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学生の声:「協働」の精神で世界を変えたい

English (TOYO Global RDS)

「協働」の精神で世界を変えたい

学生 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 4年
小林ななみ(こばやし・ななみ)
教員 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 教授
北脇秀敏(きたわき・ひでとし)

小林ななみさん 北脇秀敏教授

北脇教授: 東洋大学は2013年度に国連ボランティア計画(UNV)、関西学院大学(基幹校)ほか4大学との協力協定を結び、国連ユースボランティア(The UN Youth Volunteer、UNYV)派遣を行っています。従来の国連ボランティアよりも若い方に与えられた貴重なチャンスです。東洋大学から3人目の派遣となる2015年度は、国際地域学部国際地域学科の小林ななみさんがバングラデシュ人民共和国へ派遣されることになりました。
今回は国連ユースボランティア派遣についてはもちろん、そこに至るまでの経緯など、いろいろなことを伺っていきたいと思います。

(注)このインタビューの後、2015年度国連ユースボランティアのバングラデシュ派遣は、治安の悪化により中止となりました。ご了承の上でお読みください。

国連ユースボランティアでバングラデシュへ

北脇教授: まずはこのプログラムについて知ったきっかけから聞かせてください。

小林さん: 私は昨年、大学を休学してフィリピン共和国でインターンシップをしてきました。ちょうどその時期、同学年の橋本工さん(国際地域学科)が国連ユースボランティアで東ティモール民主共和国に派遣されていて、お互いの活動についてスカイプなどで情報交換をしていました。橋本さんは東ティモールでボランティアデーのイベント運営に携わっていて、東ティモール人だけでなく様々な人々と意見をぶつけ合いながらプロジェクトを行っていました。日本人同士でも大変なのにと、難しいことに立ち向かっている姿に刺激をうけ、私も挑戦したいと思いました。

北脇教授: 海外で活動する機会は色々ありますが、国連ユースボランティアにどんな魅力を感じて、挑戦したいと思ったのですか?

小林さん: 私はこれまで、学生団体を立ち上げ、フィリピンにてスクワッター住民の方々にインタビューをしたり、ボランティア活動に携わったりと、草の根運動に関わってきました。今度はローカルに入り込むだけでなく、国連という大きな組織による活動に関わってみたいと思ったのです。

北脇教授: なるほど、NGOと国連、両方の面から見ることができるのはすばらしいことだと思います。国連ユースボランティアはもってこいのチャンスでしたね。では、様々な派遣先が用意されている中で、バングラデシュに行こうと決めたのはどうしてですか。

小林さん: はじめはフィリピンに応募していましたが、落選してしまいました。バングラデシュの再募集がかかった際、今までの経緯を振り返り、1年生の時に北脇先生の「国際環境計画入門」を履修して、バングラデシュで深刻な問題になっている地下水のヒ素汚染について、それからBOPビジネスなどについて学び、興味を持ったことを思い出しました。北脇先生のゼミに入ろうと考えたのもそれがきっかけでした。

北脇教授: 派遣先はバングラデシュの首都ダッカですね。ダッカは世界有数の大都市ですので、面食らうこともあるかもしれません。東洋大学の学生がこれまでに同プログラムで派遣された東ティモールやフィジーとはまた勝手が違うこともあると思います。その中でも、小さな歯車の一つになるだけでなく、プラスアルファで自身のできることを見つけて挑戦していってほしいと思っています。

勤務予定のオフィスと上司のタニア氏 勤務予定のダッカ市内にある国連機関が入っているビル
(写真左:勤務予定のオフィスと上司のタニア氏)
(写真右:勤務予定のダッカ市内にある国連機関が入っているビル)

国連ユースボランティア派遣への道のり

北脇教授: 国連ユースボランティアへは、他大学の学生との厳しい選抜があったと思います。選考の様子を聞かせてください。

小林さん: まずは英語の履歴書等を提出し、それからスカイプで英語面接がありました。どちらも初めてのことでもちろん大変でしたが、北脇先生や久松佳彰先生(国際地域学科 教授)、ロバート・ヒューズ先生(国際地域学科 准教授)、ランゲージセンターの方々など、本当にたくさんの方にサポートしていただきました。イヴァン・ボテフ先生(国際地域学科・ランゲージセンター 講師)には2カ月以上にわたり毎週、英文書類の作成から面接まで指導をしていただきました。こんなにもたくさんの方が力強く応援してくださっているんだととても励みになりましたし、選考に向けて学んだことは、今回のみならず様々な場面で役立つだろうと思っています。

北脇教授: ずいぶん熱心に準備をしたのですね。せっかくなら、今回も英語インタビューにすればよかったかな。(笑)

