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2012年度東洋大学文化公演「能の笛の演奏とお話―無音の世界に音を聞く-」を開催

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10月6日(土)午後2時から、井上円了ホールにおいて、生涯学習センター主催の文化公演が行われた。2年ぶりの開催で、今回は「能の笛の演奏とお話―無音の世界に音を聞く―」と題して、日本の伝統芸能である能の世界の中で、“笛”を取り上げて、お話と演奏が行われ、537名が参加した。

公演に先立ち、大学側から中山尚夫文学部長が、能を観る機会はあるけれど、笛に関する話を聞くのは初めてのことなので、大変楽しみにしていると挨拶があった。緞帳が上がると、コーディネーターの原田香織文学部教授が本日の公演の趣旨および笛の話と演奏をしてくださる、藤田六郎兵衛師のプロフィールを配布資料を参照に紹介した。

藤田六郎兵衛師は、能楽笛方 藤田流十一世宗家で、重要無形文化財総合指定保持者。4歳で笛の稽古を始め、5歳で初舞台をつとめた。平成23年度には第33回観世寿夫記念法政大学能楽賞という能の世界では大変大きな賞をはじめ、第66回文化庁芸術祭大賞を受賞、今年度は第65回中日文化賞を受賞され、萬歳楽座での舞台など幅広く活躍されている。

金屏風に赤い毛繊の引かれた舞台に六郎兵衛師が登場し、第一部が開始。来場者に向かって、「自由にお好きなように聞いていただければ結構です」と会場を和ませた。
能の流派のお話から始まり、藤田流では「萬歳楽」という銘の笛が代々受け継がれていることや、十一世宗家の六郎兵衛師が吹いている能管は竹でできており、430年くらい経っていることなどを説明した。雅楽の笛との違いや能管の特徴を分かりやすく説明され、「真之音取」の演奏には、大きな拍手が湧いた。お話の途中で遠くにチャイムが鳴った時には、耳をすまして「音のない時に音を聞く」のは禅の世界であると説く。会場が一体になって拍子を取り、拍子に合わせた吹き方と拍子を打ち消す吹き方で笛の面白さを紹介した。

第二部では「能管の可能性」について、能面は表情が見えないので能は無表情だと思われるが、みなさんがご覧になる思いが、みなさんをつなぐ糸の本数だけそこに表情が生まれるのが能面の仕組みだと解説した。「いろいろなものに好奇心を持ち、人生で出会うものにひとつでも多く縁を持って、歌舞伎でも能でも美術館でもいいから行ってもらいたい。お孫さんやお子さんと一緒に共有体験をして欲しい」と願望された。
「笛のアラカルト」では、名ノリ笛や早笛、黄鐘調、盤鐘調を藤田流の特徴的な吹き方で紹介し、家元の苦労についても、家元は「知らない」とは言えないため、日々書物を読むなどして勉強していること、守るのではなく、いろいろなことを試してみて、変化する時代に生きていく覚悟が必要であることを強調された。

『笛のぬき書』や『梅花集』についてなど少し専門的なお話にもふれ、最後に「獅子」の力強い演奏でしめくくった。
2時間という時間があっという間に過ぎ、引き込まれるお話ぶりと歴史のある笛の演奏を堪能した来場者は、大満足で余韻に浸りながら、会場を後にした。