1. トップページ
  2. Academics//教育
  3. 学部・学科
  4. 理工学部
  5. 【学生研究紹介】『電力線通信システムの通信品質の高精度評価手法に関する研究』-理工学研究科電気電子情報専攻博士後期課程上野 大二郎さん
MENU CLOSE

【学生研究紹介】『電力線通信システムの通信品質の高精度評価手法に関する研究』-理工学研究科電気電子情報専攻博士後期課程上野 大二郎さん

  • English
  • 日本語

学生研究紹介~私たちのプライド~

Pride8 .『電力線通信システムの通信品質の高精度評価手法に関する研究』
理工学研究科電気電子情報専攻博士後期課程
上野 大二郎 さん

ueno01

 所属する情報通信ネットワーク研究室で、PLC (Power Line Communications)という高速電力線通信の研究をしています。

現在、ほとんどのパソコンは電源につないだだけの状態では通信はできません。無線LANの設定や有線の設定が必要ですが、PLCはコンセントとコンセントの間で通信ができ、パソコンにPLCが組み込んであれば、コンセントにさす、それだけでインターネットが楽しめるというとても便利な技術です。

既に商品化もされていますが、まだ普及は進んでいません。PLCにはいくつかの問題点がありそれを克服しないと普及は難しい。その、一番大きな問題がコンセントです。コンセントはもともと通信用ではなく、家電がひとつ差し込まれているだけでも、通信品質が劣化してしまいます。通信速度が落ち、不安定になって時々切れてしまう。そこで、この問題を解決して快適な通信を実現するための研究を行っています。研究はプログラミングが中心で、どこで情報がなくなったか、どのような規則性があるか、どういう理論で情報がなくなったのかなど、プログラムを組んでソフトを作り、通信を可視化して解析しています。自分自身で理論式を作ったことがあるのですが、それが出来た時はうれしかったですね。何かを作る、形にするということが好きなので、プログラミングも理論式も、論文にまとめるのも、作る喜びがやりがいとなっています。

 

図1

図1 実験系

図2

図2 理論上のパケットフロー

 

図3  図3 捕捉受信パケット特性図

図4  図4 充電器によるパケット未受信時間帯域の可視

図5    図5 解析例

現時点でPLCは、日本語の論文も2、3件と少なく、情報がほとんどありません。自分でPLCの動作自体を解明してから研究に入るので、研究までのステップが多いのが大変なところですが、逆に、自分で道を切り拓いていくという、他人がやっていないことをやっているということも大きなモチベーションになっています。

人生のターニングポイントになったレポート課題

情報通信ネットワークを研究したいと思ったのには、明確な理由があります。学部2年生の時、指導教授の篠永英之教授の授業「情報通信工学」で、家の周りにある電柱を見てスケッチして、何があるのか調べて書いてきなさいというレポート課題が出されました。最初は変な課題だな、と思ったのですが、調べていくうちに自分が当たりまえのようにインターネットを使ったり、電話を使ったり、テレビのハイビジョンを見ている、それは、いろいろな人が、電柱に通信機器をつけてケーブルを引き、地下まで通してそれで繋がっている、ということに気づきました。そしてその時、通信で繋がるということは面白い、通信についてもっと勉強したいと思ったのです。

小学生の頃にはモールス信号や電話などに興味がり、電話ってどうやって繋がるのだろうと不思議に思って調べたり、4,5歳頃までは電話のおもちゃが好きで良く遊んでいたと聞きました。そういうものにわくわくしていた、生まれながらの性分かな、と思います(笑)。生まれながらに持っていたわくわくを呼び起こしてくれた大学2年次のレポート課題が、自分の人生のターニングポイントになりました。

自分で目標を立てて、自分のペースを守る、自律する力が身についた大学院

研究室には、いつ来なくてはいけないなどの取り決めのようなものはありません。本当に自由です。特に大学院生になってからは、今日はここまでやろうとか、学会でこういうことを発表しようとか、自分の研究は自分で計画をたてて進めていきます。自分の出来るところまでというところは、プレッシャーもありますが、それ以上にやりがいがあって楽しいです。また、自分の研究に対してはもちろん、4年生の上に立つ立場で指導していくという意味でも、責任感が生まれました。就職活動でうまくいっていない4年生に声をかけたり、研究でアドバイスしたり、研究室全体を見るようになりました。

ueno02 写真:研究室の様子

日々の積み重ねや経験があるからこそ出来ること

修士課程2年の3月に、ドイツの国際会議に行きました。PLC研究は国内ではあまり知られていないので、国内の学会でPLCを発表しても理解をされないことが多かったのですが、PLCの専門家が集まって議論をする場は、質疑応答も含めて今までにない経験が出来て非常に刺激になりました。自分の研究に近いことをやっている人が中国にいることも分かり、もっと頑張らなくてはと士気も一層高まりました。

