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第3ユニット 第1回研究会報告

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「大乗仏教とイラン人との関係:パルティア人から黎明の叡智へ」

第3ユニット 第1回研究会

第3ユニット研究会では、5月23日に、第3会議室(白山キャンパス6号館1階)にて、センター客員研究員のバフマン・ザキプール(Bahman Zakipour)氏が、「大乗仏教とイラン人との関係:パルティア人から黎明の叡智へ」と題する発表を行った。

イラン文化と大乗仏教の関係を比較思想的な観点から探究しようとした意欲的な発表である。発表者本人よる要旨をもとにした概要は以下のとおり。

イランという名を聞くと、通常、我々はイスラームの国や文化を思い浮かべる。しかし、実際には、イランの文化や文明は、ゾロアスター教とイスラームの文化という2つの極により形成されている。この2つの極の間にはマニ教などの他の諸宗教もあるが、それらはみな、この両宗教と密接な関係がある。そして、イランの歴史を通じて、これらの諸宗教の、出現、流布、併合、解散等を良く観察することができる。現代のイランではイスラームが優勢な宗教として、とくにシーア派という形態によってイランの中に広まっているが、シーア派イスラームの背景には、その構成要素として様々な宗教がひかえている。

第3ユニット 第1回研究会

それらの諸宗教以外で、ある特殊な次元と空間においてではあるが、仏教もまた重要な役割を担う要素である。仏教が発生したのはインドであるが、この宗教はアショーカ王の時代から徐々にイランの文化と諸宗教(特にゾロアスター教、マ二教)と融合した。この融合が生じたのは、中央アジアであった。この地域で、商人たち、亡命者たち、使者たち、人質たちの活動によって、イラン文化はインド・仏教の文化と合流した。この融合は、次第に思想、宗教、言語、芸術等のような領域に拡がった。

このような議論に加え、氏は、中国における仏教の最初の伝道師がパルティア人の安世高であったこと、古代イランの「光」の宗教が華厳哲学に関連するのではないかとの井筒俊彦の指摘などを紹介し、イランの世界のうちにギリシア・イスラーム・インド世界を見ようとするスフラワルディー(12世紀、イランの哲学者)の「黎明の叡智」の思想についても言及した。