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学生の声:[国際地域学科] 最優秀卒業論文賞インタビュー

English (TOYO Global RDS)

[国際地域学科] 最優秀卒業論文賞インタビュー

学生 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 4年
木村航平(きむら・こうへい)
教員 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 教授
松丸亮(まつまる・りょう)
学生 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 3年
十見春菜(じゅうみ・はるな)

卒業論文最優秀賞インタビュー

2016年1月28日に行われた国際地域学科 卒業論文発表会での発表を受けて、木村航平さん(松丸亮ゼミ)が最優秀卒業論文賞を受賞されました。どんな卒業論文を書かれたのか、どんな苦労や工夫があったのか、松丸先生と十見春菜(松丸亮ゼミ3年)がお伺いしました。

松丸教授: 木村君、国際地域学科の最優秀卒論賞おめでとうございます。

十見: おめでとうございます。

木村さん: ありがとうございます。

松丸教授: ではまず、簡単にどういう卒論を書いたか教えてください。

木村さん: 「台風Yolandaの被災者を対象とした幸福度に関する研究」というテーマで卒論を書きました。大きな災害で被災した人々の復興は、物質面と精神面の2つの面から考えることが必要ですが、物質面への支援に比べて精神面への復興に対する支援は少ないのが現状です。この研究では、精神面をどのように支援していくかを考えるために、2013年にフィリピンを襲った台風Yolandaの被災者を対象に、『幸福度』を精神面の復興を示す指標として使い、被災後どのように幸福度が変化しているのか、また、幸福度に関連する要因は何かを明らかにしようとしました。

そのために、フィリピンのレイテ島で、2014年12月に3日間と、2015年の9月に4日間、2回の現地調査を行い、仮設住宅や恒久住宅を訪問し、被災者への聞き取り調査など行って、「幸福度は被災直後に急激に低下してその後徐々に回復する」ということと、「幸福度の回復には『自分たちでコミュニティを築いていくという自覚』、『自己肯定感』、『現在の生活への満足度』が影響している」ということを明らかにしました。

十見: なぜフィリピンで研究しようと思ったのですか?

木村さん: 自分の大学生活の中心にフィリピンがあって、4年間の集大成としてフィリピンをテーマに卒論を書きたいという思いが強かったので、フィリピンを調査地に選びました。

十見: フィリピンが学生生活の中心になったのは、大学のプログラムを利用したのがきっかけですか。

木村さん: そうですね。初めてフィリピンに行ったのは、大学1年生の春に参加した2週間のフィリピン大学セブ校での学部研修でした。大学1年生の時に座学で勉強してきたことを開発途上国であるフィリピンに行って、実際にその生活を見るという経験ができました。フィリピンに行くまでは途上国は貧しくて、あんまり幸せじゃないのではないかという短絡的な考え方だったのですが、実際に行ってみると、すごく幸せそうで、自分の思っていた途上国とフィリピンの様子とは大きく違ったので、そのギャップに魅了されたというか非常に強い印象を受けました。その研修をきっかけに、フィリピンを知りたいなって思うようになっていきました。

卒業論文最優秀賞インタビューそれから、フィリピンの人たちと同じような目線で、同じような生活を送ってみようと思い、3年生の10月から3か月間、マニラにあるフィリピン大学のディリマン校に認定留学をしました。そこで、現地の学生の高い志や、主体的に動いている姿に刺激を受けたり、寮の裏にあるスラムに近いような街に暮らす人達と仲良くなったりしました。これは本当に、フィリピンの生活を知るのにいい経験になったと思います。

本当の意味で彼らの生活を理解したとは言えませんが、彼らが感じているであろう人のつながりや物の有難さとか、そういうところは少し理解できたのかなと思います。

十見: フィリピンの人たちのことを本当に理解することは日本人である以上できないかもしれませんが、そのような経験をすることで、考え方などもだいぶ現地化できたのではないかと思います。ただ、フィリピン人に近い考えになっていくことは逆に研究者としての客観性を失ってしまうので難しいと思いました。

