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<平成26年度>井上円了哲学塾 公開講座 第4回が開催されました

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E4「近代日本と漱石の文学」

2014(平成26)年11月29日(土)16時20分より、白山キャンパス井上円了ホールにおいて、井上円了哲学塾のリーダー哲学講義の公開講座第4回が開催されました。

講師は、作家活動、テレビなどのコメンテーターとしても活躍されている、姜尚中聖学院大学学長。塾生・学生、及び一般の公開講座申込者で、聴講者数は約300名でした。

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 演題は、「近代日本と漱石の文学」で、「生い立ち」「漢詩・漢文」「俳句」「英文学」などをキーワードに、いくつもの作品を引用しながら漱石の文学や人物像について講演を行いました。

 少年時代を複雑な家庭環境で過ごした漱石は、青年時代にイギリスで学んだ後、教育官僚や小説家として活動しました。姜氏の解釈によると、こうった経験が、漱石の作品には「普遍性」と「多面性」を与えているとのこと。「漱石の作品は、光を当てる場所によって見えかたが全く違ってくる。だから、長く楽しめる。これこそ大人の文学だ」と強調しました。

 姜氏は、漱石が生きた時代背景についても言及しました。漱石は「近代」が産声を挙げた時代に生まれ、「現代」へと移行していく「とば口」でこの世を去った、いわば近代と運命を共にした作家でした。姜氏によると、漱石の作品には時代背景も大きく影響しているとのこと。「漱石は、自身の作品の中で日本の未来を予見しましたが、その未来は決して明るいものではなかった」と述べました。奇しくも、漱石と同時代の社会学者であるマックス・ウェーバーもまた、現代を「鉄の檻」と表現しています。

こういったことから、姜氏は「現代の状況はすでに“限界”にきている」と断言。「しかしこれからどうすればいいのかを考えるのは、文学ではない。漱石が予見した課題に対してどう応えていけばいいのかは、我々自身が考える必要がある」と締めくくりました。

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講演後の質疑応答では、塾生や一般からの質問を真摯に受け止め、丁寧に答えられていました。夏目漱石の文学の中に散見される普遍的なテーマを読み解きながら、これからの日本の在り方に一石を投じた、意義深い90分間でした。