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第2ユニット 第4回「ポスト福島の哲学」講演会

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鎌仲ひとみ氏(映画監督)講演会/『内部被ばくを生き抜く』上映会

第4回「ポスト福島の哲学」講演会

10月19日(金)、東洋大学白山キャンパス6号館6307教室にて、第二ユニット主催連続講演会「ポスト福島の哲学」の本年度第四回目の会が開催された。

これまでの「ポスト福島の哲学」講演会では哲学者・哲学研究者とともに概念的に問題を捉える試みがなされてきたが、今回の研究会では、むしろ実際に「ポスト福島」という状況に向きあって活動している映画監督である鎌仲ひとみ氏をお呼びし、講演会を行なった。鎌仲氏は、これまで原子力や放射能の問題に関する数多くのドキュメンタリー映画を手掛けてきた国内でも著名な映画監督である。今回は、まず鎌仲氏の最新作『内部被ばくを生き抜く』の上映会を行ない、その後講演会が開かれた。コメンテーターをセンターの宮本久義研究員が務めた。

第4回「ポスト福島の哲学」講演会

鎌仲氏はこれまで、2003年の『ヒバクシャ 世界の終わりに』(2003年)、『六ヶ所村ラプソディー』(2006年)、『ミツバチの羽音と地球の回転』(2010年)などで、広島や六ヶ所村など日本国内にとどまらず、アメリカ、イラク、スウェーデンなど世界各国に出向き、核汚染による子どもの被害や原子力産業の実態をつぶさに伝えてきた。そして2011年3月11日の東日本大震災およびそれに続く東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて新たに作成したのが今回上映した『内部被ばくを生き抜く』(2012年)である。広島、チェルノブイリや福島で内部被ばくに対する警鐘を鳴らし続ける医師たちの証言をとりいれながら、今もなお福島で暮らし続ける家族の生活に密着して撮られたこの映画は、私たちが生き抜いていかねばならない現在がいかなる時代かを突きつけるものであった。

上映会に続いて行なわれた講演では、鎌仲氏がこれまでどのような考えから核兵器や原子力の問題に着目してきたのか、核汚染の実態はどうなっているのか、「フクシマ」をわれわれはどのように捉えるべきなのかなどについて、分かりやすい語り口で、しかし鋭く問題提起がなされた。とりわけ鎌仲氏は「フクシマ」以降の日本社会で、特に若い世代において見られる関心の「不在」という事態に注目し、単に問題を原子力エネルギーへと縮減するばかりではなく、そのような事態を可能にしている「分断」の状態を批判的に問う必要性を強調された。

第4回「ポスト福島の哲学」講演会

講演の後の宮本コメントでは、「無関心」の問題、「データ」の選択の問題などからはじまり、さらに専門とするインド哲学の観点から、『バガヴァッド・ギーター』やマハートマー・ガーンディーを引き合いに出し、「正義」と「犠牲」の問題など本質的な論点が指摘された。

講演会には本学学生をはじめ多くの来場者があった。鎌仲氏の講演から多くの刺激を受けたのだろう、講演後の質疑応答では、普段思っていてもなかなか言えなかったような主張を鎌仲氏に直接ぶつける学生が何名もいた。それに対する鎌仲氏の真摯な応答も含め、きわめて実りのある講演会であった。

なお、発表の模様は鎌仲ひとみ監督講演会「『内部被ばくを生き抜く』をめぐって」(20121019) から見ることができる。