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学生の声(国際地域学科):国連ユースボランティアで東ティモールへ出発

English (TOYO Global RDS)

国連ユースボランティアで東ティモールへ出発

学生 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 4年
橋本工(はしもと・たくみ)
教員 東洋大学 国際地域学部 国際地域学科 教授
髙橋一男(たかはし・かずお)

橋本工さん 髙橋一男教授

髙橋教授: 東洋大学は2013年度に国連ボランティア計画(UNV)、関西学院大学(基幹校)ほか4大学との協力協定を結び、国際地域学部学生の国連ユースボランティア(The UN Youth Volunteer)派遣を行っています。2013年度フィジー共和国に派遣された小川千春さん(国際地域学部国際地域学科)に引き続き、2014年度も国際地域学部国際地域学科から橋本工さんが厳しい選考を突破し、東ティモールへ派遣されることになりました。そこで、今回は橋本さんに、派遣の決定までのことを色々とお聞きしたいと思います。

大学生活最後の半年間を東ティモールで過ごす

髙橋教授: まずは、数あるプログラムの中から、なぜ国連ユースボランティアに興味をもったのか、そのきっかけから聞かせてください。

橋本さん: 国連ユースボランティアの派遣が始まったこと自体は昨年から知っていましたが、当時の私には語学力が足りず、応募はできませんでした。それから1年経って無事英語力も伸び、2014年1月、同じ学科の友人に誘われて国連ユースボランティア/ワシントンセンターインターンシップ合同説明会に参加したことが、現実的に応募を考えるようになったきっかけです。その後、DOA(Description of Assignment:業務指示書)で派遣先となる12カ国が公開されて、その中に東ティモール民主共和国があったので、応募を決心しました。

髙橋教授: 橋本さんの場合、東ティモールという派遣先が大事だったのですね。どうして東ティモールへのこだわりができたのですか。

橋本さん: 大学1年生の終わりの春休みに、NGOのワークショップに参加しました。そのときに東ティモールのドキュメンタリー映画の案内を頂き、興味を持って上映会に行ったことがきっかけでした。2002年の東ティモール独立までの紛争の歴史やその頃の生活について収めた映画です。東ティモールでは、インドネシアの支配下にあった1975年頃からの24年間で、3分の1にもなろうかという人々が亡くなったといわれています。インドネシア軍や、インドネシア軍に雇われていた東ティモール人による侵略、独立派と併合派の対立、抵抗運動などに巻き込まれ、多くの人々が命を落としました。ですから東ティモールの人々は誰もが、家族や大切な人を失ったことがあるのです。ですが映画の中で東ティモールの人々は、それらを赦すと言っていました。そう言える彼らの強さがいったいどこから来るのか、現地に行って自分で確かめたいと思ったのです。

髙橋教授: 初めて東ティモールに行ったのは、大学2年生の夏休みでしたよね。東ティモールへの足がかりにすると言って、私が3年生を連れてタイ王国へ行ったゼミ研修にくっついてきましたね。

橋本さん: 一人で海外に行くのにまだ不安があって、一緒にタイまで行ければ心強いと思ったのです。バンコクからバリ島に移り、デンパサールから東ティモールのディリーへの飛行機に乗りました。アルバイトをはじめてお金を貯めて、東ティモールには5日間だけ滞在しました。慣れない外国でしたし、そのときはまち歩きくらいしかできませんでした。特に戸惑ったのは、東ティモールの人々には、予想していたよりも英語が通じなかったことです。タクシーの運転手がかろうじて少し話せるくらいでした。言語でのコミュニケーションが難しかったので、音楽や笑顔で乗り切りました。

髙橋教授: それでも楽しかったようですね。一度のみならず、また行こうと決意したのは何故ですか。

橋本さん: 現地で仲良くなった家族がいて、そこの子どもたちに次はいつ帰ってくるのかと聞かれました。それで、絶対にもう一度ここに帰ってこようと思いました。2回目の渡航では3週間ほど滞在し、尊敬するフォトジャーナリストさんに同行させていただきました。ホームステイ先もご紹介いただいたのですが、それが当時独立運動に参加していた方のご一家で、紛争時代のお話を聞くことができ、とても貴重な経験になりました。コミュニティのリーダーにもお会いして、「development(開発)」とは何か、ということについてお話し、私の中で問題意識が形成されていきました。

