生徒が自ら考え、論じ合うことで、世間の常識や自己の価値観を問い直し、常によりよく生きることを求めて自問自答する力、「哲学的に考える力」を養うことを目的としています。また、そのためのプロセスとして、古今東西の名著を精読したり、様々な分野で活躍する専門家による「生き方講演会」、実体験を通した学びの機会である「刑事裁判傍聴」や「哲学ゼミ」など設けています。こうした活動は生徒たちに自由闊達な議論と深い思索をうながし、校内には互いに学び合い、高め合う校風が醸成されていくことでしょう。誰もが自由に発想し、対話を通して自分の考えを表現できる空間は、哲学的に物事を考える場として不可欠です。私たちはこれを「哲学する空間」ととらえ、すべての生徒と教職員の努力によって守り育んで参ります。
私たちは学祖の遺徳を受け継ぎ、建学の理念「諸学の基礎は哲学に在り」の下に、あらたな哲学教育と「哲学する空間」を築いくことが、東洋大学京北中学・高等学校の使命であると考えます。