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井上円了哲学塾 公開講座 第9回が開催されました

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E9「日本思想の世界史的意味」

2014(平成26)年1月18日(土)16時20分より、白山キャンパス井上円了ホールにおいて、井上円了哲学塾のリーダー哲学講義の第9回公開講座が開催されました。

講師は、哲学者の梅原猛先生で、講演タイトルは、「日本思想の世界史的意味」、聴衆は、塾生、学生、一般の公開講座申し込み者合わせて、約400名でした。

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梅原猛先生は、冒頭、“東日本大震災復興構想会議”の特別顧問を務められたことで、この震災の意味について深く考えることを余儀なくされたと述べられました。その一つは、自然の恐ろしさであり、こういう自然の恐ろしさを知った日本人の願いから日本の神道が生じた、もう一つは、原発事故による被害の甚大さであり、梅原先生は、この震災は文明災であって、現代の科学技術文明が深く問い直されなくてはならないと説かれました。

梅原先生は、ご自身のこれまでの哲学研究に言及されました。まず、デカルトの『方法序説』から多くのことを教えられたと述べられましたが、デカルトは、人間を自然世界と対立するものとして捉え、自然は無機質であって、数学的法則で解明されるものであり、自然は人間に従うものとしている、このような考え方から、自然科学と技術は発展し、それが文明を創り、人間に幸福をもたらしたが、しかし、今やそれが、環境(自然)破壊を引き起こし、人類の生存を脅かすほどになっていると、指摘されます。

また、哲学者、ニーチェとハイデッガーは、そのような文明を強く否定する思想を打ち出したが、結局、それも人間中心主義から離れることがないと説かれます。

梅原先生は、40歳ごろに西洋哲学の限界を知ったと語られました。逆に、東洋思想や日本思想に、人間中心主義を超える思想が隠れているのではないかと、日本研究を志されました。その結果として、天台本覚思想の「草木国土悉皆成仏」という言葉の中にこそ、日本文化を象徴する思想が込められていると考えるに至ったということです。

そして、この「草木国土悉皆成仏」の思想は、日本の基層文化である縄文文化(漁労採集文化)の根本思想であり、さらにその後の弥生文化(稲作文化)にも受け継がれていると指摘されます。

この自然と一体となる考え方は、西洋の人間中心主義の考え方とは大きく異なるものであり、梅原先生は、西洋文明の根本にある人間中心主義では人類は救われない、人類文明について、古く狩猟採集の時代にまでさかのぼって再考しなければならないと強く訴えられるのです。

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梅原先生は、講演の最後に、50年ほど前に来日された歴史家トインビーとの対談に触れ、その時、トインビーが、20世紀以後は、非西洋諸国が科学技術文明を導入しながら、自国の伝統に基づく独自の文明をつくらねばならない、と語ったが、その時、先生は、「日本はどういう原理でもって新しい文明をつくるべきでしょうか」と、トインビーに質問された、その時、トインビーは、「それはあなたが考えることだ」と答えたと言われます。 

梅原猛先生は、今ようやく、トインビーに答えることができる、と言われます。非西洋国家として、もっとも科学技術文明の恩恵を受け、さらに西洋哲学を深く学んだ日本が答えを出すべきだと言われるのです。

本哲学塾の本年度最終講義にふさわしい内容であったことを、参加者全員が確信できたご講演となりました。