東ティモールにて1 東ティモールにて2

髙橋教授: 東ティモールという国が、橋本さんに研究のモチベーションを与えてくれたのですね。そこから「development」というテーマをみつけて、3年生のゼミで学ぶことにもなりました。

橋本さん: 髙橋先生のゼミで、タイの貧困層を中心に学びました。タイをモデルにして学んだコミュニティ開発について、どうしたら東ティモールにアウトプットしていけるのか。自分に色々なものを与えてくれた東ティモールに、なんとか恩返しができないか、と考えているときに、国連ユースボランティアというチャンスに出会いました。

チャンスをつかむための奮闘

髙橋教授: 国連ユースボランティアの参加には、厳しい選考があります。橋本さんも、ずいぶん早いうちから準備をはじめていましたね。

橋本さん: 選考の最初の手順に、英語のCV(Curriculum Vitae:履歴書)とCover Letter(送付状)を作成するというものがあります。もちろん、英語でそういったものを作成するのは初めてのことでした。2014年1月の説明会のときに、ランゲージセンターのイヴァン・ボテフ先生(国際地域学部国際地域学科講師)、ジョナサン・ブラウン先生(国際地域学部国際観光学科講師)が、希望者を集めて準備講座を開いてくださり、基本的な作成方法を学びました。教えていただいたことを基に自分なりに作成してみて、3月ごろからそれを持ってランゲージセンターの特別指導に何度も通いました。先生方のご指導は、通常の英語の授業ではなかなか教えてもらえないような実践的なもので、今回に限らず今後様々な場面で役に立つと思います。そして学内選考を通過して東洋大学からの推薦をいただき、出願書類を提出、その後もう一度「Roster」というシステムに入力する形での英文履歴書を提出して、最後は現地の職員の方との電話面接でした。

髙橋教授: 英語による電話面接というのも、なかなか経験がなく、苦労したのではないでしょうか。

橋本さん: 電話面接についても、ランゲージセンターの先生方が熱心に指導してくださいました。たとえば、単語の選び方、より好まれる文法、相手に親近感を持ってもらいやすい話し方など、具体的で、即座に役に立つことばかりでした。そうした支援があってこそ面接を乗り切ることができたのだと思います。練習の最後には、実際にロバート・ヒューズ先生(国際地域学部国際地域学科准教授)が別室から電話をかけてきてくださり、本番さながらの雰囲気で最終チェックを行いました。

ランゲージセンターの先生たちと
(ランゲージセンターにて 左からボテフ先生、ブラウン先生、橋本さん、ヒューズ先生)


髙橋教授: 実際の電話面接ではどんなやりとりがあったのか、その内容について教えてください。

橋本さん: 時間としてはだいたい25分くらいでした。自分自身の強みと弱み、組織でリーダーシップを発揮した経験や、関連する業務スキルについて、モチベーション、ボランティアリズムとはなにか、などについて聞かれました。昨年度東ティモールに派遣されていた前任の方や、東洋大学からフィジーに派遣されていた小川千春さんにも事前に色々とお話を聞かせていただいていたので、だいたい予想していた通りの内容でした。実は前もって、どんな質問をされるか考えられるだけ考えておき、その回答を用意して全て暗唱できるくらいに練習していたのです。ボテフ先生に、鏡の前で練習すると良いと教えていただき、ゆっくり堂々と話す、YESをはっきりと発音する、等々、教えていただいたことを確実にできるようになるまで繰り返し練習しました。

