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第3ユニット 研究集会

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ブータンにおける多文化共生研究集会・現地調査

第3ユニット 研究集会

第3ユニットでは、2012年8月23日から30日にかけて、ブータン王国にて、「ブータンにおける多文化共生研究集会・現地調査」を行った。これは、多文化共生社会の思想基盤の研究を目的とする本ユニットにおいて、ブータンで研究集会を開催し、現地の僧侶にも発表してもらい、また、現地での多文化共生の実地調査を行うという趣旨のもと行われたものである。

参加者は、宮本久義研究員、永井晋研究員、橋本泰元研究員、堀内俊郎研究助手、三澤祐嗣PRA、斎藤明客員研究員(東京大学大学院教授)、井上忠男客員研究員(日本赤十字秋田看護大学教授)の7名であった。

2日間行われた英語による研究集会では、ブータン側からは、タシチョ・ゾン(国王のオフィスであるとともに、ドゥク・カギュ派を中心とするブータン仏教の総本山でもある寺院)からLopen Sonam BomdenおよびLopen Gempo Dorjiの両師に、発表いただいた。

第3ユニット 研究集会

研究集会では、まず、宮本研究員より、センターの概要と研究集会の趣旨説明が行われた。

ブータン僧侶Lopen Sonam Bomden師より、Spirituality and Happinessという発表があった。これは仏教における幸福とは内面の幸福にあるという基本原理を踏まえつつも、ブータンの僧侶が世俗や社会とのかかわりのもとでその幸福実現に寄与していることを述べたもので、宗教と社会の共生という観点から極めて興味深いものであった。

また、ブータンの国分寺(中央僧団(Central Monk Body))の事務局長(Secretary General)であるLopen Gempo Dorji師より、ブータン仏教の歴史的背景についての発表をしていただいた。はじめに、師の属するマハームドラー(大印契)の伝統では、止(シャマタ)と観(ヴィパシュヤナー)が重視されるとの説明があり、そのあと、呼吸に集中する瞑想法である数息観をみなで行った。師の発表後の質疑応答では活発な意見交換がなされた。

第3ユニット 研究集会

日本側からも参加者が発表・質疑を行った。

永井研究員は、神経科学者/現象学者であるフランシスコ・ヴァレラの「空の現象学」の構想、および「神学的現象学」における自己意識から自己触発への還元的移行の問題を考慮しつつ、サマサ・ヴィパシャナーの哲学的意味について議論した。

橋本泰元研究員、井上忠男客員研究員も、それぞれ、多民族社会における共生という観点、人道と共生という観点から発表・質疑を行い、三澤PRAも日本内でのブータンに対する関心の高さなどを紹介し、質疑が行われた。

斎藤明客員研究員は「宗教と平和―仏教を中心として―」と題する研究発表を行い、堀内研究助手は無著(アサンガ)の『摂大乗論』における唯識説について発表を行った。

第3ユニット 研究集会

今回のブータンにおける研究集会では、昨今「幸福の国」として注目を浴びているブータンの実情を見極め、多文化・多宗教の「共生」への知見を得るという実地調査も大きな主眼の一つであった。視察・調査を行ったのは首都ティンプー、古都プナカ、国内唯一の空港のあるパロの3か所であり、すべて西ブータンに限られたが、期間中、多くのラカン(寺院)、ゾン(城塞の意。現在では役所・寺院)、尼僧院、国立僧学校を視察することにより、その点についても多くの成果が得られた。

今回のブータンでの研究集会、実地調査は実り多いものであり、今後のセンターの国際的な視点・ネットワークの獲得・形成に益するところがあり、また、本第3ユニットの課題である多文化・多宗教の共生についても、多大な示唆が得られた。