小林さん: それは許してください。(笑)

北脇教授: 冗談はさておき、どれだけ練習を積んだつもりでも、本番の面接では予想外の質問が飛んでくることがしばしばありますよね。

小林さん: 確かにありました。ですが今回、幸か不幸か先方の都合でインタビュー開始時間が遅れたこともあり、待つうちにいつの間にか開き直っていました。ここまできたら全てを出し切ろうとあまり緊張せずに臨めたので、結果的には冷静に対処できたような気がします。面接をしてくださった方も、バングラデシュ人の優しい方でした。ただ、内容というよりも英語そのものが訛りもあって聞き取れないことがあり、もう一度お願いします、は何度も言ってしまいました。久松先生が前もって動画で訛りを予習しておくよう勧めてくださったおかげで、なんとか乗り越えられたように思います。

北脇教授: それは良いアドバイスをいただきましたね。ところで面接の途中で、これは受かったかもと思ったことはありましたか?

小林さん: 実はありました。組織的な活動をしたことがありますかという質問があって、フィリピンの現地NGO災害復興支援団体とともにデイケアセンターを作った経験を話したら、明るい声で "Thank you very much !"  と言われたんです。手ごたえを感じましたね。

小林ななみさん 小林ななみさん

北脇教授: やはり具体的に実際の経験を語れるのは強いということですね。これから挑戦する後輩たちにも、そうした経験を積んで、少しずつステップアップしていってほしいですね。
それでは、派遣が決まった今の率直な気持ちを聞かせてください。

小林さん: 素直に楽しみです。このプログラムは今まで携わってきたボランティア活動に比べて「仕事をする」という感覚が強いので、経験をもとにどこまで通用するのか試したい気持ちでわくわくしています。私はボランティアとは、誰かを思いやり、ひとつのものをみんなで作り上げていくことだと考えていて、その延長線上に世界平和や様々な問題の解決があるはずだと信じています。それを国連という立場から拡げていくことを大きな抱負として掲げて、精一杯やってきたいと思っています。

国連オフィスで広報業務に携わります

北脇教授: あちらではどのような業務に携わることになっているのですか。

小林さん: 広報活動が主な業務となるようです。国連ボランティアの「ボランティアを増やすことで平和と開発を進める」という目標を達成するために、Webでボランティア活動やUNVの情報を発信していきます。オフィスワークが多いと思います。

北脇教授: Webによる広報の仕事は得意なのですか。

小林さん: フィリピン支援活動の一環でWebサイト制作をしたことがあるので、選考の際にその経験が評価された面はあるかもしれません。でも、もっとWebデザインについて勉強してから行かなければと思っているところです。

北脇教授: 派遣までの期間を有効に使って、よりふさわしい人材になって乗り込めると望ましいですね。今は具体的にどんな準備をしているのですか。

小林さん: プログラムの一環で事前研修を提供してくださるので、そこでも色々なことを吸収したいと思っていますが、個人的にもWebの編集や写真のエディットの勉強をしています。それと現地の訛りに慣れるために、動画サイトで毎日バングラデシュ人の英語を聞いています。

小林ななみさん北脇教授: 異なる国、文化の方達と一緒に仕事をするときには、コミュニケーションの取り方が重要な課題になります。この機会にぜひ現地で学んできてください。私の経験から言うと、仕事をさぼって一緒にお茶にいくなんてことが大事だったりします。実は重要な情報交換の場であったりしてね。日本の感覚にとらわれすぎず、彼らのペースに合わせて柔軟に対応するよう心がけましょう。

小林さん: なるほど、覚えておきます。

英語とベンガル語

北脇教授: 選考の時は、英語力を見られたのですか。

小林さん: はい。書類も面接も英語だけで、現地語(ベンガル語)については問われませんでした。

北脇教授: ベンガル語を勉強したことはありますか。

小林さん: それが、全くないんです。昨年東ティモールに派遣された橋本さんは現地語(テトゥン語)をかなり勉強して行って、現場で使うことも多かったと聞いていますが、やはり私も勉強していくべきでしょうか。

北脇教授: バングラデシュだと、さほど使わないかもしれませんね。公の場ではほぼ英語が通じます。私も30回以上訪れていますが、ベンガル語はほとんど話せないままでいますよ。もちろん、バングラデシュに根付いて専門家になるのであれば必要不可欠です。たとえば青年海外協力隊だと、必死に勉強して170時間程で身につけます。でも国連のように広く大勢を見る仕事をするのであれば、それほど必要ないでしょう。ただしもちろん、生きていくに困らない程度には身につけて行ってくださいね。
一方で英語は、特殊言語と違って甘えが許されませんから、ブロークンでない高い水準が求められます。小林さんは、英語は入学当初から得意だったのですか。