髙橋教授: ゼミの指導教員として、誰よりも熱心に準備する姿を見ていました。実際、他大学の候補者も大勢いる中、選ばれた決め手は何だったと考えていますか。

橋本さん: やはり、東ティモールへの熱意だと思います。熱意では負けないと思っていたので、それをどうやって伝えるかに絞って準備しました。国連開発計画(UNDP)の東ティモールのサイトや、BBC、CNNの東ティモールに関するニュース記事、本などもたくさん読み、知識をもとにアピールしました。あとは、現地語を話せるかどうかも大きかったと思います。国連ユースボランティアに参加するには英語が必須ですが、実際に現地で業務にあたる際はテトゥン語を使う機会も多くなるだろうと聞いています。私は週に1回、東ティモール学生団体のミーティングに参加しており、東ティモールの大学に留学した経験のある日本人学生にテトゥン語を教わっています。

髙橋教授: 東ティモールをきっかけにして、ネットワークも広がっているようですね。

橋本さん: 東ティモールと名のつくイベントは全て参加するようにしています。グローバルフェスタに参加して知り合った方々とは今も親交があります。私が東ティモールに興味を持つきっかけとなったドキュメンタリー映画の自主上映会を、他大学生も含めた仲間達と開催したりもしました。そのときにゲストとして来てくださった、東ティモール独立運動に実際に参加していた方には色々と教わりましたし、映画の制作者にもお会いしました。今回の国連ユースボランティアを通して、精力的に活動されている前任者の方とも出会うことができましたし、人とのつながりが広がっていくことは強く感じています。

求められている以上の成果を出すために

髙橋教授: 派遣先の東ティモールでは、どのような業務に従事する予定ですか。

橋本さん: ポジションはコミュニケーション・アソシエイトというもので、基本的には広報関係の業務が多いようです。ミーティングの議事を作成したり、記録写真を撮影したり、ウェブサイトを更新したり。若者のボランティア参加促進プロジェクトに関する業務や、インターナショナルボランティアデイの企画運営も任されると聞いています。

髙橋教授: 東洋大学を、そして選考からもれて外れてしまった他大学の学生達を代表して派遣されるわけですから、自覚を持って行っていただきたいと思います。意気込みを聞かせてください。

橋本さん: 100%、いえ、1000%がんばります。1つを求められたら、5つ6つの成果を返せるように、求められる前からやらせてくださいと言えるように、常に前向きに取り組みたいと思っています。約150日間の滞在中に、150回「Let me do it」と言ってくることが目標です。現地のスタッフの方からも、多様にとらえ、多くの課題を同時に進めていくことを心がけるよう言われています。難しいことも多いでしょうが、困難にぶつかったときこそ自分を成長させるチャンスだと思いますので、ぜひ苦労してきたいと思っています。

髙橋教授: 努力をして帰ってきて、それが更なるステップに繋がっていくことを期待します。かつて橋本さんは、どちらかというと考え込んで内向きになってしまうタイプかと感じていましたが、予想以上に力強く、行動が伴うように成長してくれました。とても頼もしく思っています。周囲の人たちの影響も大きいのでしょうか。

橋本さん: そうだと思います。目標にできる先輩、良い影響を与えてくれる同級生、競い合う仲間、周囲の人々には本当に恵まれました。彼らがいなければ、今の自分はいないと思います。

髙橋教授: 東ティモールと関わるようになって目標ができてから、橋本さんは何事も真摯にとらえて行動するようになったと思います。かなり自分自身を厳しく律してきましたね。

橋本さん: 大学入学時に比べると、かなり変わりましたね。図書館に通いつめるようになって、授業では友人そっちのけで一番前の席に座るようになりました。大学へは祖父母の家から通っているので門限があって、夜遊びもしないし、スマートフォンを家に置いて出てきて、集中力を削ぐ連絡を遮断してしまったりもしました。無意味に友人に流されることがなくなりました。それに、読書量がものすごく増えました。知識を身につけて対応力をつけようと思ったのです。

