1. トップページ >
  2. 国際地域学部 >
  3. グローバル人材育成プログラム >
  4. 【RDS WWP インタビュー】〔卒業生だより〕仕事するように遊び、遊ぶように仕事する

【RDS WWP インタビュー】〔卒業生だより〕仕事するように遊び、遊ぶように仕事する

English (TOYO Global RDS)

【RDS WWPインタビュー】卒業生だより
仕事するように遊び、遊ぶように仕事する

さいたま市市民活動サポートセンター 秋本創(あきもと そう)さん
2004年国際地域学部国際地域学科卒業

秋本さんは2004年に国際地域学部国際地域学科を卒業後、大学院に進み、さいたま市市民活動サポートセンターに入りました。さいたま市市民活動サポートセンターとは、非営利で公益的な活動をする市民団体(NPOや自治会など)やこれから地域や社会のために活動をしようとしている市民を支援するための施設です。

私、永楽萌々(国際地域学科1年)は今回秋本さんを取材するにあたりこのさいたま市市民活動サポートセンターで行われた「協働を考えるフォーラムinさいたま」に参加し、イベントでの秋本さんの姿をもとに学生時代から現在までを伺ってきました。

卒業生だより「協働を考えるフォーラムinさいたま」の目的は、様々なかたちの協働の例を通し、協働のあり方やこれからを考えていくというものです。このイベントでの「協働」とは、地域や社会の問題を解決するために市民や行政、企業が力を合わせて活動することを指します。

前半の1時間半は、「サッカー×手話応援=ノーマライゼーション」というテーマで企業、行政、学校、市民活動団体など様々なセクターが協力して作り上げた大宮アルディージャの「手話応援」についてパネルディスカッションを行い、協働について考えました。「手話応援」を参加者全員で実際にやってみる場面もありました。
後半の1時間半は協働の始め方、協働の進め方、協働の未来という3つのテーマでトークセッションを行いました。市民、行政、企業など様々なセクターからゲストを招き、協働に関する取組みの事例を見ていきながら協働についての理解を深めました。

私(永楽)も参加して約3時間半のイベントを通して協働についての様々な知識を得、考えることができ充実した時間が過ごせました。私にとって協働について初めて考える機会でしたが、初めての人にもわかりやすいフォーラムだったと思います。

【イベント後に時間をとってもらい、お話を伺いました。】

卒業生だより永楽: イベントお疲れ様でした。先ほどのイベントでは機材のセッティングをされたり、ディスカッションの内容をまとめたりと様々なことをしていらっしゃいましたが、今回だけでなくこのようなイベントを運営するにあたってどういうことを心掛けていますか。

秋本さん: とにかくゲストの方が話しやすいようにすることを心掛けています。あとはそれをどうコントロールするかも考えています。話し出すと止まらない方もいるので。聞いている人に今どんな事を話しているのかをしっかりと示すことも大事ですね。

永楽: 運営する側として様々な配慮をされているのですね。秋本さん自身はこういったイベントを催し、参加することの意味はどのように考えていますか。

秋本さん: まず、イベントに参加する機会がないとこういったお話を聞くことってなかなかないですよね。そこはやはり参加者にとってのひとつの大きな意味だと思います。開催する側としては、私たちはNPOを支援する組織ですから、他のNPOにとってマイナスにならず、しかし他にないような意味のあるイベントをすることに気を付けています。今回の協働というテーマもなかなか他では扱いにくいテーマだと思いますが、とても意味のあることだと思います。あとは、参加する側も開催する側も出会いの場になるということは一番意識していますね。こういったイベントでは企業の方、NPOの方、行政の方など様々な方と出会えます。開催する側もこういったイベントは営業の良い機会になります。直接的に私たちのイベントに来てくださいと呼びかけるのは少し難しいかもしれませんが、こういうゲストが来ますと宣伝することでそれ自体がネットワークになり、新しい組織との出会いが生まれて次に生かすことができます。ですからネットワークというものは常に意識していますね。

永楽: 私もイベントに参加してネットワークというものを肌で感じました。先ほどのイベントの合間やその後もゲストの方々だけでなく、イベントに参加しに来ていた方々とも親しく話していらっしゃいましたよね。このように市民、行政、企業、団体といった様々な立場の人々と密接に関わることができるのは普通の企業ではなかなかないことなのではないでしょうか。

