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平成30年 新年のごあいさつ

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平成30年 新年のごあいさつ

東洋大学長 竹村 牧男

 新年おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます

 今年は、平成30年、そして明治150年です。本学では昨年の創立130周年に続いて、本学創立者・井上円了生誕160周年、かつ百回忌の年であり、また来年は円了没後100周年にあたることとなります。そこで、この新年を機にいやがおうでも井上円了の行跡を振り返らざるをえません。
 明治20( 1887)年、哲学を基盤とした学校「私立哲学館」を創立した円了は、その翌年、明治21年6月からほぼ一年間、欧米に教育事情、宗教事情等の視察に行きました。
 円了がこの旅でもっとも感銘を受けたことは、どの国も自国の学問あるいは言語・文章・歴史・宗教等の伝統を大切にし、「独立の精神」を有していることでした。と同時に、次のように言っています

 

 欧米各国の教育法は、唯人の学力を養成するに止(とどま)らず、人物・人品・人徳をもあわせて養成するなり。……花のみを目的とするときは暖室中の寒梅のごとく早く開花を見ることを得るも、その花の勢力に至りては樹木全体を養成するものにしかざること遠し。学力人物ともに養成するは、あたかも樹木全体を養成するがごとし。(「哲学館改良の目的に関して意見」、明治22年7月28日)

 

 ここには、単に学力のみならず、人物をも養成することが究めて重要であるとの認識が示されています。それは後に「知徳兼全」という句に結晶すべきものでした。このことは、今日の国際的に通用する学士の学位の内容でもあり、現在の高等教育においてもっとも重視すべきことであります。そのためにこそ、教育の質的転換、PBL授業やアクティブラーニング等の推進が高調されています。このように、創立者・井上円了の教育理念は、まさに現代に通用する、非常に優れたものであったことを再認識すべきでしょう。
 こうして円了は、哲学を基にして「人材を陶冶し、人心を修養堅固にし、諸般の原理を示して万事に応用せしむる等、その利を与え世を益すること、実に万世不朽と謂うべし」(同前)と言って、哲学を基盤とした教育事業の重要性を強調したのです。私どもは、今後も井上円了のこの根本理念を基に、13学部、14研究科、21研究所・研究センターの活動をよりいっそう高度化して展開してまいります

 さて、昨年は、本学もさまざまな方面で前進の姿を示すことが出来ました。平成29年度入試においては、志願者が10万人を超えました。また、世界大学ランキングにおいて1001プラスにランクインしました。このことは決して満足できるものではありませんが、しかし対象となった世界中の大学の上位5パーセントに入ったことを意味するものであります。さらに世界大学ランキングの日本版が発表されましたが、大学の実情をよく知る高校教員の評価はきわめて高く、有難いことと思いました。「スーパーグローバル大学創成支援」に関しては、現在、昨年度までの3年間の実績の中間評価がなされていますが、基本となる多くの目標をおおむね達成できました。今年度の文部科学省による研究ブランディング事業にも、採択されました。一方、スポーツにおいても、桐生君の100m走、9秒98の大記録樹立を初め、野球の東都大学野球リーグ戦の春秋連覇、相撲の全国学生相撲団体2連覇等々、輝かしい成績をあげることができました。本学としては、上記のようなさまざな分野の活動をさらに充実・発展させてまいる所存です

 今日の大学の社会的使命としては、教育と研究と社会貢献とが挙げられます。教育・研究と別個に挙げられた社会貢献活動として、本学にあっては全世代に向けたグローバル教育や、生涯学習支援活動等があたることでしょう。と同時に、教育・研究も、その活動を通じて社会貢献につながるとき初めてその意義もあることになると考えます。特に研究活動は、貧困や格差の問題、高齢化社会の問題、地方の疲弊の問題、健康寿命延伸の問題、高度情報化社会への適応の問題、さらには、地域紛争問題や環境問題等々、日本社会の課題、国際社会の課題を解決するものであってこそ、意義深いものとなるでしょう。
 本学の柱となる研究活動には、哲学、東洋学の国際的な拠点形成、日本文化に関するグローバルな発信、アジアの情勢研究、社会福祉研究の新たな展開、総合的なオリンピック・パラリンピック支援、健康寿命延伸策の政策提言、国連認証機関としてのPPP研究・普及の実践、バイオ・ナノ研究のさらなる進展、グローバル・イノベーションの提案、IoT等、超高度情報化社会の未来デザイン、AI活用策およびビッグデータ活用策の開発、等々、多くのテーマがあります
 いずれにしても、私たちとしては、深く伝統的思惟方法を汲み、独自の発想から有効な問題解決の解答を編み出したいものです。すなわち、日本発のグローバル・スタンダードを打ち出していきたいものです。教職員一同、学生とともに学び、研究しながら、社会において苦悩する人々のその苦悩を取り去るべく、勇進・奮闘してまいります。そうして、社会にイノベーションを巻き起こす大学になってまいる所存です。そこに創立者・井上円了の志が具現されるのだと思うのです

 以上、明治150年、平成30年の年頭にあたり、いささか所感を述べさせていただきました。皆さまの今年一年のご健勝とご活躍、ご多幸を心より祈念申し上げます。