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第2ユニット 第2回研究会報告

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インド古代法研究における方法論的試論

第2ユニット第2回研究会報告

2011年10月24日(月)、東洋大学国際哲学研究センターの沼田一郎研究員により、「インド古代法研究における方法論的試論」と題する発表が行われた。概要は以下の通りである。
インドの古代法の研究は、わが国においては質・量ともに十分とは言えないが、欧米ではインド学の黎明期以来注目される分野であった。それは古典サンスクリット研究の一分野としてのみならず、イギリスのインド支配に寄与することを目的としたものであり、またインドが非西欧という意味での「アジア」社会の一典型と見なされたことにもよる。ただし、インド古代法の記述は現実の社会そのものではなく、あくまでも理論的構築物であることを銘記しなければならない。

「法」と訳される「ダルマ」は、『リグ・ヴェーダ』においては季節、天体、天候、神々の動きや祭祀を司る概念であるが、時代が下るにつれ、地上の人間社会に適応するものとして変容していった。そして、法典と訳されるダルマを主題にした文献群が登場し、そこにおいて、贖罪儀礼などのバラモンが受け継ぐヴェーダの伝統の中に、司法規定の様な王権が受け持つものが入り込んでくるという変化が起きた。そして、それをより明確にした『マヌ法典』には、出家・遊行についてや家族の問題を扱った司法規定が登場するようになった。その背景には、当時、出家が流行していたことや、政治的・社会的グループの興亡、それに続くマウリア朝という強力な国家の登場があった。このような歴史的背景をふまえて、古代法の内容を研究していくことが重要であり、そうすることにり、歴史研究など他の分野との連携が出来るのではないかとの指摘をされた。

第2ユニット第2回研究会報告

質疑応答では、王と司法の問題や聖と俗の問題について議論され、聖はそれとして成り立ちながら、それとは別にダルマが分離・形成され、発展していくことが指摘された。さらに、対話に基づく哲学の展開について、インドやヨーロッパの事例を挙げながら、その本質的なものについて深い議論がなされた。