秋本さん: そうですね、普通ではなかなか出会う機会のない方々と出会うことができるのはこの仕事のメリットだと思います。何よりまず自分で仕事を考えなければいけないし、自分で仕事を作らなければいけないということも特徴です。デメリットとしては一般的な会社員に比べると収入が少ないことですね。現在の社会状況からはなんとも言えませんが、きっと私と同じ年齢でずっと同じ企業に勤めている人だったらもう少し多くもらえていると思います。あとは、基本的に完全にオフの日が少ないということです。でも私自身この仕事を好きでやっているので、特にNPOで働いているとか地域と密着して働いているということが特別とは思っていません。NPOでも大きい組織であればやっていることは普通の会社員とあまり変わらないこともあります。小さい組織であれば自分が何をやるのか自分で選べます。私は自分でやることを自分で選べるということを重視して、小さい組織で働くことを選びました。これが今の仕事をしている理由ですね。やりがいにも繋がります。仕事がつまらないと言う人は結構多いですが、私はそうは思いません。ひとつひとつの作業としてつまらない仕事があったとしてもトータルで見ると全くつまらないとは思いませんね。

永楽: 国際地域学部にいると、海外とのつながりがある仕事をしたいという人や海外の企業で働きたいという人が多く、あまりこういった国内の地域に密着した仕事に目が向かない学生も多いと思いますが、秋本さんはこういった仕事の意義はどう考えていますか。

秋本さん: まず私は基本的に企業セクターがお金を稼ぐことが社会の第一だとは思っています。ただ、お金以外の価値というものが見直されてきていると思うんです。だからこそボランティアをする人も増えてきていると思います。私は企業で働くことは良いと思うし、むしろそれがなければ社会が回らないと思うのですが、お金以外の価値というものももう少し社会的に見直さなければいけないのではと思っています。例えば、1000万円稼げても社会や地域に全く貢献できていないと感じる仕事か、250万円しか稼げないけど社会的な意義を感じられる仕事だったらどちらをとるかという話があるとします。たぶん昔の高度経済成長の時代とかであると、前者を選ぶ人が多かったのではと思います。でも、今はそんなことはないですよね。例え250万円しか稼げないとしても少しでも社会的な意義がある仕事をしたいという人が増えてきていると思います。ボランティアをする人も増えてきています。そのように非貨幣経済的な部分が見直されてきていると思うんです。だから、お金以外の価値を考える拠点としてこういった仕事があることは意味があると思いますね。いま私が受けているようなインタビューなどで話をすることや、たまに質問に来る学生さんに答えるといったことにも意味を感じます。

永楽: 利益よりも社会的意義を感じられる仕事を選んだり、社会貢献をしたいという気持ちを持って活動する人々が増えてきていることで、今後、秋本さんがなさっているような職業は、より多くの人が思い浮かべる仕事の選択肢に入ってくると思いますか。

秋本さん: 個人的にはまだ時間がかかると思いますが、着実に進んでいると思います。あと、私の知っている限り、私と同じような仕事に就いている人たちは、実は社会貢献をしたいという気持ちを強く持って仕事をしている人ばかりではありません。社会貢献をしたいと強く思っている人は企業で働きながらボランティアなどをしている人が多いと思います。私と同じような仕事をしている人たちは理想を追いかけているというより、もっと現実に即した人が多いです。例えば障がい者を支える活動をしている人の原動力は何かというと、もともと自分の家族に障がい者がいて、その家族のために何かしたいと考える人たちが多いんです。最近社会貢献マインドを持った人が増えてきてはいますが、NPOだからといってそれを理由に働いている人ばかりではありません。私も「まちづくり」をしたいとか、小さい組織の中で自分で仕事を作っていきたいと考えてこの仕事に就きましたが、それは社会貢献マインドとは違うと思います。NPOで働くことは選択肢のひとつなので、学生の皆さんには様々な仕事があるということを伝えたいです。企業に入ってから社会貢献をすることもできます。

永楽: では秋本さんの学生時代について伺いたいのですが、秋本さんは学生の頃から地域に密着した仕事に就きたいという考えを持っていたのですか。

秋本さん: 持っていなかったですね。ただ、学生の頃からすごく大きな組織で働く自分はあまり想像できませんでした。また、私は大学院まで行って、そこで「まちづくり」について学んでいました。ですから何か「まちづくり」の分野に関われる仕事に就きたいとは思っていました。でもそれが必ずしもNPOである必要性は感じていなかったですね。これはあまり良くない例かもしれないのですが、私は5年後10年後といった先のことをリアルに思い描くことが苦手なんです。だから全部成り行きでやっている感じですね。今の仕事に就いたのも偶然のようなものですし。

永楽: 国際地域学部国際地域学科に入学したときは、海外と繋がりがあることや日本にいても英語を使うようなことをされたいと思っていましたか。

秋本さん: 私が入学した年がちょうどアメリカ同時多発テロが起こった年でした。私はそういった国際情勢に特に興味がなかったのですが、それは良くないなと思ったのが国際地域学部を選ぶひとつのきっかけにはなりました。でもまだ18歳の自分に明確な目標はなかったような気がします。「まちづくり」に関わる仕事に就きたいと考えることができたのは国際地域学部に入ったからこそだと思いますね。

