私たちが安全、安心そして豊かな生活を送る上で、健全な社会資本は必要不可欠なものです。しかし我が国は人口減少・少子高齢化時代に入り、また国民の価値観の多様化、地球規模の環境保全への要請の高まりに伴い、社会資本に期待される役割も変わってきています。また戦後復興・高度成長期に整備された社会資本は建設後すでに半世紀を経過し、経年劣化が始まったものもあります。人口減少時代に入った今、老朽化が始まった社会資本、なかでもコンクリート構造物を今後どのように維持管理し、マネジメントしていくかを考えることは喫緊の課題となっています。
このような背景から、本講座では古くて新しいコンクリートに関する種々の課題に焦点を当て、材料・設計・施工・維持管理・契約方式など幅広い視点から、技術・基準の変遷、最近の動向を知ることを通じて、コンクリート技術が果たすべき役割について考えていきます。
日程 | 担当講師 | 講義項目 | |
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6月24日 (土) | 10時00分~16時00分 | 福手 勤 | (1)コンクリートのひび割れ発生メカニズムと防止策 |
7月1日 (土) | 10時00分~16時00分 | 渡邉 弘子 | (1)コンクリートの補修・補強 |
・材料・施工・外力・経年変化
・ひび割れ防止の基本
・鉄筋とコンクリートのコラボ
・鉄筋コンクリート構造の力学
・曲げを受ける鉄筋コンクリートの挙動
・国や各機関における生産性向上の取り組み
・契約、設計、施工段階の課題と解決策
・インフラを取り巻く社会情勢
・インフラ管理の現状と課題
・「省インフラ」という考え方
・対策の考え方
・補修・補強計画
・補修・補強工法
・コンクリート構造物の劣化現象
・診断の進め方
・実構造物の診断例
・材料の変遷
・施工技術の変遷
・基準類の変遷
・プラス面とマイナス面
・環境負荷低減コンクリート
・コンクリートのサステナビリティ
コンクリート構造物の維持管理、耐久性向上分野、社会資本マネジメントに関する知識が向上します。全国土木施工管理技士会連合会の継続学習制度(CPDS)プログラムの認定講座(予定)ですので、受講者のCPDポイントも加算されます。
近年ニーズが高まっているコンクリート診断士、コンクリート技士・主任技士などの受験準備や、これまでの知識の再整理に役に立つ内容としています。建設会社、建設コンサルタント、コンクリート二次製品メーカー、生コンクリート工場などの中堅技術者の方々はもちろん、社会資本を管理する官庁の方々、さらには最近の社会資本マネジメント、コンクリート技術の動向などを勉強したい方々の受講をお勧めします。
当日は、センターが主催する「産・官・学連携促進事業」の一環として、本学と関係の深い自治体担当者が本講座に参加致します。
講座終了後には、講師の先生や講座参加者及び自治体の皆様と意見・情報交換をしていただく交流会(自由参加)を予定しております。
運輸省港湾技術研究所、関西国際空港株式会社、国土交通省国土技術政策総合研究所などを経て、平成15年4月より現職。
国立研究開発法人港湾空港技術研究所 LCM支援センター長
NPO法人 持続可能な社会基盤研究会理事
日本エルガード協会 顧問
海洋・港湾構造物維持管理士会 技術顧問
工学博士、技術士(建設部門)、土木学会フェロー特別上級技術者(メンテナンス)
建設材料学、社会資本管理保全工学、アセットマネジメント、港湾工学、空港工学
東電設計株式会社、東急建設株式会社、運輸施設整備事業団(運輸省港湾技術研究所に派遣)においてコンクリートの技術開発、現場支援、研究などに関する業務を経て、平成14年より現職。
また現在、東北学院大学非常勤講師、東北大学大学院工学研究科産学官連携研究員を務める。
技術士(建設部門)、一級土木施工管理技士、コンクリート主任技士、プレストレストコンクリート技士、コンクリート診断士、土木学会特別上級技術者(メンテナンス)、橋梁点検士補
コンクリート構造物の調査診断、維持管理