メカトロニクスとは、電子技術と機械技術の融合を指し、簡単に言うとコンピュータとセンサを活用して機械を制御することです。現在、マイコンを使って機械を動かしているものはたくさんあります。エアコンや自動ドア、エレベータ、自動改札機,自動車など身近にもたくさんあります。そして、製造業における工作機械、ロボット、自動搬送機などの生産設備もまた、メカトロニクス技術がベースとなっており、日常生活も製造業もメカトロニクス技術なしには成立しません。
メカトロニクスを主題とした当講座は少しずつ内容を変えながら毎年開講しています。企業の現場でがんばる方々を念頭に、実践的に役立つとともに、知的好奇心を喚起し満足させる講座開講を目指して、メカトロニクスに関するいろいろな切り口で講義しています。
今年は少し範囲を広げ、昨今話題となっているIoT (Internet of Things)やとドローンに注目することにしました。IoTの方は、まずメカトロニクス技術とネットワーク技術の接点から、センサで測定したデータをインターネット越しに送って、遠隔地からセンサ情報のモニターをするという実習を企画しました。これは工場の中の機器の状態を遠隔から監視する技術につながるもので、生産システムを理解するための基本技術です。もう一つは、製造業、特に生産システムにおけるIoT技術の活用の現状を紹介し、特に中小企業でどのように活用しうるのかという話題提供を企画しました。またドローンに関しても、メカトロニクス技術の粋としての総合技術,システム統合技術といった技術的観点からの説明に加えて、法的な規制を含めた新技術の使いこなし方、運用技術についての話題提供を企画しました。今年は2回連続ではなく、1回のみでの受講も可能となっておりますので、ぜひ受講下さい。
日程 | 担当講師 | 講義項目 | |
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9月30日 (土) | 10時00分~16時00分 | 横田 祥 | 【メカトロニクス技術講座①】 初めてのIoTセンシング実習 |
10月7日 (土) | 10時00分~16時00分 | 三宅 徳久 神田 雄一 | 【メカトロニクス技術講座②】 ドローンの基礎技術と近未来社会に向けた可能性 製造業のためのIoT活用 |
*本講座のみ、①・②のいずれか1講座のみでの受講が可能です(受講料=①②とも各10,000円)。
*申込みについては募集要項をご覧ください(募集開始は、8月上旬を予定しています)。
本講義の目的は、センサデータをインターネット上でモニタリングするIoTの枠組みを、実習を通じて体験することです。
IoTは、一般的に次の3つの要素で構成されます。
・デバイス
・ネットワークホスト
・クラウド・サーバ
本講義では、デバイスとして温度センサや加速度センサ等を、ネットワークホストとしてプロトタイピングに利用される安価なマイコンを、クラウド・サーバとして無料で利用可能なサーバサービスをそれぞれ取り上げます。そして、実際にセンサの配線、マイコンのプログラミングを行い、サーバに送信されたセンサデータをネットワーク上で観察することを目指します。
本講義では、近年社会的関心が急速に高まって来ているドローンについて、その基礎技術と応用分野の動向を概説します。ドローンの基礎技術は、機構、制御、センサ、知能など、メカトロニクス技術そのものです。これら要素技術の概要について制御技術を中心に解説します。またドローンの用途として、測量、社会インフラの保守点検、農業、物流、災害対応、警備など主な応用事例を紹介するとともに、制度や環境の整備など、今後の普及に向けた課題についても触れていきます。
あらゆる“もの”がインターネットにつながり生産の効率や価値を高めるIoTが注目を浴びています。しかしながら特に中小企業にとっては、IoTによる製造改革とはどのようなものなのか、IoTやロボットなどの技術をどのように活用すべきかについて関心は高いものの十分に活用できないのが現状です。そこで本講義では製造業におけるIoTの活用について解説するとともにIoTによる新たな製造ソリューションへの課題と展望について考えてみます。
この講座を受講すると、例えば、以下のような効果が得られます。
・新技術と既存技術との関連が理解できる。
・社内の生産システム・生産設備に関しての理解が深まる。
・システム統合技術の重要性について実例を通して学ぶことができる。
本講座は、主に、生産システムの構築に携わっている人、新しい生産設備を導入しようとしている人、これからメカトロニクス技術を学ぼうとする人、及びメカトロニクス技術の知識は多少あるが基礎から応用までしっかりと学び直したい人を対象としています。一方で、自分は専門でなくても社内の他の部門にいるメカトロニクス技術者と自分の業務の関連を知りたい人も歓迎します。
具体的には、生産システム・生産設備の運用や設計に携わっている人、もしくは電子技術・マイコン技術の基本をもう一度勉強したいという人を歓迎します。
また特に「メカトロニクス技術講座②」は、新技術を導入する際の意思決定をされる立場の方にも有意義な内容となっておりますので(この回を単独で受講されることも可能ですので)お勧めします。
「メカトロニクス技術講座②」については、センターが主催する「産・官・学連携促進事業」の一環として、本学と関係の深い自治体担当者が本講座に参加する予定です。
【略歴】
2008年フランス・ベルサイユ大学博士課程ロボティクス専攻修了、東京工科大学バイオニクス学部助教、摂南大学理工学部機械工学科 講師を経て、現在に至る。
これまでに、首都大学東京非常勤講師,理化学研究所客員研究員等を務め、現在は、IEEE IES Technical Committee on Human Factor 委員長、IEEE IES Administrative Committee 委員等を務める。
日本機械学会、計測自動制御学会,電気学会、日本ロボット学会の会員。
【専門分野】
ロボティクス、人間支援システム、操作インタフェース
【略歴】
株式会社日立製作所 機械研究所・主任研究員、研究部長、パラマウントベッド株式会社・フェローを経て現在に至る。スタンフォード大学 人工知能研究所・客員研究員、東洋大学、千葉大学などの非常勤講師を歴任。
【専門分野】
ロボット工学、メカトロニクス、福祉工学
【略歴】
東洋大学理工学部教授、東洋大学副学長、日本機械学会生産システム部門長などを歴任。日本機械学会フェロー、精密工学会フェロー、電機工業会ネットワーク推進委員会委員長。
【専門分野】
生産システム、機械加工、プロジェクトマネジメント
【略歴】
東洋大学講師、助教授を経て現在に至る。学内では学部長補佐,学科長,工業技術研究所長等を歴任。学外では今期はNPO自動化推進協会理事長、日本機械学会関東支部埼玉ブロック長、日本ロボット学会理事を務める。
【専門分野】
知能機械学、メカトロニクス、ロボット工学