ところで、卒論のテーマを決めた時期ときっかけを教えてください。

木村さん: 決めた時期は、3年生の10月です。
フィリピン大学に留学をしていた2014年の10月、2013年の台風Yolandaから1周年の時期に、松丸先生が共同研究をしている人達と開催したセミナーに参加させてもらいました。また、その後の現地調査にも他の研究者の方と一緒に行かせてもらって、被災者の人達がどういう生活をしているかというのを初めて見ました。その時に台風Yolandaをテーマにやってみようかなと初めて思いました。

それで同じ年の12月にもう一度先生が現地調査に行った時にも一緒に行かせてもらい、プレテストという形で被災者の幸福度を聞いてみました。

十見: 留学と先生の同行をきっかけに卒論のテーマが決まっていったのですね。

木村さん: そうですね。

松丸教授: いつ頃から被災者の幸福度について研究してみたいと思ったのですか。

木村さん: 幸福度についてやろうと思ったのは3年生になった時、ゼミを決めたときですね。ゼミを決める時、漠然と「フィリピン」と「幸福度」、それから「子供」というテーマで卒論を書きたいと思っていました。松丸先生は、フィリピンや開発途上国でのテーマも扱っていたので、松丸先生のゼミに決めました。ゼミに入ってから、防災に関する勉強をしたり、留学中に、先生に紹介してもらった防災に関するNGOでいろいろなことを教えてもらって。そのこともあって、「防災」と「幸福度」と「フィリピン」で研究をすすめるのも面白いかなと思うようになりました。

十見: 研究では、フィリピンでアンケート調査を行っていましたが、アンケートや結果を分析する上で大変だったことはありますか。

木村さん: アンケート結果をもとに統計分析をやったのですが、仮説を説明できるような良い結果が出なくて、卒論がきちんとした結果としてまとまるのかなっていう不安がありました。

十見: 木村さんの卒論では、いろいろな分析をされていますが、その知識はどこで学んだのですか。

木村さん: 分析の知識は本を読んで学びました。先生から「こういう分析を使ってみたら」ということは教えてもらったのですが、分析の方法自体は、自分で本を探して勉強しました。

十見: 先生から知識を頂いて、自分で本を読んで学ばれたのですね。

木村さん: そうです。今まで統計分析をやったことはなかったので、本当に苦労しました。元々数字とかは苦手なので。でも、まずはどういう分析はどういうときに使えるかの勉強から始めて、その分析を行うにはどういうデータが必要なのかということも調べて。

十見: それはアンケートを作る前から考えていたのですか。

木村さん: 実は、アンケートをしてから分析方法を考えたんです。それが失敗だったのだと思うけど。

松丸教授: アンケートをするのだから、きちんと統計分析までしようと言っていて、数量化とかそういう統計分析だと分析ができるはずだとはアンケートを作る前に言っていたのだけれども、ちゃんと勉強する時間がとれないままアンケートをしないといけなくなってしまったんですよね。

木村さん: そうですね。だから、卒論を書くときは事前に準備するというのがすごく大事だなと思いました。どういう質問方法が今回の分析に適しているのかっていうのは初めから知っておくべきだったし、あと先行研究のレビューとかももっときちんとやっていたら新たな疑問とかも生まれたかもしれないとやっている途中に思いました。

ただ、現地でアンケートを行っていくなかで、こういう質問も入れたらいいのではないかと思ったら、その場で追加や変更をしたり、気になるところは深くつっこんで聞いてみたりとか、そういう努力はしました。海外での調査なので、後で疑問が浮かんでも簡単には行けないので、気になったことはきちんと聞くようにしていたことは、分析を進めるうえで役に立ったし、もし質問項目以外のことを聞いていなかったら、卒論としてまとまらなかったのではないかと思っています。

十見: 海外での調査は、行けても2回くらいだと思うので、国内での調査はしっかりしなきゃいけないなと改めて思いました。現地調査も、わからないことがあってもすぐには行けないので、行ったときにしっかりと調べておかないといけないのですね。

木村さん: 自分が思っている通りの結果というのは、1回の調査ではなかなか得られないと思います。1回目の調査でいろいろなことがわかって、質問項目や聞き方など細かいところを直して2回目の現地調査をやったので、それはよかったかなと思っています。

十見: アンケート実施の段階で、言葉の障壁はなかったのですか。

木村さん: 現地の人へのインタビューは、質問票をもとにフィリピン大学タクロバン校の学生に通訳をしてもらいながら行いました。私は英語で通訳の方に伝えたいことを言って、通訳の方が現地の言葉で伝えてくれました。

卒業論文最優秀賞インタビュー

松丸教授: 英語では困らなかった?

