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第8回 国際PPPフォーラム 講演者インタビュー

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東洋大学PPP研究センターでは、10月17日に開催した第8回国際PPPフォーラムに併せて、海外からお招きした講師お二人にインタビューを実施しました。イギリスIUKの取り組みや、バージニア州のPPEA法について、さらに詳しく伺いました。インタビューの様子

——日本と海外のPPPの違いというのが出てきた。海外では設備インフラの整備に偏っているようで、日本では、その一方で行政サービスの提供が主流のようかと思う。その違いはなぜか

根本:アウトソースもインフラ系のPPPも基本的には同じであると思う。指定管理者は、民間に権限をある程度与えるという点で、世界でもあまり例がないのではないか。

クリストファー・ロイド(以下CL):バージニアでは、高速道路の運営をアウトソースするということが法律になっている。アメリカでもアウトソースは広く使われている。

ハビエル・エンシーナス(以下JE):大陸ヨーロッパ特にフランスでは、コンセッションやアフェルマージュがかなり広く使われている。その一方で、イギリスでは、料金を払うということに抵抗が強いため、あまりコンセッション的な手法は使われない。例外は電車等公共交通機関くらいだろう。ただし、アウトソースはヨーロッパでも自治体のゴミ収集や造園などかなり広く使われている。

 ——PFIやPF2へのパイプラインがないことや国家インフラ計画に目新しさが無いといった批判を耳にした。これらの批判に対する意見は

JE:インフラ長期投資計画は、主にエネルギーと交通に関するプロジェクトであり、国家の主要プロジェクト40件を優先順位付けしたものだ。一方、PPPは病院や学校などに主に適用されている。民間からのフラストレーションは、おそらく政府の動きが遅いこと、金融危機への対策が遅いことなどに起因しているのだろう。政府はまるであたらしいプロジェクトのパイプラインを作ったのでは無く、すでにあるものを円滑に進めようとしていた。だから、ある意味ではその批判は正しいと思う。IUKとしては、こういった国家の重要プロジェクトに対して、ファイナンス面ではさまざまなファシリティー、例えば商業銀行との共同融資や政府保証のシステムを用意している。また、専門家の派遣や政策、契約面でのアドバイスなども行っている。また、人々の大きな関心は高速道路の問題で有り、それが経済に大きな影響を与えることも認識している。民間企業からの批判にも理解はできる。

PPPという点でいえばPF2を発表する際には約1年かけてCall for evidenceをやった。コンサルテーションでは無く、Call for evidenceをやったことによって時間がかかった。民間は、そのプロセスの時間がかかりすぎているという点でフラストレーションがあるのは理解できる。そういったプロセスを経たことで、PF2のパイロットプログラムである学校建設のプログラムを発表することができた。それが上手くいけば、他のプログラムに適用することができるだろう。

——イギリスでのPFIプロジェクトの目標(件数、金額)はあるのか

JE:まず、過去には年60件もの案件があった頃もあった。現在は市場も成熟している。過去15年程度の間で、病院、学校、刑務所など投資が必要だった施設に対する投資の多くは行われたと認識している。現在は、公営住宅や学校、いくつかの病院が残っているといる状況と考えている。一方で、インフラ整備においてはPPPがすべての回答ではない。また、PFIの投資額に対するキャップも導入している。そのため、過去のように年60件という規模になることは今後ないだろう。30~45件くらいという規模がパイプラインとしてはちょうどいい規模ではないか。

 ——学校がPF2の最初のモデルケースになるが、見通しは

JE:PFIとPF2の大きな違いは、調達において中央集権型になることだ。教育省が責任を持つことになり、規模の経済を生かすことができるし、標準化することができるし、知識を生かすことができる。それにより、より早く、より安く、より良いプロジェクトが行えると考えている。PFIの当時のPartnerships for school(2 billion pounds)は、かなりアグレッシブであり、プログラムの担当機関は大きな権限をもち、さまざまな要望や要求をテーラーメードに対応し、モニタリングを行っていた。PF2では、より中央集権的で、教育省が多くの権限を持つ。目標額も、当時に比べたら非常に小さく、7億5000万ポンド程度だ。

 ——NHSの失敗事例について。PFIが原因だったのか、NHSのせいだったのか、何がいけなかったのか。組織的な問題、制度的な問題があるのか

JE:PFIであるかどうかにかかわらず、NHSは予算カットに直面しており、それ自体が非常に重大な問題だった。PFIそのものが問題だったわけではない。ただ、予算がカットされていく中でPFIの固定額の支払いがNHSの財政を圧迫しているのは事実だ。ただ、現実としてそこまでひどかったとは思わない。大きな病院がうまくいかなかなくなれば、メディアも議会もそればかりを取り上げて批判する。今後、大きな病院のプロジェクトはあまりないかも知れないが、もっと小さなクリニックなどの事業はPFIの対象になるかもしれない。

——イギリス政府の取り組みがかなり消極的になっているように見える

JE:PFIが実施されるようになってから時間がたち、PFIで建てられた病院、学校というの運営、維持管理の質の良さが証明されてきているとも思う。それによって、人々のPFIに対する評価が高くなるであろうということも事実だと思う。

 ——日本の法制度はよくできているというが、PPPが積極的に活用されるために必要なものは何か

JE:日本だけの問題ではないが、全世界的に言えるボトルネックは、1・プロジェクトのパイプラインが十分ではない、2・公共セクターの能力不足、3・民間サイドの体制の問題、4・SPVの構成員や、金融機関が投融資の問題がある。これらを一つ一つ解決していかなくてはならない。 

