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学生の声〔海外インターンシップ〕ラオス産イチゴプロジェクト

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〔海外インターンシップ〕
ラオス産イチゴプロジェクト
(トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム)

ラオス産イチゴプロジェクト

社会学部社会文化システム学科3年 秋本 真理

ラオス南部のパクソンという場所に到着した日の夕方。
夕食までの自由時間に、ゲストハウスの近くを友人と二人で散策していた時のこと。現地の人々が空き地に集まっているのが遠くに見えました。みんなで椅子を持ちよって、バーベキューのような感じでしょうか。

私は通りすがりに「サバイディー!」と声をかけてみました。当時唯一覚えていたラオス語です。彼らがこちらに気づいて大きく手招きするので、誘われるまま、恐る恐る近寄って行きました。すると、氷入りのグラスに地ビール「ビアラオ」を注がれて、「とりあえずビール」と言わんばかりに、それを手渡されました。「あ、ありがとう」とグラスを受け取り、笑顔で乾杯までは良かったものの、すぐにシーンとしてしまいました。

ラオス産イチゴプロジェクト私たちは「ラオス語指差し会話帳」を片手に彼らとの会話を試みました。どうにかいくつかの質問を投げかけることができ、彼らがご近所さんどうしであること、隣接するタイやベトナム出身者もいることなどが分かりました。隣の男性にラオス語で年齢を訪ねると、その答えにみんなが大爆笑。どうやら冗談で返されたようでした。全く意味はわからなかったのに、私たちもつられて笑っていました。

「東洋大学社会学部社会文化システム学科3年の秋本真理です。私は、東南アジア、ラオスの日系企業で1年間インターンとして活動します。2016年2月から1年間かけて、ラオス南部で新しい特産品「イチゴ」の開発に携わる予定です」

ラオスへの渡航が決まってからの半年間、この挨拶を何度も繰り返してきました。

私が初めてラオスに訪れたのは、2014年12月のスタディーツアーのときでした。社会学部社会文化システム学科の特色ある授業「社会文化体験演習」の一環で、フェアトレードコーヒーについて実践的活動を通じて学んだ集大成として、実際にラオスでコーヒー生産する農家の方々を訪ねるというものです。

ラオス産イチゴプロジェクト ラオス産イチゴプロジェクト

冒頭のエピソードは、そのスタディーツアー初日の出来事です。
その後7日間をラオスで過ごしていく中で、私は漠然と「いつかここに暮らしてみたい」と、思うようになりました。その時はまだ、具体的に何をやりたいとか、いつごろ行きたいとか、そういうことは全く考えていませんでした。ただただ、「ラオスに暮らしてみたいなあ」と思っていました。

ラオス産イチゴプロジェクトこのスタディーツアーでは、「ラオスとの出会い」の他に、もうひとつ重要な出会いがありました。「文化人類学との出会い」です。このツアーで約20名の学生を引率してくださった3名の先生方は文化人類学者でした。ラオスやタイをフィールドに、現地の人々とともに暮らしながらそれぞれの調査・研究活動を行ってきた経験があります。

スタディーツアーの間、日々のミーティングを終えたあとや、車での移動中に先生方から聞いた話の数々は驚きの連続でした。旅行では決して分からない、その土地で「暮らす」ことで分かる現地の人々の人間関係や、無意識に共有している感覚などの話。ときおり質問を挟むと、関連するエピソードをたくさん話してくれました。

そんな数日間を過ごしていく中で、文化人類学者への興味と憧れを抱くようになりました。

「ラオスとの出会い」「文化人類学との出会い」このスタディーツアーがもたらしてくれた二つの出会いです。

ラオスから帰国してからは、「日本に暮らす外国人の暮らし」について知りたいと思い、春休みに数百名の留学生に混じって夜勤のアルバイトをしました。ベトナムやネパール出身の彼らに仕事を教えてもらったり、休憩時間をともに過ごしたり。顔見知りから始まって、徐々に会話が増えてくると、今日本でどんな暮らしをしているか、母国ではどんな暮らしをしていたかという話も聞けるようになりました。

また、帰国翌月の1月には、首都大学東京社会人類学研究会の修論発表会を聞きに行ったり、5月には担当教員の箕曲在弘先生(社会文化システム学科 講師)の著書『フェアトレードの人類学』の合評会で筑波大学へ足を運んだりもしました。4月からは、東洋大学で毎月開催されている白山人類学研究会に出席するようになりました。

