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第2ユニット 研究集会(2012年2月20日)

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テキストの地層学序説
――上田閑照によるエックハルトのドイツ語説教86解釈をめぐる問題群を手がかりにして――

第2ユニット研究集会(2012年2月20日)

2月20日(月)第2ユニット研究集会を行い、黒田昭信客員研究員が「テキストの地層学序説―上田閑照によるエックハルトのドイツ語説教86解釈をめぐる問題群を手がかりにして―」と題して発表した(於 白山キャンパス第一会議室)。

黒田研究員はエックハルト解釈に先立ち方法論上の問題を取り扱い、エックハルトのテキストが内容(哲学、神学、神秘主義など)や言語(ラテン語・中高ドイツ語)などで区別されることを示し、エックハルトにおける根源的経験に対するアプローチ方法を提示した。

第2ユニット研究集会(2012年2月20日)

エックハルトは「神」と「神性」を分けているのだが、上田閑照によればエックハルトの根本テーゼは「魂における神の子」から「神性への突破」をなすことであり、ここにキリスト教からの離脱がある。こうした上田の解釈に対して黒田研究員は三つの観点から批判を示した。
第一に説教の相手がおそらくベギン会の修道女であり、一般的なキリスト教徒のあり方から逸脱しないよう注意喚起していたのではないかという、歴史的文脈が上田の解釈には欠けている。
第二に、上田はドイツ語著作に見られる神秘主義的要素を強調するあまりラテン語著作における神学的枠組みを軽視している。最後に、禅仏教と比較してエックハルトを見る場合に三一性(三位一体論)が軽視されやすいが、最近確認されたエックハルト自筆のドイツ語説教からは三一性が見いだされ、エックハルトが目指していたのは「神性の無」ではなく、神が魂において常に生まれているということにある。上記の考察を通して、比較宗教的・メタ宗教的アプローチに潜む欺瞞や恣意性から距離を置くべきであるとした。

上田によるコンテクストから逸脱するような解釈を提示する観点と、コンテクストに沿った解釈を目指す黒田研究員の観点をめぐって盛んに討議がなされ、実りの多い研究集会となった。

なお、発表の模様は「テキストの地層学序説」(20120220) から見ることができる。