——PPPの実施には、通常のプロジェクトに比べお金と時間がかかる

JE:イギリスでは、PFIの手続きは全て標準化されている(Outline business case)。PFIの実施を判断するためのVFMの計算は3段階ある。まず最初のプログラムレベルの決定は3日でできる。これはあくまでも政治的な決定だ。二つ目は、B/Cの計算をするための、どんなプロジェクトが必要で、どのような方法でやるかと言う点についての評価だ。その後、どのような方法で実施するかを比較検討する。そこまでの手順が終わり、PPPでやると決定したとして、コンセッションなのか、DBFMOなのか、ジョイントベンチャーなのかという判断を下すことになる。
イギリスでは、標準化を重視している。可能な限り標準化することで、費用を低減できることに加え、民間も手続きを信用できる。また、分野毎にも標準化を行い、プロジェクトを進めるためのデリバリービークルを作っている。小さいプロジェクトではコストのほうがかかってしまうが、プログラム化することで、コストを抑えながら案件を実施することができる。たとえば、Building School for Futureのようなプログラムには、いくつもの地域と学校が含まれている。その中で、もっとも貧しい地域でプログラムを実施し、それが成功したらより裕福な地域でもそれを展開するといった方法も採っている。
確かに、PPPは一見コストと時間はかかるが、実際にプロジェクトが始まれば、維持管理も質がよいので価値がある。

 ——PFIを拡大させるためのインセンティブはあったのか

JE:PFIクレジットと呼ばれる補助金があった。これは、PFIのアベイラビリティペイメント(最大50%)をカバーする補助金だった。これは公平ではないという意見があった。このため、PFIクレジットは廃止されたが、まだ補助金はある。前払い金やアベイラビリティペイメントに対して政府が補助金を提供する。PFIクレジットの時は、すべての省庁からお金を集めて、それをPFIに使うために集約していたが、いまはラインミニストリーがお金を与える仕組みに変わった。

 ——PPEA法において提案者のアイデアを秘匿するのはどこまでか

CL:法律の中に書かれている秘匿の範囲は限定的だ。情報公開法(FOIA)で秘匿が認められている項目や、設計図などのものや、コストの計算などは秘匿される。しかし、その秘匿の期間は限られており、応募が締め切られた時点(選定前)でそれらは公表される。

——自治体に能力がなく、受け身になってしまうことへの対策は

CL:一つは、小さな自治体が能力がない場合は、その自治体に関係や信頼がある企業からの提案以外は拒否するという方法。二つ目は、審査料を徴収することで、アドバイザーを雇うことができる。それによって十分な能力を保つことができる。お内容に、州や自治体レベルで審査会がある。それと同時に、契約が結ばれる30日以上前に、すべてが公表される。それによって、市民が監督できる。

JE:チリ、ブラジルなどは、時期を決めている。ほかには、テンプレートを作り、公共サイドがつくる文書のスタイルに沿った形で提案させる。

 ——バージニア州ではアベイラビリティペイメントの事例はあるか

CL:バージニア州はAAA債権のランクを州ができてからずっと保っており、財政面で非常に保守的な州だ。このため、公費を投じる事への抵抗は非常に大きい。アベイラビリティペイメントの事例はない。フロリダでは、フォートローダーデイル周辺の高速道路595号線の事例のように、アベイラビリティペイメントを適用している事例がある。

 ——民間発意のプロジェクトは広く使われているのか

CL:アメリカでは多くの州がunsolicitedの方式を認めている。ジョージア州では、Unsolicitedを許可したり、禁止したりと何度も法律を改正している。

JE:世界でも広くやっているが、ヨーロッパではあまりない。理由は、公共がその提案を評価できない可能性があることと、優先順位に沿わない可能性があるから。

 ——PFIの効果として工期・工事費の厳守というのが挙げられていたが、工事費用、期間のオーバーランがなぜそんなに起こるのか

JE:ヨーロッパでは、普通の公共事業ではあまりペナルティがない。PFIなら、工期が遅れれば金融機関への返済が滞ることになるため、金融機関側のプレッシャーによって工期を守るインセンティブになる。また、工事費についても、変更依頼、追加依頼をすることは日常茶飯事だ。日本ではそれが起こらないというのは、公共と民間の信頼関係があるからではないか。もしもすべてが工期と費用を守るのであれば、PFIは無くてもいいのではないか。ぜひ、日本の取り組みについてのデータ等を提供してほしい。
PFIでは主要インフラトラッキングチームがサービスを60の指標、コストを20の指標で評価している。従来型の公共事業にはこういう仕組みはない。ただ、従来型の公共事業でも、わずかではあるが改善は見られる。

CL:公共側、民間側双方に問題がある。公共サイドは、最初に総事業費を公表すれば、それしか市民は関心を示さないので、事業費が過大になっても(公共側も納税者も)大きな問題になることはない。民間は、低入札をして、落札しさえすれば、その後設計変更を出し続けて、最終的には工事費用が大きくなる。工事の完成後に施工者の評価は行っているが、それによって特にペナルティなどはほとんどない。

 ——ヨーロッパでは、インフラ整備の優先順位の問題に加え、公共側の評価能力の問題から民間発意を認めていないという話だったが、Variant bidはどうか。適切に評価できるのか

JE:競争的対話のプロセスで、最初のラウンドでは資格審査で参加者を一定程度絞り込む。その後、第二段階で公共から発注で求める性能を示す。第三段階で民間企業からの提案を受けつけ、最終段階で価格も含めて最良の提案を決めるという手続きを取る。仮に、第三段階で民間からそれまで公共が考えなかったような事業の提案や、事業手法についての大幅な提案などがなされれば、この対話プロセスは最初からやり直すことになる。

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