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教員が語る大学院の魅力(ビジネス・会計ファイナンス専攻 幸田浩文教授)

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初志貫徹と魅力ある人々との出会いが未来を拓く

幸田先生

 

Q.教員としてご自身の専門分野を踏まえ、「研究者として研究」することの意味とは?

学問を職業とすること

研究者になりたての頃、書名に惹かれてマックス・ヴェーバー(Max Weber)の『職業としての学問』を読みました。学問とは、事実関係に目を向け、それを自覚・認識することであって、学問を専門職業とする教師は、学生に対して事実関係を教えるべき立場にあり、為すべき道を指し示す立場にはないという点に衝撃を受けました。ヴェーバーによれば、研究者にとって意味あることは、関心ある専門に特化し、固有の方法論を身につけ、他人が気づかない問題提起をするが、それを解決するには能力不足であることを自覚することだそうです。

自らが学問を職業としてから30年余りが経過しました。ヴェーバーが言うように、私は公正な賃金とは何か、どのようにしたら公正な賃金体系を構築できるか、といったことにテーマを絞り、固有の方法論を身につけ、独自の問題意識をもって研究を続けてきました。研究生活を通じて出した自らの答えに、ささやかな喜びを見出すことに、研究の意義があると思います。

Q.教員としてご自身が、研究者になった経緯をご紹介ください。

初志貫徹と魅力ある人々との出会いが未来を拓く

博士前期課程では、イギリス企業の組織編制過程で生まれた公正賃金理論を研究する一方で、日本の賃金制度にも関心をもつようになりました。後期課程では年に2本以上の論文を執筆するよう自らに課し、業績を上げるよう努力しました。しかし当時もいまと同じように教員採用の道は狭く遠く、3年次に応募した2つの大学では書類審査にも通りませんでした。だが、幸運にもオーバードクター1年目に、同じゼミを卒業した先輩教員の推薦で2つの大学の非常勤講師に就くことができました。

その後学会活動に積極的にかかわることで、多くの先輩や諸先生方と知り合うことができ、その中の1人の先輩を通じて、本学経営学部の専任教員募集を知り、指導教授の推薦状を添えて応募しました。周囲からは複数の応募者がおり、とくにある有名な大学教授が推薦している候補者がいるので難しいのではないか、との下馬評がありましたが、幸いにも年度末ぎりぎりに本学経営学部より採用通知が届きました。

Q.教員としてご自身のご専門分野について、現在までにどんなテーマを研究されているのかご紹介ください。

1つの研究テーマから出発し、振り返ってみたら体系立っていた

前期課程では、指導教授からJaques, E. (1961) Equitable Payment『公正な給料(邦題)』に関して研究するよう奨められ、賃金に関する公正理論の研究に取り組むようになりました。後期課程では、わが国の賃金・人事処遇制度の史的展開や賃金に関する産業心理学的研究にも取り組みました。

教員になってからも、引き続きジャックス理論のわが国企業への応用・適用の可能性を探っていました。こうした一連の研究成果をまとめたものが、後年、学位論文のベースになりました。またジャックス理論がイギリス企業で開発されたものであることから、イギリス経営管理思想の史的展開にも興味を抱くようになりました。あわせてアメリカの経営管理論における人間観と組織観の変遷ならびに日米欧の組織研究の地域性についての研究にも取り組み、それらをまとめ『米英マネジメント史の探究』(2013)を上梓しました。

最近では、あるプロジェクトへの参加と学外から研究資金を獲得したことを切っ掛けに、江戸時代の売薬業・売薬行商人の研究を進めています。

Q.研究者として、つらかったことや、嬉しかったこと?

