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2017年度 第3回未来を拓くトップセミナー「持続可能な科学技術・イノベーション創造立国つくりの要~エンジニアリング・リベラルアーツのすすめ~次代を担う諸君のキャリアデザインへのアドバイス」を実施しました(川越キャンパス)

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2017(平成29)年6月30日(金)、2017年度の第3回目となる「未来を拓くトップセミナー」を川越キャンパスにて開催しました。本セミナーは、各界において指導的立場で活躍している方々を講師としてお招きし、将来への指針となるご講演をいただくことで、学生のキャリア形成の一助とするために開催しています。

今回は講師に元公益社団法人日本工学会会長の柘植綾夫氏をお招きし、「持続可能な科学技術・イノベーション創造立国つくりの要~エンジニアリング・リベラルアーツのすすめ~次代を担う諸君のキャリアデザインへのアドバイス」と題したご講演をいただきました。本セミナーには約200名の学生が参加しました。

エンジニアリング・リベラルアーツの可能性

top02講演冒頭において柘植氏は、大学で学ぶ上で『エンジニアリング・リベラルアーツ』の素養を身につけることの大切さを説かれました。「エンジニアリング・リベラルアーツ」とは、「テクノロジー(科学技術)とリベラルアーツ(教養)を結合し、エンジニアリング(社会的・経済的価値を創造する行為)によって、イノベーション(社会的・経済的価値)を創造すること」を表しています。


その例として、柘植氏はiPhoneやMacを開発したアップルのスティーブ・ジョブズ氏の以下の言葉を紹介しました。

『Macが素晴らしい製品になった理由の一つは、コンピュータ科学で屈指の知識を持つ人材が、それぞれ音楽や詩、芸術、動物学、歴史学の知識を持っていたことだ。彼らがコンピュータの無い時代に生きていたならば、別の分野で大活躍していたはずである』
『彼らは別の分野で触れた最高のもの(リベラルアーツ)を伴って、マックの開発に取り組んだ』

top03上記の言葉に表されるように、ジョブズ氏はアップル社という企業を「我々はテクノロジーとリベラルアーツの交差点にいる会社だ」と形容しており、iPhoneやMacにより社会にイノベーションを生み出したジョブズ氏の言葉を、柘植氏は「エンジニアリング・リベラルアーツ」と、自身の表現に言い換えています。従来から大学の学部教育ではリベラルアーツを「一般教養」として扱ってきましたが、「単なる教養としてではなく、自らの意思を持って豊かな文明と文化を享受することができる力となるように、学習していくことが必要」と柘植氏は指摘しました。熱心に耳を傾ける学生に向けて、「文系・理系の枠を超えて、自分の専門分野(テクノロジー)とリベラルアーツを結合することで、社会的・経済的価値を生み出す人材になってほしい」と語りかけました。
柘植氏は自身の経験から、明確な目的(社会的・地球的課題解決への研究テーマ)を持って学んでいる学生には「大学院に進学すること」を勧めています。博士前期課程では認識科学(あるものを探究する科学)と設計科学(あるべきものを探究する科学)の両方の面白さと大切を知り、博士後期課程においては「白紙に絵を描く鍛錬(人の役に立つものを新たに生み出すこと)」ができた、と大学院生時代を述懐しました。ビジネスの世界では「白紙に絵を描く」ことは日常茶飯事であるため、大学院での研究を通じての学びが非常に役立ったといいます。そして、自らのキャリアを振り返り、この大学院での経験が役に立った以下のエピソードをご紹介いただきました。

  • エンジニアリングの基盤である知識と知恵の幅を広げ、会社員時代にその組織の持つ弱みを強みに変えることに貢献できた。
  • 数ある各難局で自分の専門力と人間力を活かし、目的達成に貢献できた。
  • 社内だけでなく社外ネットワークを築くことができ、絶えず自分の専門性を磨き続け、同時にさらにネットワークを広げることで、顧客の信頼獲得につながった。
  • 会社組織もそれを認め、組織のリーダーになることができた。

Σ型統合能力人材の必要性

top04また、柘植氏は組織のリーダーとなるための秘訣について「Σ(シグマ)型統合能力人材」としてキャリアを積むことだと主張し、Σ型統合能力人材が持つべき素養とは「複眼的科学技術能力」「科学技術運営能力」「メタナショナル能力」であると述べました。

「複眼的科学技術能力」とは自分の専門分野に留まらず幅広い知識を有し、社会的価値化を実践する能力。
「科学技術経営能力」とは知識資源(自身が持つ技能やキャリア)を核とし、社会的・経済的価値化をマネジメントする能力。
「メタナショナル能力」とは自国の国民意識を基盤とし、グローバルな視点で発想し、行動ができる能力。
「∑型統合能力人材」とは上記3つの能力を兼ね備えた人材。

柘植氏はこの3つの能力を基本に、イノベーション創出活動のリーダーとなるべく、国際社会で活躍できる人材になってもらいたい、と学生にメッセージを送りました。続けて、「日本が持続可能な科学技術・イノベーション創造立国であり続けるために、それに寄与する人材となるべく、エンジニアリング・リベラルアーツへのたゆまぬ努力と、生涯学び続ける教養の研鑽に励んでほしい」と講演を結びました。

<講師プロフィール>

top04元公益社団法人日本工学会会長
柘植綾夫 氏

1943年生まれ。1967年3月東京大学工学部卒業、1969年3月東京大学大学院工学研究科修士課程修了、1973年3月東京大学大学院工学研究科博士課程修了(工学博士)、1987年Harvard Business School,AMP101修了。1969年4月三菱重工業株式会社入社、1988年4月同社技術本部高砂研究所原子力研究推進室長、1997年4月、同社技術本部高砂研究所所長、2000年6月同社取締役技術本部長、2002年4月同社代表取締役・常務取締役技術本部長、2005年1月内閣府総合科学技術会議常勤議員、2007年12月芝浦工業大学学長、2011年4月公益社団法人日本工学会会長・現顧問、2011年5月公益社団法人科学技術国際交流センター会長・現顧問。