学会発表も最初の頃は、スライドづくりや発表の練習など準備に時間がかかっていましたが、今では学会の前日にスライド作って当日発表するくらいです。発表では、自分が知っていると思っていたことを知らなかった、と気づかされることが沢山あります。自分の研究の説明をしていても、本当に理解していなければすらすらと出てこない。日々の積み重ねで知識が深まり、今では完全に頭に入っているので、自然に言葉に出来るようになり、また、発表も数をこなすことで、どうやって話したら伝わるかなども分かり、準備もそれほど時間をかけなくても済むようになりました。積み重ねていくことの大切さを実感しています。

当たりまえのことを当たりまえにやる、研究者として、人として、あるべき姿を教わった

「きちんとした社会人になる」という研究室の目標のようなものがあり、それを達成するために、指導教授の篠永教授は、生活態度、プレゼンテーションの仕方、研究に対する取り組み方など、常に学生の未来のことを考えてご指導くださいます。注意する時も、このままだと社会に出た時に苦労しますよ、というような感じです。

先生から教わった大切なことは沢山ありますが、その一つに研究者としての態度、研究への取り組み方があります。研究は答えがあるものではないので、失敗というのもありません。例えば何かが上手くいかなかったときには、これではうまくいかないということが分かったという捉え方をする。そういう風に考えると、実験で苦しい時があったとしてもそれが積み重ねになっていると考えられます。人生にもつながるような考え方です。

また、「正直に誠実に研究に取り組むこと」ということを常々おっしゃられます。データ管理がきちんとしていなかったというのも自分の責任ですし、プログラミングでミスがあっても自分の責任です。そもそも自分の研究に対して嘘をついたりねつ造したりなどは絶対にあってはならないこと、と何度も聞かされて、最初のうちは当たりまえだと思っていましたが、今はその当たりまえが非常に大切なことだと実感しています。

研究職を目指しているので、先生から研究者としてあるべき姿を教わったこと、全てプラスの方向で影響を受けたことは自分の将来にとって大きな財産です。

 

<研究概要>

PLC (Power Line Communications)システムは、既存のインフラストラクチャである電力線を伝送路として利用する性質から、手軽で簡便なLAN (Local Area Network)を構築出来る技術である。しかしながら、本来通信用でない電力線を伝送路として用いるため、電力線に接続された負荷がPLCの通信に影響を与えるという問題点を抱える。特に一部の充電器はPLCの通信に大きな影響を与える事が知られており、電源周期の半周期に一度、ノイズを発生させる事が分かっている。本研究では、充電器がPLC通信に与える影響を、パケットキャプチャ解析手法を用いて明らかにする事を目的とする。PLCを介したPC間の通信特性を、瞬時周波数同期重畳図と名付けた図を用いて解析する事により、充電器の影響の可視化、評価を行う。これは様々な家電が接続された実際のPLC通信環境下において、効率的な通信を実現する技術開発への足掛かりとなる研究である。また重畳図という新しい概念の図を提案する事により、多方面へその解析手法が応用される事も期待される。

PLC (Power Line Communications) system is a technology that can construct convenient LAN (Local Area Network) by hiring power line, which is existing infrastructure as a transmission medium.  However, the medium is not naturally invented for communication, so some electrical appliances connected to the medium affect to PLC communication.  Especially, it is known that some AC adapter have significant effect to PLC communication and generate noise once in half a period of power line wave.  In this study, an objective is set for clarifying how AC adapter affect to PLC communication by packet capture analysis.  The effect is visualized and evaluated by proposed chart named “Superimposed Chart”.  This study promote invention which achieve efficient communication under real configuration with several electric appliances.  Moreover, by proposing new concept of the chart, this “Superimposed Chart” is expected for applying other genres of studies.

 

 

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

Copyright © Toyo University. All Rights Reserved.