髙橋教授: 英語力もかなり伸びましたね。

橋本さん: 先日のTOEICテストで、ついに800点を越えました。入学時と比べると、500点近く上がっているんです。実は高校時代、自分は英語が得意なほうだと思っていました。ところが東洋大学に入って、英会話の授業でクラス分けをされたとき、一番下のクラスだったのです。すごく悔しくて、毎日単語帳を持ち歩いて、通学時間などを利用して勉強しました。2年生になったときには、一番上のクラスに上がりました。それでも、東ティモールに行ったとき、世界中からバックパッカーが集まってくる宿に泊まったのですが、彼らの会話に入っていけませんでした。それでまた悔しい思いをしました。ホームステイ先でも、紛争や開発についてディスカッションする機会を頂けたにも関わらず、語学力不足で深い会話ができませんでした。「I don’t know」を言い出す強さがなく、もちろん「I know」も言えず。理解しているようなふりをしてごまかすしかなかったのです。

髙橋教授: それでもう一度奮起して、今度こそ実践力のある英語を身につけようと思ったのですね。

橋本さん: 髙橋先生のゼミで、アジアのコミュニティ開発について書かれた英語の文献をたくさん読みましたし、プレゼンテーションの資料も英語で作りましたので、英語に接する機会は多かったです。そしてちょうどその頃、国際地域グローバルオフィス/ランゲージセンターが開設されて、アカデミック・ライティングについて個別指導を受けられる「コンファレンス・ライティング」講座が始まりました。TOEICに特化した課外講座も開講されて、2回受講しました。そして次の春、今回の国連ユースボランティアの対策が始まって、特にリスニング能力の向上につながったと思います。あとは、マリア・バレスカス先生(国際地域学部国際地域学科教授)、杉田映理先生(国際地域学部国際地域学科准教授)の「英語で行われる専門科目」の授業も取っていました。地域開発に関わる専門用語などはこれらの授業で身に付きました。ほかに自分だけでできることとしては、無料で英語スピーチを聞けるTEDというサイトを閲覧したり、洋画を英語字幕で観たりしました。

東洋大学国際地域学部とは

髙橋教授: もともと橋本さんは、東洋大学が第一志望ではなかったとか。そういう学生は多いですが、実際に入ってきてどうでしたか。

橋本さん: 高校生の頃から、世界に出るぞという目標はあったので、受験した学部は全て「国際」と名のついたところばかりでした。結果的に東洋大学国際地域学部国際地域学科に入学して、感じたのは、ここは自分が挑戦しようとさえ思えばいくらでもチャンスを与えてくれる場所だということです。今回派遣される国連ユースボランティアはもちろんですが、ほかにも留学研修、インターンシップと海外に出て行く機会を設けてくれたり、ランゲージセンター課外講座などで外国語を勉強する機会を与えてくれたり、学内留学(SAIHAT)としてすばらしいゲストをお招きして話を聴くことができました。つい先日も、タイの大学から先生がいらして、タイの情勢についてタイムリーな情報を提供してくださいました。国際地域学部では一貫して、机上で完結せず五感を動員して課題を捉えてほしいという方針で、様々な機会を用意してくれます。

髙橋教授: 最後に、これから橋本さんのように海外を目指す後輩たちに伝えたいことをお願いします。

橋本さん: 私は、東ティモールという国に出会って世界が広がりました。東ティモールと名がつけば、なんでも関わるようにしてきて、大学では「東ティモール野郎」とあだ名が付くまでになりました。それが私のアイデンティティになり、強みとなりました。「私=東ティモール」であるように、私はこれなら負けない、というものを作るといいと思います。ジェネラリストではなく、スペシャリストになってもらいたいです。

髙橋教授: 自分の土俵で勝負するということが大事だということですね。ありがとうございました。9月からこれまでの個人的な訪問とはまた違う国連ユースボランティアという方法で東ティモールに派遣されて、新たに学ぶこともたくさんあるでしょう。更なる成長を遂げて、またひとまわり大きくなって帰国することを期待しています。いってらっしゃい。

髙橋教授、橋本さん

【帰国後の報告記事はこちら】
〔インターンシップだより〕国連ユースボランティア@東ティモール民主共和国

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