木村さん: 英語はそこまで困らなかったです。というのも、フィリピンに留学していたので、その時にある程度まで英語を使えるようになっていました。

松丸教授: 確かに、TOEICの点はだいぶ上がっていますね。留学はTOEICの点を上げるのに役立ちましたか。

木村さん: 留学したことも大きいですし、留学期間中も英語は相当勉強しました。ただ、1年生の時に行った研修をきっかけに留学をしたいと思い、留学をするために2年生の時に英語を勉強したことが一番大きかったと思います。

十見: 留学のための勉強がアンケート調査においても役に立ったのですね。では、卒論を書く上で励みになったことはありますか。

木村さん: 分析が思うように進まなくてどうしようかな、本当にこのまま結果がうまく出ないのではないかなと不安になったこともあったのですが、同じように頑張って卒論を書いているゼミ生の存在が大きかったです。卒論を書く中でどうしても煮詰まってしまうこともあったのですが、厳しくも親身になってくださる松丸先生という師匠のもとで他のメンバーも書いているのだと思うことは励みになりました。松丸ゼミだったからこそ、この卒論が書けたのだと思います。

松丸教授: 同じフィリピンをテーマに研究をしているゼミ生もいたし、同じようにアンケート分析で苦労をしている人もいましたからね。分析方法など木村君が教えている機会も多かったけど、一人じゃ分からないことも話しているうち、教えているうち分かるようになったりしたのではないかな。

木村さん: そうですね。分析は一人でやっていることが多かったのですが、分析に疲れたらふらっと研究室に来て、みんなと話して、よし頑張るかという気持ちで帰って、また取り組むみたいな感じでしたね。常に研究室に行けば誰かしらいたので、息抜きがてら研究室に行き、他のゼミ生と議論をしたり先生に相談をしたりしていました。

十見: では次に、卒論が最優秀賞に決まった時の気持ちを教えてください。

木村さん: ゼミの代表に選ばれたときは、ほかのメンバーの卒論の内容や頑張っていたことも知っているので、本当に自分が代表でいいのかなっていう気持ちがありました。代表として出ていいのか悩んだのですが、せっかく選んでいただいたので出てみよう、出るからにはきちんとやろうと思いました。その結果、最優秀賞を頂けて本当によかったです、ほっとしました。卒論発表会の時は、ゼミを代表して出ているわけだからきちんとやらなきゃなっていうプレッシャーもありましたし、ゼミ1年目の昨年も先輩が最優秀賞を受賞していて、それに続けるかというプレッシャーもありました。当日、順番を待っている間は緊張していたので外で友達と話したり、原稿を見たりしていましたけど、発表しているときはゼミのみんなの顔が見えるとほっとして、落ち着いて発表できました。

松丸教授: 卒業研究は楽しかったですか。

木村さん: 楽しかったですね。すごく集中できたし、4年間の集大成になりました。

十見: この大学、この国際地域学科に入ってやりたいと思っていたことはできましたか。

木村さん: できました。小学校の時に観たフィリピンのドキュメンタリー番組で自分と同い年の子が働いていることに衝撃を受けて、それがずっと心の中にあって、大学では途上国で自分に何ができるのかということを知りたいなと思っていました。あと、フィリピンには行ってみたいなと思っていたのですが、大学にフィリピンでの研修プログラムがあって、それをきっかけに留学もできました。卒論もフィリピンについて書けたので、やりたかったことは全部できたと思っています。

十見: では、最後に後輩にメッセージをお願いします。

木村さん: 「卒論を頑張ってほしい」というのが一番です。ゼミの後輩にはぜひ引き続き最優秀賞を受けられるような卒論を書いて欲しいです。大学生活が終わって振り返ったとき、卒論をちゃんとやっていたらきっとそのことを思い出すと思うし、卒論は形に残るものだから頑張ってほしいと思います。

十見: 本日は長い間ありがとうございました。私も卒論頑張ります。

松丸教授: ありがとうございました。社会に出ても引き続き頑張ってください。


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