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【学生研究紹介】『噛み締めによる重心動揺制御』『覚醒時バイオフィードバックによる睡眠時ブラキシズムの抑制』生体医工学専攻 野原倫久さん

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学生研究紹介~私たちのプライド~

Pride 5.『噛み締めによる重心動揺制御』『覚醒時バイオフィードバックによる睡眠時ブラキシズムの抑制』
理工学研究科 生体医工学専攻 メディカルロボティクス研究室(寺田信幸研究室)
博士前期課程 1年 野原倫久さん

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学内での研究発表の様子

現在、咀嚼を軸にして「噛み締めによる重心動揺制御」と「覚醒時バイオフィードバックによる睡眠時ブラキシズムの抑制」の2つのテーマを同時進行で研究しています。

院生となった今年の4月の学会では「噛み締めによる重心動揺制御」について発表しました。
人は、歯を噛み締めると抗重力筋が緊張することによって姿勢が安定することが知られています。また、人の身体の重心は足底から計測して身長約56%と比較的高い位置にあるため、物理的に不安定である人の立位姿勢は絶えず僅かに揺れています。この揺れを噛み締めにより制御するという研究です。

姿勢は、視覚系と前庭系(聴覚)と体性感覚系からの情報が中枢神経系で統合処理されて運動神経系に出力されることで制御されています。姿勢制御における感覚入力の中では、視覚系と前庭系が占める割合が多いため、この2つに対する研究は多いのですが体性感覚系に対する研究は少ないです。そこで今回の学会発表では、足部を冷却する、体性感覚刺激により誘発された姿勢の動揺を噛み締めによって制御するという実験を行いました。実験の結果は論文の都合上割愛させていただきますが、面白い結果を得ることができました。

内容自体は簡単に思えますが、なぜ噛み締めが抗重力筋を緊張させるのか、寒冷と噛み締めが重心移動を引き起こす理由も明確ではない。その現象に関わっていることをひとつひとつ紐解いていくというのが難しく、今後も追及していく予定です。

もう一つのテーマ「覚醒時バイオフィードバックによる睡眠時ブラキシズムの抑制」は、日中の食いしばりやタッピングを自覚することで、夜間の歯ぎしりが減少していくという実験です。日中にフィードバックを行うことで、夜の歯ぎしりが減少するのです。

高齢になると入れ歯を使用するようになって噛み締めが難しくなります。ブラキシズムを抑制することによって歯を健康に保ち、高齢になった時に自身のくいしばりで転倒を防止することができるようになります。将来的には、研究成果をヘルスケアの部分で活かしていきたいと思っています。

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過酷で難しい実験。簡単でないからこそ、やりがいがある。

生体計測について研究したくてメディカルロボティクス研究室(寺田信幸研究室)に入りました。
生体計測は1回ごとに個人でも差があり、日によっても時間によっても、疲労度によっても違い、取り直しができません。誤差も大きくて平均が取りづらく、その日の調子で決まってしまうので、身体のデータをとるのはすごく難しいのですが、そこに魅力を感じています。

ブラキシズムの実験では、日中、耳にバイオフィードバック装置という小型筋電計をつけて、閾値以上の噛み締め強度&持続時間を示すと警告音が鳴ります。それを本人が自覚することで夜間の歯ぎしりを減少させることができます。先輩から引き次いだ研究ですが、被験者一人に対して10日間の実験を行いますので、2年間で10名弱、すでに100日以上は大学に泊まって実験しています。

とても過酷ですが、嫌だと思ったことはありません。自分の好きなことをしているということもありますが、助け合える仲間と一緒にいること、なにより実験が上手くいけば人の役にたつということに魅力を感じています。期待した結果が得られず、どうしたらいいのか試行錯誤して実験する。そうしてやっと結果が出た時には本当にうれしく、やりがいを感じています。

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実験の様子

沢山の下調べをすることで前向きに実験ができる

やみくもに実験をしても結果は出ないと思っていて、人の何倍も研究を始める前の下調べをしっかりしています。論文を沢山読んで、推考に推考を重ねてから実験をします。実験計画が甘いと、途中で必ず予期していなかった問題が生じます。失敗や遠回りは悪いことではないですが、予め排除できる障害を取り除かなければ、2年間という短い期間で、研究を完成させるのは不可能だと思っています。また、論文を読むことで自分の研究の新規性はどこに見出すか、何が未解明なのか、研究分野の実験の特徴などを学ぶことができます。目的が明確であり、かつ文献調査をしっかりしていれば、途中で失敗しても右往左往することはなく、研究を追求していくことができます。

自分で考える。主体的に動くことの大切さ

1,2年では主体的に動くことができず、受け身の部分が多かったのですが、3年の秋に研究室に配属されてからそれまでの何倍も大学が面白くなりました。

研究室に所属する前は、研究は教授の指示を仰がないとできないものだと思っていました。もちろん、最終的には教授が軌道修正してくださいますが、その前段階では自分なりに熟考したり、先輩方に相談したりと、思っていた以上に学生主体でした。実験計画は全てが自分次第で、きちんと自分の目標から逆算してスケジューリングしていかないと上手くいきません。その分、自分の裁量次第でどんどん実験を進めることができるという楽しさがあります。自分で考えて、物事を動かしていく、その面白さを日々体感しています。

(2016年5月)

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<研究概要>

「噛み締めによる重心動揺制御」
人の身体の重心は,足部から計測して身長の約56%位置という比較的高い位置にある.そのため,物理的に不安定な状態にある人の立位姿勢は,絶えず僅かな動揺を繰り返しながら動的平衡を保っている.この揺れを重心動揺という.姿勢は視覚系,前庭系,体性感覚系からの感覚入力が中枢神経系で統合処理され,四肢骨格筋に出力されることで維持される.重心動揺実験において,動揺を起こすタスクとして使われる刺激の多くは,視覚系および前庭系刺激である.本研究では,膝下冷却により体性感覚情報を鈍麻させ,誘発された重心動揺を噛み締めにより制御できるかを検討した.結果,体性感覚刺激においても動揺が抑制された.


The center of gravity is in a relatively high position that is about 56% height by measuring from the foot. Therefore, standing posture of the people who are in physically unbalances, has remained dynamic equilibrium while repeating constantly slight sway. This sway is called “body sway.” It is maintained of Posture to be inputted from visual, vestibular, and the somatic sensory system, those is integrated in the central nervous system and outputted to the extremity skeletal muscle. In the gravimetric experiment, the visual and the vestibular stimulation are the most stimulus way to be used as a task to cause a sway. In this study, it was investigated whether body sway can be controlled by clenching that caused by desensitizing the somatic sensory system of the knee cooling. As a result, body sway even in the somatic sensory stimulation is controlled.

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