小林さん: いいえ。1年生の夏に海外国際地域学研修サウスウエスタン大学コースでフィリピンへ語学研修に行ったのですが、まったく英語が通じなくて愕然としました。

北脇教授: では、どうしてここまで話せるようになったのですか。

小林ななみさん小林さん: 私は長期留学の経験はありませんが、春夏の長期休暇を利用して2週間から1カ月の海外渡航を繰り返していました。インド、モンゴル、台湾、カンボジアなどあちこちに行きましたが、フィリピンに行った回数が一番多いですね。

北脇教授: 海外に行く学生が多い国際地域学部生の中でも、かなり多いほうですね。そのことも選考時の評価に関わったのかもしれませんね。

小林さん: 何度も海外に行って感じたことは、とにかく積極的にコミュニケーションをとって、自ら動いていくことが何より大事だということです。ただ言語の勉強をするだけなら、日本にいてもいくらでもできます。たとえば一人で部屋にいても、TEDなどの動画サイトを見て真似しているだけでもずいぶん身に付きました。

北脇教授: そのとおりですね。東洋大学内でも、英語に触れる機会はたくさん用意されています。たとえば私のゼミも、英語のテキストで、すべての進行を英語で行ったこともありました。

小林さん: はい、そのゼミには私も参加していました。正直、全てを即座に理解できたわけではありませんでしたが、わからないことは先生に質問しに行って、必ず解決して次に進むことを心がけていました。

北脇教授: そうした日々の積み重ねが今に繋がったのでしょう。
東洋大学はいま、時代のニーズに応じてグローバル化を推し進めています。まず2012年に国際地域学部が文部科学省「グローバル人材育成推進事業 タイプB」に採択され、続いて2014年には東洋大学が文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援 タイプB」に採択されました。日本でも海外でも仕事ができる人財を育てる大学を目指し、仕組み作りを進めています。たとえば、英語だけで卒業できるよう英語の専門科目を増やすこともその取り組みの一つです。SCINE(Study Courses IN English)SAIHAT(Study Abroad In HAkusan, Toyo)などは、実は在学生でもよく知らない人がかなりいるようですが、ぜひもっと活用してもらいたいと思っています。
小林さんは、なにか印象に残っている英語の授業はありますか。

小林さん: 小早川裕子先生(国際地域学科 講師)の「地域文化B 日本研究プログラム」です。東洋大学に来ている外国人留学生と日本人学生がペアになって、日本の文化について研究し、英語で発表するという授業でした。準備のために授業外でも一緒に勉強して仲良くなって、英語の勉強にもなりましたし、留学生はとてもモチベーションが高いので刺激を受けました。

海外活動の経験が今の自分を作りました

北脇教授: 小林さんはこれまでにも様々な海外活動に関わってきました。まずは昨年のフィリピンでのインターンシップについて聞かせてください。

小林さん: 北脇先生の授業でBOPビジネスについて学び、貧困層に対し、援助をするだけでなくビジネスを通して持続可能な課題解決方法を作るということに興味を持ちました。それから、日本人を対象としたオンライン英会話事業を行っているWAKU WORK ENGLISH .Incで半年間インターンをすることを決めました。WAKU WORKは、売上の一部を貧困層の子どもたちへの英会話トレーニングに回し、子どもたちの自立を目指したビジネスモデルです。フィリピンは学校の授業も就職面接も全て英語で行われるため、教育がしっかり受けられない貧困層の子どもたちは、ビジネスレベルの英語が話せないために職に就けないという問題があります。それを改善するために、子どもたちへ英会話トレーニングを行っています。また英会話事業だけでなくカフェ事業も行っています。トレーニングを受けている子どもたちがカフェで働き、その収入で大学への進学資金を稼ぐという試みです。
私はカフェのマネジメント役として事業に携わり、他企業や語学学校への広報・営業等を主に、フィリピン人スタッフと共に戦略を考え実行するということを行ってきました。経営に携わることは初めてで、上手くいかないこともありましたが、スタッフ一丸となって売上を伸ばすことができたときはとても嬉しかったことを覚えています。

北脇教授: ソーシャルビジネスはこれから本当に大事にしていかねばならない分野ですね。小林さんは他にも、さまざまな学生活動に精力的に関わっていたようですが。

小林さん: ConnActionという学生団体を立ち上げて、フィリピンのバランガイ・ロレガというスラムで実態調査や教育ワークショップ、現地の大学生と交流イベントの開催など、思いつく限りのことをしました。その中で出会った現地コミュニティ開発NGOが、「バヤニハン」という精神を大事にしています。「協働」という意味の言葉で、人を思いやる気持ちが込められています。その精神が拡がることこそ世界が変わるきっかけになると私は信じていて、それが卒論テーマにも関わっています。すべてが今に繋がっているなと感じています。

