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第2回日米PPPフォーラムが開催されました

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日米PPPフォーラム  2007年9月27日(木)13時30分から、白山キャンパス井上円了ホールにおいて第2回「日米PPPフォーラム」(主催 東洋大学、日本政策投資銀行、NCPPP)が開催された。
  PPP(Public-Private Partnership:公民連携)とは、官の財政負担を最小化しつつ、民のビジネス機会を拡大するものとして注目されている、世界標準の概念。日本でも、その担い手となる人材の育成が急務とされている。
  本学では2006年4月、PPPを専門に学べるわが国初の大学院(経済学研究科公民連携専攻・修士課程)を開設し、全国から集まった社会人を対象にPPPに関する専門的な教育研究を行っている。このフォーラムはPPPがさかんな米国の最先端の事例や、日本での先進的な取り組みを紹介する機会として、昨年に引き続き2度目の開催となる。
  フォーラムの開会に先立ち、塩川正十郎総長は「公民連携という分野が、経済学における重要な実学として確立できるよう、大学として尽力したい」と主催者を代表して挨拶を述べた。
  続いて、イントロダクションとして公民連携専攻主任の根本祐二教授がこの1年の日本の公民連携事例を説明した後、4名のゲストによるプレゼンテーションが行われた。
  アート・スミス氏(NCPPP President)は、マサチューセッツの高速道路やダラス市立図書館、バージニア州公立中学校の設立など、米国においてPPPの優秀案件(NCPPPアワード)として表彰されたいくつかの事例を挙げ、米国におけるPPPの最新動向を説明した。
  続いて、リチャード・ノーメント氏(NCPPP専務理事)が、市政を丸ごと民営化したジョージア州サンディスプリング市の事例を、またロバート・ジェニングス氏(Scannell Properties社上級副社長)が、同じく州の業務ひとつを民営化したフロリダ州経済開発局の事例などを紹介した。
  日本からは、日本初の米国型PPP案件として期待されている岩手県紫波町のJR紫波中央駅前町有地開発(10.7ha)の検討状況について、同町の藤原孝氏(紫波町長)が報告を行った。なお、紫波町のPPPプロジェクトについては、今年の5月から8月にかけて、本学公民連携専攻の教員・院生がその可能性調査を行い、報告書を提出したという経緯がある。
  休憩をはさみ、サム・田淵氏(EFIジャパン代表/公民連携専攻客員教授)がコーディネーターを務め、ゲスト4名と根本教授を交えて、会場から集まった多くの質問に応えるかたちでパネルディスカッションがすすめられた。
日米PPPフォーラム  先進国においては、少子高齢化による国や地方の財源の減少により、もはやどの政権に変わろうとも、官から民への流れは歴史的必然という。そうした中で官と民が協働し、両者がリスクとリターンのシェアリングを行いながら、市民が求めるサービスを効率的に提供するPPPの有効性を改めて確認する機会となった。聴講者は440名。
  なお、このフォーラムに先立ち、同日午前、東洋大学と米国のPPP専門の非営利機関NCPPP(National Council for Public‐Private Partnerships)は、日本におけるPPP活動の推進にあたり、相互協力体制をとるための協定書を交わした。

塩川総長挨拶に対する院生の感想

「住まいを公共事業に」というキーワードを塩川総長より紹介され、非常に印象的でした。具体的には、(1)電柱の地中化(2)空洞化したマンションのクリアリング(3)公共施設の証券化(4)コア施設をつくり持続性を担保するまちづくりでした。
(1)電柱の地中化は電力会社にメリットがないと実現しにくいといわれますが、証券化により住民と行政が資金負担をして、行政が金利補填などをすることにより、実現できる可能性がある。
(2)大規模マンションとまちづくりでは、職住近接だけではなく、介護という視点をもち、まちづくりを行うことが重要である。例えば、現在の公共住宅の整理を行い、ただで、高齢者に住宅を供給する。ただし、年金は横ばいだということ。無償で住宅提供する資金源は、資産集約により発生する空地の売却、高層化による余剰床の売却、または、それらを証券化した債券の売却でカバーするというもの。
(3)公共施設の証券化によるエクイティを住民が保有し、住民への高いリターンを実現できる金利設定を行う。
(4)人が集まる核となる施設をつくり、将来的にも経済効果の続く持続可能なまちづくりを行う。
つまり、年金は横ばいでも「住まい」は無償で供給されるという高齢化社会の実現がイメージされるものでした。それは住民にとっても安心な将来像となり、また、PPP市場の拡大が実感されると感じます。ふと、高度成長期に供給された住宅の老朽化、所有者の高齢化のクリアリングとして、PPPによる住宅供給の可能性に期待を持ちました。

(清水玲子)

サンデイスプリングス市の民営化に関する院生の感想

リチャード・ノーメント氏(NCPPP専務理事)にご紹介いただいた、ジョージア州サンディスプリング市の事例が印象に残る。
サンディスプリング市では、民間企業に対し公共サービスの「包括的委託」を実現しており、市長以下、市プロパー職員はなんとたったの3人!を数えるのみであり、消防、警察、救急以外の全事業を委託するという徹底ぶりである。なお、同市は2006年の「NCPPPが選ぶベストPPPプロジェクト」の一つに選出されている。
ただし、民営化へ至る背景は、行政サービスやコストのスリム化のみが目的ではなかったようで、市制への移行が住民投票によって急遽決議され、実態的な公務員採用の猶予がなかったというのも理由の1つのようである。
しかし何れにせよ、これほどの「包括的委託」を行っても市政や公共サービスは運営可能であり、実際そのサービスを受けて生活を行う住民が存在するという事実は、実に大きな可能性を秘めている。また、委託先がインフラ系のゼネコンという民間営利企業である点も注目に値し、「包括的な公共サービス」のサービスが、1つのビジネスとして確立できるという事実は、ここ日本で民間企業に勤める私にとっても、非常に興味を引かれる話題であった。
非常に豪華なスピーカー陣で時間も限られていたため、プロジェクト詳細についての議論は少なかった。今後のより掘下げた展開が期待されるところである。

(福田太郎)

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