教職に就くことの難しさと努力の成果

前期課程では、専門分野の業績や研究能力よりも語学力が優先されるという雰囲気の中で、研究と受験を両立させることの難しさを味わいました。しかし、指導教授より、「諸外国の研究をする必要性がある以上、優れた語学力が必須であり、後期課程の試験にも通れない者が一端の研究者になれるはずもない」と叱咤激励され奮起し、合格することができました。その時の嬉しさはいまでも忘れられません。

後期課程3年を迎え、そろそろ就職を考えなければならない時、他学部の先生より地方の新設の短大講師を紹介して頂き、赴任する手続きを取りました。ところが、どうしたことかその短大は開校されず、オーバードクターになってしまいました。だが「捨てる神あれば拾う神あり」のことわざ通り、その経緯を見聞きしていた2人の先生が非常勤講師の職をそれぞれ見つけてきて下さいました。

その後、就職活動を忘れ、無心になって学会活動を続けているうちに、すでに述べたように、幸いにも本学経営学部への就職の機会を得ることができました。いま新任教員を採用する側にいる身としては、多くの方が教職を求めて頑張っている姿をみるにつけ、教職を得た者としての責任感を感じざるを得ません。

Q.大学院で学ぶことの魅力とは?

大学院で学んで成りたい自分になる

ここではわがゼミ所属院生と修了生の実例を取り上げ、彼らを通じて大学院で学ぶことの魅力についてご紹介したいと思います。

1人目は、当時30代後半の製造業経営者です。当初、彼は大学卒業が目的でしたが、やがて勉学・研究することに魅力を感じ、その後40代半ばに前期課程の2つの専攻、50代前半には後期課程に進学しました。大学院で学んだことを社業に活かし、海外(韓国・中国)進出も果たしました。その間、宅地建物取引士と行政書士の資格も取得し、いまではそれを業務の拡大に役立てています。

2人目も学部ゼミから進学した女性で、当初は高校教師を目指していました。ところがゼミ長を務め、学年トップの成績を収めたことから自信がつき、目標を大学教員になることに切り替え、その後大学院でもトップを貫き、20代で博士の学位を取得しました。その後都内の大学に就職し、現在大学院も担当する准教授になっています。

このように平日の夜間あるいは土日を使って修士学位や諸資格の取得を目指し、日々努力する様々なキャリアをもった人たちが多く在籍しています。勉学・研究を始めるのに遅過ぎることはないことを実感させられる毎日です。

Q.大学院で学びを考えている受験生にメッセージを一言。

悩むことより勇気を奮って一歩を踏み出すことが肝心

ビジネス・会計ファイナンス専攻の最大の特徴は、企業などに勤務しながら、自らの目的にあった3つコースならびに特色ある独自のカリキュラムを選択できることにあります。とはいえ、平日の夜間を中心に、コースによっては、土日も返上して勉学・研究に取り組むには何よりも気力・体力が必要であり、社会人であれば職場や家族のサポートも気になるところです。

年数回開催される進学相談会では、勉学・研究に関する疑問や質問はもとより、キャンパスライフの過ごし方や卒業後の進路などについて、専任教授や在籍院生からのアドバイスを受けることができます。また実際の授業やゼミナールに参加し、自らが学ぶ姿をシミュレートすることもできます。

まずは勇気をもって大学のキャンパスに足を運んで下さい。そこでは同じ志をもった人たちがお互いに助け合い、鼓舞し合いながら初期の目的を達成しようと努力する姿をみることができます。

プロフィール

■氏名: 幸田 浩文(こうだ ひろふみ)    ○教員紹介はこちら

■経歴: 現在、東洋大学大学院経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻 教授 博士(経営学)

     1974年 早稲田大学理工学部卒業、1976年 早稲田大学商学部卒業

     1979年 早稲田大学大学院商学研究科博士前期課程修了

     1985年 同大学院同研究科博士後期課程単位取得満期退学

     1985年より、東洋大学経営学部経営学科所属

■専門: 人的資源管理(人材マネジメント)論、人的資源開発論、経営学史

■著書(単著):『日本人力资源管理理论与实践』(2015年)

        『賃金・人事処遇制度の史的展開と公正性』(2013年)

        『米英マネジメント史の探究』(2013年)

        『イギリス経営学説史の探究』(1996年)など