スタディーツアーでの「文化人類学との出会い」から発展して、人類学者がおこなう参与観察のまねごとをしたり、いろんな人類学者に会って話を聞いたりしました。好奇心のおもむくままに、情報をかき集め、初めての場所へ飛び込んで行きました。

そんな中で、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(以下、トビタテ)3期生の募集があるということを知りました。留学にかかる渡航費、学費(現地活動の参加費)、そして月々の奨学金を受け取ることができます。
すごいのは、自由な留学計画で応募できるということです。期間も行き先も、活動内容も自由。スタディーツアーから帰国後にますます高まっていた「ラオスで暮らしてみたい」を実現するチャンスだと思いました。

しかし、私はすぐに壁にぶつかりました。「グローバル人材コミュニティを形成し“産業界を中心に社会で求められる人材”“世界で、又は世界を視野に入れて活躍できる人材”」(トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム概要より)を育成することがトビタテの使命だと知り、「ラオスで暮らしてみたいです!」ではダメだと気付いたからです。

そのとき、「ラオス産イチゴプロジェクトとの出会い」がありました。栃木県のイチゴ農家さんの協力のもと、ラオスの新たな特産品としてイチゴを開発するプロジェクトです。私は学生インターンとして、そのプロジェクトに参加することを決めました。

ラオス産イチゴプロジェクト ラオス産イチゴプロジェクト
(写真:ラオス産のイチゴ)

「コーヒーの買取価格がなかなか上がらない」
スタディーツアーで、あるコーヒー農家さんから聞いた話です。彼らの抱える大きな課題の一つが、市場に左右されて上下するコーヒーの買取価格でした。ただでさえ、農作物には表年と裏年があり、毎年安定した収量を確保することは簡単ではありません。
しかし、彼らはわずか3ヶ月の収穫期間に得た現金収入で1年間の生活費をまかなう必要があります。ほぼすべての世帯がコーヒー栽培を生業としているラオス南部パクソン郡の村々では、その買取価格の上下が生活に直結するのです。

偶然にも、イチゴの栽培予定地は、スタディーツアーで滞在した地域の村でした。
コーヒーに次ぐ新たな換金作物として、イチゴという選択肢が増えたとしたら、どうでしょう。

ラオス産イチゴプロジェクトラオス産イチゴプロジェクト

『ラオスにいったい何があるというんですか?紀行文集』(村上春樹著)という本が話題になりました。ラオス南部に「イチゴ」という新たな特産品ができれば、ラオスに興味を持つ人々が増えるかもしれません。

ラオス産イチゴプロジェクト「ラオスの人々は栄養への意識が低く、お菓子ばかり食べる子供と、それを気にしない親がたくさんいる」という、医療関係者の話も聞いたことがありました。地元産のイチゴを加工して、栄養価の高いお菓子を作ることができたら・・・。
傷がついてしまったものを使えば、コストの問題も解決できて一石二鳥かも。

ラオスとイチゴ、どちらも個人的に大好きではあるけれど、まさかの組み合わせ。でも、だからこそ、もし実現すれば、大きなインパクトがある。
色々なことを考えたり、関係者に話を聞いたりしていく中で、「ラオスで暮らしてみたい」という個人的な思いに加えて「イチゴをラオスの特産品に」という新たな目標が加わりました。

ラオス産イチゴプロジェクトでも、イチゴは食べる専門だった私。イチゴどころか農業の経験が全くありませんでしたが、「日本一イチゴに詳しい大学生になる」と偉そうな宣言をして、栃木県のイチゴ農家さんのところに泊まり込みで研修させていただきました。ご協力くださった栃木県のイチゴ農家の方々には、感謝してもしきれません。

そうして、ラオス研究者である箕曲先生や、東洋大学の国際教育センター職員の方、インターン先の企業の方々のお力を借りながら、トビタテの書類選考と二次審査をなんとか乗りきって、晴れてラオス行きの切符をつかむことができたのでした。

昨年末、二度目のラオススタディーツアーに参加し、イチゴ農園を見学させてもらいました。真っ赤で美しく、甘くて美味しいイチゴには本当に驚きました。このイチゴで、たくさんの人を感動させるために、私に何ができるでしょうか。
「ラオスとの出会い」「文化人類学との出会い」「ラオス産イチゴプロジェクトの出会い」次はどんな出会いが待っているのでしょうか。

ラオス産イチゴプロジェクト
(写真:2度目のスタディーツアー集合写真)

(2016年2月取材)