永楽: 大学時代に経験したことで、これはやって良かったとか今の仕事に生かされていると思うことはありますか。

秋本さん: 大学時代はいろいろ成長に繋がったと思いますね。高校までに比べて自分の頭で考えることが多かったですから。私は夏にタイのアジア工科大学院の研修に行ったのですが、そこでもディスカッションが多く、講義等も含め自分の頭で考える習慣ができたことはとても良かったと思います。また、海外を経験できたのも良かったと思います。見るもの聞くもののほとんどが初めてのことでした。これは国際地域学部ならではのことだと思います。今の仕事に通じると思うことは、ゼミ等においてグループでひとつのテーマについて考え、最後にプレゼンテーションするということが経験できたことですね。今の仕事でもプレゼンをして、そのプロジェクトの仕事がとれるかとれないかということがありますので。

永楽: 大学時代そのものが成長の場だったのですね。大学院に進まれたとのことですが、様々な選択肢がある中、大学院に進もうと思ったきっかけはなんですか。

秋本さん: ゼミの指導教員であった安相景先生(国際地域学科教授)に勧めていただいたことがそのひとつではありますね。あとは、論文を書くことが楽しいと思えるようになった時期が遅かったというのもあります。もう少しこういうことをやっていきたいなと思っていたところに安先生が声をかけてくださいました。でもそれも成り行きといえば成り行きなんですよね。

永楽: 学生時代は働くことについてどう考えていましたか。

秋本さん: あまり明確に考えていなかったですね。私は大学院の途中から働き始めたのですが、その時も研究の延長のようなかんじでした。目の前に仕事があればそれに取り組みますが、働くとはなにかというようなことは考えなかったです。これも先ほど話したように長期的なスパンで物事を考えるのが苦手だからだと思います。

永楽: では、現在の秋本さんは働くことについてどう考えていらっしゃいますか。

秋本さん: 私の仕事は、きっちり何時から何時までというものではないんですよ。タイムカードで考えると9時から17時までこの施設にいるとしても、それ以降の時間が仕事でないかと言われればそうではないです。私の弟を見ていると仕事とプライベートを完全に切り離しているようですが、私はあまりそういうことをしません。そしてそれが悪いこととも嫌なこととも思いません。仮に日曜日が休みだとしても、メールや電話が入りますし、それに全て対応します。別にそこは苦ではないです。ですから、遊びに行ったりとか映画を見に行ったりということはオフだとしても、それ以外の時間では仕事とプライベートを特に切り離していないですね。ちょっと格好つけて言うと起きている時間は全て仕事です。「仕事するように遊べ、遊ぶように仕事しろ」という言葉があるのですが、この言葉はとても好きで、自分の座右の銘にしています。例えば、NPOのネットワークを作るための勉強会で人狼ゲームをしようと提案したのですが、一見遊びのようでもそれは私の中で半分は仕事なんですよね。様々な人をネットワークするというのが私の仕事なので半分は仕事というわけです。パソコンに向かうだけが仕事なのではなく、こういった仕事もあるからこそ仕事とプライベートを切り離していないのかもしれません。もちろん時にはやりたくない仕事もありますが、トータルで見ると今の仕事は好きでやっているので苦ではないですね。

永楽: では最後に学生へメッセージをお願いします。

秋本さん: 学生のうちに自分の頭で物事を考える習慣は持っておかなければいけないと思います。頭を使う習慣がある人とない人では社会に出てからも大きな差が出るし、その習慣がないとどんな仕事をしてもいずれ困ると思います。あとは、学生のうちは何をやっても間違っていないと思うし、それが糧になると思います。社会人になってから何かに挑戦しようとしても生活がかかっていたりして難しいことがありますが、学生はそんなことはないし、失敗しても良い前提になっているので色々なことを実験できます。ですから学生のうちには失敗を恐れず何でもやってみることですね。

永楽: 本日は一日ありがとうございました。

【インタビューを終えて】

秋本さんは、良い意味で、働いているというよりは自分のやりたいことをやっていらっしゃるという感じがした。だからこそ「起きている時間全てが仕事」でいられるのだろう。秋本さんは成り行きで進んできたとおっしゃっていたが、決して適当なものではない。自分の好きなこと、苦手なこと、自分に合ったやり方を知っているからこそ今までの経験を糧にでき、さらに仕事に全力で向き合えているのだと思いました。

卒業生だより

RDS WWPRDS Web ライタープログラムの略称です。

取材・構成: 永楽萌々(国際地域学科1年)
編集: 久松佳彰(国際地域学部教員)