北脇教授: 充実した学生生活を送ってきて、それらを十分に糧としてきたようですね。

小林ななみさん 小林ななみさん

開発援助を学ぶため国際地域学部へ

北脇教授: 話がさかのぼりますが、小林さんはどうして東洋大学の国際地域学部を選んだのですか。

小林さん: 中学生のころからの夢が、NGOなどで働いて世界の困っている人たちのために何かしたいということでした。子供のころ私は転勤族でしたが、どこへ行っても必ず家も食事もありました。そのありがたさを思うと、生まれた場所が違うというだけで厳しい生活を強いられている人達のために何かしなくてはならないと思ったのです。大学について調べた時に、NGO、開発、文化人類学、フェアトレードなど興味のあるキーワードがたくさんあり、夢を一番実現できそうなのが国際地域学部だと思いました。

北脇教授: 実際に国際地域学部に来てみて、小林さんの夢の実現に役立っていますか。小林ななみさん

小林さん: もちろんです。大学の授業で基礎知識を得、海外へ行き、帰ってきてまた大学の授業で学ぶことで、さらに理解が深まります。たとえば安相景先生(国際地域学科 教授)の「土地・住宅政策」という授業は、スラムでの活動に直結していました。2年生時の眞子岳先生(国際地域学科 助教)のゼミでは、交差感染を防ぐのに紙石鹸はどうかとアイディアを出したりして議論したのも印象に残っています。

これからの進路と目標

北脇教授: 小林さんは将来、国連で働きたいと思っているのですか。それとも、NGO団体ですか。

小林さん: 実は、どちらでもありません。大学で学んだ今、ただ協力する、提供するではなく、一緒に作り上げていきたいという気持ちが強くなっていて、ビジネスを通して持続性のあるwin-winの関係を作ることこそが理想だと考えています。それもあり、まずは民間企業で働こうかと考えています。

北脇教授: 一方的な関係ではなく、パートナーになりたいということですね。希望通りにCSRやソーシャルビジネスの部門に配属されるとは限らないというのが民間企業のデメリットだとは思いますが、思い通りにならないことがあっても挫けず、なにかの形で関わっていけるよう頑張ってください。小林さんであれば前途は明るいでしょう、応援しています。まあ私としては、大学院に進んで研究と活動を続けてほしいという気持ちもあるのですが。

小林さん:大学院へ行くべきだと思われますか。

北脇教授: 海外で仕事をしたいのであれば、修士号が必要になるでしょう。東洋大学では大学院に在籍しながら青年海外協力隊に参加するという試みも行っていて、実際に今、隊員としてダッカで日本語教師をしている大学院生もいます。いずれにせよ選択肢は無数にありますから、よく検討してどうぞ後悔しない道を選んでください。

後輩へのエール

北脇教授: それでは最後に、これから国連ユースボランティア、または海外を目指す後輩に、元気の出るようなエールをください。

小林さん: 一歩を踏み出すのは怖い、不安だと感じることもあるかもしれません。でも、踏み出せば必ず何か新しい道が開けます。それを楽しみにして、挑戦していってください。あまり遠くを見すぎずに、目の前のことに一つひとつチャレンジしていく気持ちが大事だと思います。みなさんもぜひ臆することなく頑張ってください。

小林ななみさん

北脇教授: ありがとうございました。なんだか学生とは思えないくらいしっかりしたお話を聴くことができて、頼もしく思います。派遣先でもたくさんのことに挑戦して、多くを吸収してきてください。もちろんバングラデシュにいる間も協力は惜しみませんから、何かあればいつでも相談してくださいね。

小林さん: 12月頃、バングラデシュにいらっしゃるかもしれないという話はどうなりましたか。ぜひ来てください。

北脇教授: それも考えておきますが。私の研究室にはバングラデシュに行っている方がたくさんいます。様々なネットワークができているので、ぜひそこに関わっていってもらえたらと思います。毎週現地の学生とスカイプで研究打ち合わせをしているので、まずはそれに参加して、状況を聞かせてください。

小林さん: ありがとうございます。北脇先生をはじめたくさんの方々の後押しがあるからこそ、自信を持ってバングラデシュに行くことができます。

北脇教授: 頑張ってください。今回は長い時間ありがとうございました。

 小林ななみさん


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