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大使リレー講義「モルディブ共和国」(2013年)

English (TOYO Global RDS)

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2013年11月14日(木)、「2013年度国際地域学部大使リレー」の第2回講義が開催されました。
今回、貴重なお話をお聞かせくださったのは、駐日モルディブ共和国大使館の特命全権大使であるアハメド・カリール(Ahmed Khaleel)閣下です。当日は、本学学生や教職員約70名が大使をお迎えしました。

大使 集合写真

講義はまず、パワーポイントを使用した歴史と地理の概要説明から始まりました。
モルディブは、赤道近くでスリランカから南西700kmに位置します。約1190の島々と26の環礁を持ち、国土の1%が陸地、99%が海から成るユニークな地形です。201の島が居住用、106の島がリゾート用、70の島が農業や工業用となっています。総人口365千人の実に1/3が首都のマーレ(Male)に集中しており、世界有数の高密度人口都市と言えます。800年以上の歴史があり、過去ポルトガルやイギリスによる統治期間があったものの、ほとんど諸外国からの干渉を受けることなく独自の発展を遂げて来ました。12世紀にイスラム教が伝わるまでは仏教国でした。

次に、話題は政治経済に移りました。政治体制は共和制、国家元首は大統領です。
以前は強力なリーダーの下での政治体制でしたが、若い世代の政府への強い働きかけが実り、2005年に複数政党制が導入されました。現在77名の議員(議会は小選挙区制の一院制)が5年ごとに選挙で入れ替えとなります。モルディブの二大主要産業は観光業と水産業で、外貨獲得の70%を観光が、労働人口の70%を水産が占めています。1965年の独立時には世界6位の貧困国でしたが、こうした産業の発展により経済は大きく成長しました。 

大使が最も熱をこめて説明されたのが、気候変動のモルディブへの深刻な影響についてです。
平均海抜1.5mの島々の集合体であるモルディブは長年、地球温暖化に起因する国土水没危機に直面してきました。島の防壁の役目を果たすサンゴ礁は、海水の温度上昇で白化現象が進んでいます。また異常気象は雷雨を伴う激しい嵐をもたらします。9月は本来であれば観光ベストシーズンの始まりですが、今年は3週間程ひどい雨が続き、交通機関を麻痺させました。

「気候変動は将来心配すべきことではなく、まさに今、目の前で起きており、速やかに解決すべきことです。また、これらの環境問題はモルディブ単体の問題ではなく、全世界が自国の問題として捉えるべきです。例えばヒマラヤ山脈の氷河が溶けたら、氷解した大量の水が河川に流れ込み、その流域に住む多くの国や市民が水没の危機に晒されます」とお話されていたのが印象的でした。 

そこで、1987年の国連総会以降、モルディブは環境問題にについて、国際社会に積極的に働きかけを行って来ました。2009年コペンハーゲンで開催されたサミット(COP-15)では、2020年までにカーボンニュートラル国家を目指すことを宣言し、2012年にブラジルのリオで開催されたリオ+20サミットでは、2017年までに海洋保護国家になることを宣言しました。
また、コペンハーゲンサミットの前に、大統領始め参加者がダイビング器材を装着して海底で関係閣僚会議を実施するなど、気候変動問題に対して多くの国々からの注目を引き付ける工夫を凝らしています。また、国内ではサメや亀、イルカに関する製品の商用利用を法律で禁止したり、サンゴ礁の保護地区を制定したりするなどの自然保護に取り組んでいます。 

二国間の関係については、ODAや大手日本企業による防波堤や脱塩施設の設置を始めとしたインフラ整備、学校建設や青少年向けのレクレーション設備の設置、日本人観光客の訪問などで、長期にわたる最大の支援国家として、モルディブは日本にとても感謝をされているとのことでした。更に、2004年12月にスマトラ沖で発生した大震災で、日本政府の支援で造られた防波堤が首都マーレを大津波から守りました。建設当時、この防波堤を見たマーレ市民は一同に「無用の賜物、景観が損なわれる、醜い」と反対していました。しかし、その防波堤が津波からマーレを守ってくれた後は、「日本のお陰で助かった。感謝したい」、他の島々の島民からも「マーレと同じ防波堤が欲しい」等の声が上がりました。 

また両国は「ツナ缶」と「カツオ節」の強い絆で結ばれており、特にカツオ節は日本より1世紀早く製造をしていました。モルディブは水産業が盛んですが、地元民はツナ缶以外、魚を食する習慣がありません。またカツオ節消費国という共通点があります。そこで、モルディブから2011年の東日本大震災後に、日本に対する特別生番組(ラジオ・テレビ)を実施し、21,500ケース(約60万缶)のモルディブ産ツナ缶、および7.8百万ルフィア(約5千万円相当)を深い友好関係の証として寄付されました。モルディブが他国の惨事で寄贈した支援金の歴史に残る最高金額でした。この他、閣僚会議の前で1分間の黙祷、また、3日間を喪に服する意味として半旗にされたとの事でした。 

後半の質疑応答では、「環境」をキーワードに「水資源確保の方法」「効果的な観光保護キャンペーンの手法」「ごみ処理問題」などについて学生から質問が上がりました。「水資源」については、脱塩装置の維持や設置に多額の費用がかかり、雨水利用についても深刻な大気汚染で依存できず、現状では多くの人がボトルウォーターを飲料に使用していることについて言及されていました。また、キャンペーンについては、ダイビングイベントや、教育機関での講演、観光産業を通じてダイバー、海洋写真家、学生、観光客に直接観光保護の重要性、緊急性を訴える他、各種マスコミを利用して情報の周知を積極的に行っています。また、ごみ処理問題については、現在インド系企業と協力関係を結んだため事態の進展を期待しているが、今後も引き続き課題であることを強調されていました。 

参加者からは、美しい島々の集合体で「リゾート地」のイメージが強いモルディブが、実は多くの環境問題に直面しており苦難を強いられていること、日本企業や政府の支援がモルディブの発展に大きく寄与していること、大震災発生時にモルディブから多大な支援があったことなど、ガイドブックとは違う生きた情報を収穫でき、大きな驚きと刺激を受けたとの感想が上がりました。限られた時間の中で、次々に質問が上がり盛況のうちに講義が終了しました。 

次回はいよいよ2013年度大使リレー講義の最終回、「エチオピア編」です。是非、駐日大使から現地についての貴重なお話を伺い、直接質問をして積極的に大使とコミュニケーションを図ってみませんか。

講義風景                                              

駐日モルディブ大使館ホームページ(外部サイト)

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3回目の予定:
日時:12/19(木)(エチオピア) 10:40AM-12:10PM
場所:白山キャンパス 1号館2階 1203教室
どなたでも講義にご参加いただけます!