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<平成26年度>井上円了哲学塾 公開講座 第1回が開催されました

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E1「イスラームとの対話と共存」

2014(平成26)年11月8日(土)16時20分より、本学8号館8B11教室において、井上円了哲学塾リーダー哲学講義第1回が開催されました。

講師は東京国際大学特命教授で国際交流研究所の所長である塩尻和子氏で、「イスラームとの対話と共存…相互理解は可能か」というテーマでご講演いただきました。塾生・学生、および一般の公開講座申込者で聴講者数は約170名でした。

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塩尻氏はまず、現在日本で流布しているイスラームに関する情報について話をされました。私たちがテレビや新聞等から得るイスラームの情報は欧米メディアを通したものであり、偏った視点が多いと指摘されました。このような誤解を、一神教と多神教とを対比し、それぞれの宗教の特徴だと印象付けられている要素が、実は互いに他方にも存在する事実によって説明されました。

次にイスラームの教義や社会の特色、歴史などの基本的知識について説明され、その中で、本来のイスラームはユダヤ教、キリスト教と共通の伝統を重視し、それぞれの信仰を認めていること、地域ごとの独自性を生かした土着化を認めていること、他民族からは捨てられた学問や文化を取り入れて発展させたことなどが述べられました。また、歴史的に「宗教戦争」という印象の強い十字軍戦争や、現在も対立の続くパレスティナ紛争の発端は宗教対立ではなく、実態は富の争奪であったり領土争いであったりすることを指摘されました。

上記のような実態と誤解されて伝えられる情報との差を指摘した後、地球倫理を訴えたハンス・キュンク氏の「宗教間の平和なくして人びとの平和はない。宗教間の対話なくして宗教間の平和はない。宗教の基盤についての研究なくして、宗教間の対話はない」という言葉を引用し、「『神の前では人間に差異はない』という思想に基づけば、イスラームとの共存は可能である」という考えを紹介されました。

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その後、現代のイスラームの状況について説明され、その中で現代はイスラームの人口が増加傾向にあること、新しいイスラーム社会の体制を模索する地域の存在があること、日本でも少しずつイスラームを受容する動きが見られることを指摘されました。また、イスラーム社会においては女性が差別されている印象が伝えられているが、元々の教義では女性の権利を認め、差別を否定する考えが存在すること、誤解されている習慣がある点について言及し、現代の女性の活躍のあり方についても述べられました。

最後に、過去に宗教間の差異を乗り越えて活動をした日本人の事例を示され、私たちが差異を乗り越えるためには集団に対する断片的、一方的な情報に基づいた短絡的誹謗中傷に陥らず、一人一人の人間と接し、話し合うことが重要であるという主旨で講演を結ばれました。